デビュー15周年を迎えたフジファブリックの記念すべき青春の足跡の第一歩がアナログ盤化!!
このたびアナログ盤化されるフジファブリックのインディーズ時代の2枚のミニアルバム『アラカルト』『アラモード』は、まさに彼らの黎明期を切り取ったかのような作品たち。メンバーや形態は今とは違ったものもあるが、今でも彼らを成立させている重要なファクターの萌芽や、現在もメンバー、そしてファンにとっても大切で重要なレパートリーの数々が当時の形そのままに納まっている。
まさにこの2枚はフジファブリックの原石にして現在も形を変え続いている彼らの試金石的な盤たち。そして、この時期だからこそ想い出して欲しいし聴き返して欲しいとの願いも込め、この度リリースに至った。
この頃の彼らについて、このフジファブリックの今回の2枚を当時ディレクションした、Song-Crux主宰のロフトグループの樋口寛子の回想も交えて振り返ろう。
高校を卒業し、「ミュージシャンになる!!」との覚悟を決めて地元・山梨の富士吉田より上京した志村正彦。樋口が初めて志村と会ったのは彼が21歳の頃。後の代表曲となる「茜色の夕日」も入った『アラカルト』をリリースする約1年ほど前のことだ。彼らのデモカセットを聴かせてもらったのがキッカケだった。中でも「茜色の夕日」を気に入り、「いいバンドだなぁ…いい曲だなぁ…」と感じたのだという。ロフトグループ的にちょうど新規レーベル立ち上げの構想もあり、樋口もそのタイミングで、自身がディレクションするインディーズレーベル、Song-Cruxを立ち上げ、その第一弾としてこの『アラカルト』をリリースすることにした。
当時はギターロックムーブメントの前夜的な雰囲気が漂っていた。主戦場は下北沢。そんな中、フジファブリックはやはりちょっと異質な存在であった。活動拠点も下北沢よりは新宿や渋谷。「こんな狭い世界ではなく俺たちはもっと大きなところを目指したい!!」そんな活動スタンスへの気概を感じた。また音楽性においても、生み出すメロディはどこか抒情的で和的、若干のウェットさとけっして一筋縄ではいかないクセになるセンスを光らせていた。
かくいう樋口もそこに惹かれた。「音源だけでライヴを観る前から第一弾は彼らだ!!と決めてました。なのでリリースを心に決めてから、その後、実際に彼らのライヴを観たんです。完全に昨今とは違うパターン。売れる売れない、世にウケるウケない関係なく、ただ楽曲がいいから出す。それだけの理由でした。その<楽曲がいい>とは絶対に想ってもらえる自信は強くあって。なので作品作りに関しては私は一切口を出さず。彼らがやりたいことをやりたいようにやり、私はそれを自信を持って世に出す。そんな関係値でした」(樋口)
ここで軽く今回の2枚『アラカルト』『アラモード』を振り返ろう。
2002年10月に、新宿ロフトが新しく立ち上げた歌ものインディーズレーベル「Song-Crux」(続けてメレンゲや音速ラインも輩出)の第一弾としてリリースされた『アラカルト』は全6曲入り。当時のフロントマンであった志村が地元・富士吉田から上京してきた、その過渡期が伺える1枚だ。
富士吉田で培ってきたそのセンスやメロディワークも多分に収まったこの盤は残念ながら現在の他のメンバーはクレジットされていない。いわば当時のボーカル&ギターでソングライティングを務めていた志村が地元~上京してきて出会った仲間と作り上げた1枚だ。
これまでこの盤からも何曲かメジャーに移りリメイクされてきたが「午前三時」は未だ作品としてはこの盤でしか聴くことが出来ない貴重なもの。今でも人気の高い「茜色の夕日」「線香花火」「ダンス2000」等が収まっており、「浮雲」中の歌詞に出てくる「いつもの丘」は、彼の地元からやや南下した富士山の前景が一望できる浅間神社の丘が歌われ、これを機に実際にその地を訪れ想いを重ねるファンも多い。
対して、『アラモード』は現在への道筋が作られた2003年6月に制作された作品。こちらも6曲入りだ。現在の金澤、加藤もメンバーとして名を連ね、この頃よりライヴでもサポートギタリストとして山内も参加し始める。余談だが山内の初めての新宿ロフトでのサポートギターでの初ステージは私の企画していた、2003年3月だったと山内本人から聞いたことがある。同盤では「お月様はのっぺらぼう」「消えるな太陽」が未だリメイクされておらず、作品としてはこの盤でしか聴けない楽曲たちだ。
