パンチユーホー




プラスワンにてほぼ一年、「爆笑トークショー」を続けているパンチユーホー。支離滅裂な言葉を繰り出し、突き刺す笑いを話しぶりにつつみお客に投げかける。マカ不思議な魅力のパンチユーホー(お笑い芸人と言えばいいのかなんと言ってのかわからない、<パンチユーホー>としか形容できない。)いったいどんな人なのだろうか。本気とも冗談ともつかない答えに困惑しながらインタビューをさせて頂いた。

(斉藤友里子)


──ロフトプラスワンでレギュラートークライブを続けられてもう一年くらいたちますが、続けられて感想などはありますでしょうか?
パンチ もうじゅーぶんにボクの魅力をハッキしていると思います。
──他のライブハウスでやろうとか思いませんでした?
パンチ それは思ってもみないですよ。ロフトプラスワンは僕の本拠地、ホームステイじゃない、ホームグラウンドとして考えてますから。
──それはなぜ?
パンチ プラスワンでやる理由はそれは、平野さんですよ。
──オーナーの平野がなにか……。
パンチ ボクを売れるって言ってくれたんで。3大売れる人、リリー・フランキー、杉作J太郎、パンチUFO(当時)って。そういってくれた人が平野さんだったんで。ここでトークをやっていこうと決心しました。
──はじめてでて頂いたのは96年くらいですよね。
パンチ それは1800?
──あ、いや、あ1900です。
パンチ そこまで言わないと誤解を招くから。ンフフフ。
バクシーシ山下さんが友達にいるんですけど、バクシーシさんに「パンチくんイベント一緒にでてヨ」って誘われて出たのが初めてです。誰か一番ウンコする時におしりの穴が開くかって審査員として。結局ボクが優勝したんですケド。ンフフフー。
──テレビ、ラジオ、レギュラー番組をいくつか持たれて露出がかなり増えた影響だと思うのですが、お客さん急激に増えてきましたよね(ちなみにこのインタビュー後のライブはキャパを超えた超満員)。特に非常に若い女の子が増えている状況に対して思うところはありますか?
パンチ 思うところはまったくないですね。ねらいどおりですから。
──ねらいですか。
パンチ ボクのねらいは、23歳のOL! そのねらいででずーとここ5年くらい押し進んできたから。そのくらいがボクの笑いについてこれるかなと。
──そんなに頭はかたからず、知もあるという意味ですか。
パンチ そうです。そのねらい以外はお客さんに対してチョットした殺意ぐらいで何も。
──こうして爆笑トークライブをやったり、テレビに出たり、声優、バンドという様々な活動をやるきっかけになったこと、人物などはいますか?
パンチ もうそれは水戸華之介さんです。彼の、アンジーのライブを18歳の時にみて人生かわりましたから。
──バンドマンを目指すのではなくなぜお笑いを?
パンチ バンドもやってますよ。今は「月刊大相撲」というバンド活動をして9月にライブやります。
──あ、いやバンドマンとしてよりもお笑いのイメージが強いので、パンチさんのお笑い活動に水戸さんはどんな影響を与えたのかなって……。
パンチ いやぁそれはもう、人生がガラっと変わったからですよ。
──では、お笑い関係で影響を与えた人とかはいないのでしょうか。
パンチ いますよ。トム・ハンクス。いずれはああなりたいですね。老人ホームでねずみを買うような。
──あ、えと、日本のお笑いというよりも海外のお笑い的なにおいをパンチさんから受けます。『サタデーナイト』とか。
パンチ そうですか。ありがとうございます。ボクは『サタデーナイトライブ』も『サタデーナイトフィーバー』も好きだし『ヤングオー』も見てましたよ。あーでも『俺たちひょうきん族』とか『ヤングオー』とかも大好きでしたねー。あの種のお笑いは自然に笑ってたかもしれない。こないだなんかは『サボテン・ブラザーズ』とかそういえば、笑って見てた。
──『チーチ&チョン』とかもお好きですか?
パンチ エッ!? 
──あ、いやあの『チーチ&チョン』。そういうコンビ名のお笑い2人組で有名な作品がメキシコまでワリファナを運ぶ喜劇なんですけど。激しいカトちゃんケンちゃんみたいな……。
パンチ あーいやボクはワリファナは三度三度ごはんにふりかける程度で、ノンドラッグの人ですから。
──では、最後の質問なんですがパンチユーホーから、いつ小林俊太さんに戻られるのでしょうか。
パンチ 本当の自分になる時はいつということですか。そんなのはひとかけらしかないんで、戻るも戻らないもほんの一瞬です。
親も本当の自分を知らないでしょうから。

 

パンチさんの笑いは人とはっきりした断絶を示している気がする。端的に言うと素を沙汰に見せない。チラリチラリと少しだけ素のような顔をみせる。どこか見ていてほしいという願いをのらりくらりとした会話の中に入れて、本気と冗談のぎりぎりの狂気をとことこ歩いている。そんな印象をパンチさんから受ける。
友達とする雑談の延長、飲み会で彼氏や彼女の暴露話でガハガハ笑いをとるような<芸?>がテレビでは目立つような気がするけれどこういう距離のとり方をお客さんとする芸人さんがプロフェッショナルなんではないかと私は思う。
昔、テレビでみた渥美清も、由利徹も、ビートたけしも笑いをとりながら一瞬寂しそうな笑い顔をうかべていたのが今でも印象に残っている。
パンチさんの「ほんの一瞬です」と言った顔がその記憶の顔に似ていたような気がした。