変態お面集団が織りなすロック博覧強記
 RUDE BONESとのスプリット・シングル『DIGGIN' IN THE STREET』から間髪いれずに通 算4作目のアルバムをリリースするBEAT CRUSADERS。ニュー・ウェイヴやパワー・ポップのツボを的確に押さえ、消化しきったhidaka節は本作でも不変。araki、thai、umuのヴォーカル曲も収録するなど滋味に富んだこのアルバムについてあれこれ訊こうと思いきや、案の定、ビークル1軍メンバーによるarakiの欠席裁判、エロと妄想が入り混じった与太話と相成ったのであしからずご了承下さい。
(interview:椎名宗之)

緊急事態発生! arakiがテニス肘で負傷! しかしバンドは絶好調!
──今度の新作『SEXCITE!』の手応えみたいなところからお訊きしたいんですが。
hidaka 柔らかかったですね。温かくてマシュマロみたいに柔らかい…ボインのようであり、ボインでないような。MY BLOODY VALENTINEの曲にですね、曲名は忘れたんですけど“雪のように柔らかいけど中は熱い”って曲(「Soft As Snow (But Warm Inside)」)があったんですよ。オレの中ではそんな感じですね。
──何でもドラムのarakiさんが“テニス肘”というアクシデントに見舞われて、全面 的には参加していないとか。
hidaka オクワキ(ex. CAPTAIN HEDGE HOG)とモリヤス(SHORT CIRCUIT)にヘルプをお願いして。その結果 、リズムが素晴らしく安定して良かったですね。っていうか、“テニス肘”っていう言葉を初めて聞いたんですよ。身の周りにそんなケガをした奴いなかったし、テニス部の友達だっていなかったし。
──arakiさんがいないことによってアルバム制作がはかどったと。
hidaka そうですね。バンドっぽかったし、何より演奏がしやすかったですね。
──それに逆ギレしたarakiさんがヴォーカルを取る「arakism」なる珍曲が最後に収められてますが。 hidaka オレたちがブースで歌入れしてる隙に、オレが貸した8トラックのハードディスクをアイツがロビーでガチャガチャいじってたんですよ。宅録ならぬ “ロビ録”をシコシコやってて、『ローズマリーの赤ちゃん』みたいな曲が生まれちゃったんですね。
umu 高い木にあるバナナを猿に棒を使って取らせるみたいな、言ってみれば動物虐待ですね。arakiだから許されてるだけの話で。
hidaka 縁起が悪いから、一番最後の13曲目でちょうどいいかなって。この曲を入れれば収録時間が30分を超えるしね。
──今回の聴きどころは?
hidaka 「arakism」以外は全部かな。あと、今回は曲が長いです。3分以上のが結構ありますよ。頑張りましたよ、今回。ミスター・チルドレン不在の間に“追いつけ! 追い越せ!”で。
umu ミスチルにあやかりたい!
hidaka そしてモテたい!
──お面を被ってると難しいんじゃないですか?
hidaka 本物を見られるともっとモテないですからね。
umu お客さんに幻想を抱いてほしいわけですよ。
hidaka でも、arakiはお面も素顔も気持ち悪いですからね。素顔は目がちっちゃいんですけど、お面 は直径3センチくらいの丸になってるんですよ、目が。
umu 草食動物みたいに目が凄い離れてるんです。
hidaka 馬とか鹿みたいなんですよね。ナゾの形なんですよ。
──そこまでボロクソに言われて、arakiさんがビークルにいる意義はあるんですか?
hidaka ないんじゃないですか? なんでいるのか、オレたちも不思議なくらいですよ。
──今回の収録曲は、大量のデモ・テープの中から厳選されたそうですが。
hidaka デモはたくさんありましたよ。今回、人生で一番曲を書いたんじゃないですかね。……すいません、ウソです。出来上がった曲から順番に録っていきました。
──そうだと思ってました。その割には1曲1曲がよく練られてますよね。
hidaka 日本人離れしてますよね、BEAT CRUSADERSは。でもオレは本来純粋な邦楽主義者で、普段は東儀秀樹とかの伝統音楽しか聴かないんですよ(笑)。歌謡曲的な展開は音楽として余り興味がありません。
──確かにビークルの音楽には和風な湿り気具合が感じられませんね。
hidaka だけど白人は嫌いなんですよ。独善的だし、そもそもブッシュが大バカ野郎ですからね。まさにarakiみたいな連中ですよ。araki=白人説があるんです。
umu アイツはアボリジニのルックスをした白人なんですね。
hidaka まぁとにかく、日本で音楽をやるからには日本人の方はもちろん、世界中の方にも判って頂けるようなメロディを心がけて今回練りに練ったというわけです。それが“東儀ズム”ですよ。これで布袋(寅泰)の“ギタリズム”にも並んだわけです。
──おっしゃる意味がよく判りません。hidakaさんの音楽アンテナに引っかかる基準は何なんですか?
hidaka 例えばエルヴィス・コステロとトイ・ドールズがどちらもいい曲を出した時に、そこには何の共通 点もないじゃないですか。まぁ、共にイギリス人ってことくらいで。でも、オレは両方好きなんですよ。両方やりたい。要するに聴いた時のパンチ、破壊力ですかね。だから「arakism」も許して入れてあげる。破壊力だけはあるんで。あれには脳ミソや細胞が確実にヤられると思いますから。小さい時に聴いたら恐ろしいトラウマになりますよ。