人気の高い「花屋の娘」「環状七号線」「笑ってサヨナラ」が収まっており、上述のSong-Crux樋口は、「若者のすべて」を初めて聴いた際には、今作収録の「笑ってサヨナラ」がパッと思い浮かんだという。私もそれには同感だ。上京し、新しい生活も馴染み、地元・富士吉田とのいい距離感や、そこで培った光景感や抒情性、都会で生活することによるそれらとの距離感や傍観性もどこか伺え、今聴き返しても興味深い。
後にSong-Cruxからも、メレンゲや音速ライン等を輩出してきた樋口だが、やはりこの2枚の盤があったからこそ、自身の今に繋がっていると振り返る。
「私にとっても彼らにとっても初めて形になる作品だったこともあり、完成した時は感激でした。あの時はもう全てが手探りでした。インストアライヴしかり、レコ発ライヴしかり、ツアーで地方に行く等々。特にあの頃の志村くんからは「これから突き進むぞ!!」との気概がものすごく感じられたし。とは言え、それが「行くぞ!!俺について来い!!」と声高に言うタイプではけっしてなかったですが、その辺りの胸中に秘めた闘志的なものはヒシヒシと伝わってきました」(樋口)
そして、この2枚の盤からは彼女のそんな言葉を裏付けるかのような、見えない上昇感や希望、今後への活力等々、前向きなエネルギーも要所要所から滲み出ている。決して歌に込められたメッセージや佇まいからは伝わりづらい類いだが、その辺りも是非この機会に感じとってもらいたい。
この2枚以降、彼らはメジャーレーベルに移籍。その後はみなさんの知る由だ。
「今でもフジファブリック自体はもとより、多くのアーティストや方々がこの盤に入っている曲たちを歌ったりしているのを聴くにつけ、ああ、作品って残り続けていくし、残り続けていくべきものを残していかなくちゃいけないんだなぁ…と背筋がピンとなります。これからも私も含め多くの人の背中を押したり腕を引っ張っていける作品になっていくんでしょう」(樋口)
彼らはその後も多くの人に愛され、聴き継がれ、歌い継がれ、今年デビュー15周年を迎えた。そんな彼らの記念すべき青春の足跡の第一歩が刻されている、この2作。ここからそれが始まったことを改めて聴き返すことで祝福し、しかるべき今後へとまた新たな夢や希望を馳せたい。フジファブリックの旅はまだまだ続いていく。
2019年初秋 池田スカオ和宏
「アラカルト」「アラモード」レコード先行試聴トークライブ&
「エフエムふじごこ 路地裏の僕たちでずらずら言わせて『アラトーク』」公開収録トークライブ
渋谷店 / 新宿店 / オンライン / 仙台パルコ店 / 名古屋パルコ店 / 福岡パルコ店 / 梅田大阪マルビル店 / 札幌ピヴォ店 / 横浜ビブレ店 / 鈴鹿店 / 下田店 / 上田店 / ららぽーと磐田店 / アミュプラザ鹿児島店 / 高松丸亀町店 / グランツリー武蔵小杉店 / 秋田オーパ店 / 藤沢オーパ店 / TOWERmini汐留店 / 錦糸町パルコ店
アラカルト<完全生産限定盤>(RTSC-0023)
https://tower.jp/item/4971013
アラモード<完全生産限定盤>(RTSC-0024)
https://tower.jp/item/4971023
HMV&BOOKS SHIBUYA / HMV record shop 渋谷 / HMV record shop新宿ALTA / HMV record shopコビス吉祥寺 / HMV&BOOKS SHINSAIBASHI
※10/21(月)迄に上記店舗にてご予約頂きましたお客様への商品は確実に確保、
更に「アラカルト」「アラモード」を2枚 同時にご予約でレコードサイズのオリジナル透明ビニールバッグ付(数量限定)!!
※こちらの商品のご予約はお一人様に付き一セット(各種1枚ずつのご予約のみ)とになります
Copyright 2018 SHINJUKU LOFT All Rights Reserved.