若者だけに性を謳歌させるな!
──タイトルから察するに、今回のテーマもやはりエロですか?
hidaka 違います。コンセプト・アルバムですよ。“カマキリズム”です。日本人としてカマキリに行くしかなかろうと。
umu 『トゥナイト』無き今、エロ情報の最前線を発していくくらいの。
hidaka 山本晋也監督をシーモネーターに取られたから、オレたちは村西(とおる)監督に当たろうかって(笑)。だからタイトルは意味があるんです。女の子とか子供がこのタイトルで買えるかどうか試してみたい。小さい頃に『あばしり一家』とか『けっこう仮面 』とか、永井 豪のエロいマンガがあったじゃないですか。オレはあれが恥ずかしくて買えなかったんですよ。でも、今の小中生は平気でSEXを語るじゃないですか! それが羨ましい…。
umu ワイドショーの夏休み企画で、中高生が乱れた性を明け透けに語るんです。「夏休みだけで2回性病になったことがある」とか。中学生なのに豊かなパイオツをされているんですよ、キャミとか着ちゃって…。そういう羨ましい時代にオレもあやかりたい!
──じゃあ、昨今の若者に対する復讐みたいなもんですか。
hidaka リベンジですよ!
umu でも、子供だけでなく熟したレイディにも聴いてもらいたいですね。2度目の春を思い起こさせるはずです。“スプリング・ハズ・カミング・アゲイン”ですよ!
hidaka 若者だけに性を謳歌させるのはもったいないじゃないですか。
umu 性のエキスパートは40歳になってからですよ。それくらいから熟れ汁が出まくるんです。
hidaka 黒木 瞳さんなんか40越してあの色気ですからね。全然イケますよ!
umu ストッキングとか欲しいですもん、脱いで洗わずに。
──要するに欲求不満だと。年内は長いツアーが控えてますが。
hidaka そうですね。年末はクリスマス商戦に乗って、原宿駅前でクリスマス・ケーキでも売ろうかなと。今年のビークルの活動はそこが一番の山場ですね。
umu オレはサンタの恰好でピザを売ります。稼ぎ時ですからね。
hidaka 11月にオーストラリアのバンド(warped)を呼ぶんで、年内か来年の頭にはオーストラリアのツアーに行けるかもしれない。向こうに呼んでもらいたいからこっちに呼んでやるんですけどね。相変わらず計算高いBEAT CRUSADERS。
──arakiさんが先月の『ROOF TOP』で「これだけ長いツアーは年齢的にこれで最後かもしれない」と言ってましたけど。
hidaka またウソをついてます。アイツが一番年下ですからね。ツアーの意味が判ってないんだと思いますよ、横文字が苦手なんで。多分“ツール・ド・フランス”と間違えてると思います(笑)。arakiと(忌野)清志郎さんは自転車で移動するんじゃないですか? ライヴもアイツが叩かないほうが演奏しやすいし、より完成度の高いBEAT CRUSADERSをお見せできていいんじゃないかと。
umu サポートのドラムのほうがタムやスネアがちゃんと聞こえるし。
hidaka あと、人の話とか音をちゃんと聞いてくれるし。
umu そう、ちゃんと会話が成立するからね。
──人間として大事なことですね。
hidaka あ、そうだ。先月号の『ROOF TOP』に載ったarakiとHIROSHI(RUDE BONES)の対談、arakiの発言はすべてウソですので、皆さん鵜呑みにしないで下さい。
umu ホントはarakiという人はいません。
hidaka 架空の人物なので。最初からいないと思って下さい。
──じゃあ、あの対談で喋っていたのは誰だったんですか?
umu 時々、勝手にarakiを名乗る奴がいるんです。
hidaka 近所にいるレゲエのおじさんですよ(笑)。ゴミオヤジとかそういう類の人です。リアル・レゲエですね。
──ひょっとしたらウチのほうの荒木(小誌編集長・別名DJ MOJA)かもしれないですね。
hidaka その可能性はありますね。彼女もリアル・レゲエだし、髪のニオイが一緒ですからね。■■


◆LIVE
■11.30. 新宿LOFT「STRUMMIN' REVIEW SPECIAL"ラストラム忘年会GIG"」
\2500/\3000 (drink別)
 w/54-71, The strikers, FRISCO
DJ多数参加予定
チケットぴあ、ローソン、タイガーホール、ロフト店頭にて10/20販売開始!
※オールナイトも含めての通し券(ロフト店頭のみ): 3500円
※夜の部のみ(ロフト店頭のみ): 1500円

10.01. 名古屋ハックフィン
10.02. 十三ファンダンゴ
10.03. 岡山ペパーランド
10.05. 高知キャラバンサライ
10.06. 松山キティサロン
10.08. 大分TOPS
10.09. 熊本ジャンゴ
10.11. 博多ビブレホール
10.12. 松江グルーブマシーン
10.13. 広島Cave-be
10.15. 金沢AZホール
10.17. 長野JUNK BOX
10.18. 新潟JUNK BOX
10.20. 渋谷AX SOLD OUT!
11.01. 心斎橋クアトロ
11.02. 名古屋クアトロ
11.04. 渋谷ON AIR WEST

◆RELEASE
10.09. 4th album "SEXCITE!"
LACD-0047 / 2300yen(tax out)

◆オフィシャルサイトhttp://www.lastrum.co.jp/Music/bcru.html