ロフトプラスワン・イベントPICK UP

2002年11月7日(木)
国際環境NGO FoE Japanプレゼンツ
「シベリア・タイガの森の民 ウデヘ」
シベリアンタイガーの暮らす森林が広がるロシア沿海地方の先住民族・ウデヘ族。森と川と深く結びついたウデヘ族の伝統的な四季の暮らしや間近に迫る森林伐採の危機について、ビデオ・スライドを交えて話します。
【出演】ウデヘ族の古老、ウデヘ族舞踏団「アグダイミ」、
    野口栄一郎(FoE Japan)
主催:国際環境NGO FoE Japan
協力:アースガーデン

会場:LOFT/PLUS ONE 地図
時間:18:30開場/19:00開演 料金:\1000+飲食代
 ウデヘ族は、シベリアンタイガーの暮らす森林が広がるロシア沿海地方の先住民族。山岳地帯の村々に約2000人が散在して、自然に溶け込んだ暮らしを営んでいる。ウデヘ族にとって森は衣食住全てを与えてくれる大切な生活の場。しかし、現在森林伐採が進み、彼らの生活が脅かされている。その伐採された樹々は建築木材として主に日本に輸入されているのだ。自由競争=グローバリズムという美名の元に多国籍企業が行っているのは、第三国からの容赦ない搾取だが、その爪先はロシア山岳地帯の先住民の村にも及んでいるのだ。
 今回、ウデヘ族の伝統舞踊集団アグダイミが来日するのを機に、なんとプラスワンでウデヘ族のトークライブが実現することになった。これは国際環境NGO FoE Japanとアースガーデンの尽力によるものだが、雄大な森林地帯に住む先住民が、欲と金の街・歌舞伎町に来るというのは、なんだか申し訳ないような気持ちになってしまう。しかし、だからこそ私達日本人が、遠い昔に忘れてきた何かを思い出す大きなチャンスになるような期待もあるのだ。ウデヘ族は自分たちの大切な森林を守るため、NGOと協力してエコツアーを開催するなど、かなりオープンなマインドを持った人達だ。この日は、私も心を全開にして、ウデヘ族のアグダイミ(喜び)を一緒に感じることができればと思う。(LOFT・加藤梅造)

「ウデヘ族のアグダイミ」

文:野口栄一郎(FoE Japan)

 街からひと晩かかって村に着き、クルマを降りた途端、馴染みの漁師達にとっつかまった!
「おっ、ちょうどええ。今からみんなで河原へ行くとこなんや!」
「セルゲイとイーラ、ついに入籍しよってなー。祝う。おまえも飲め」河原にシートを広げて酒と食べ物を並べ、奥さん達も一緒になっての青空パーティーだ。子ども達は村で子供同士で遊んでる。ドボン!一杯ひっかけて上機嫌のリョーシャが川に飛び込んで泳いでいる。次の日は年に一度の村祭りだ。これが森と生きてきた先住民族ウデヘの喜び。
 村に帰ると猟師のリョーワがいた。彼に僕らの団体がロシアの先住民族NGOと一緒に街で開いた公開セミナーの様子を話した。リョーワは言った「昔は山の向こうにもウデヘがおった。しかしそこは森を伐採会社に根こそぎにされてウデヘは住めんようになった。おんなじ事がこのビキン川で繰り返されるかもしれん。前回はかろうじて阻止できた。けど、次また来よったら?わからん…」
 十年前、ロシアと韓国の合弁企業がこのビキン川の上流を覆う森林地帯の開発を計画して、州知事がゴーサインを出した。日本と韓国に輸出する木材を集めるためだった。その時はリョーワの村から12人のウデヘの男が志願してヘリコプターで伐採現場に乗り込み抗議した。そして外国のNGOがそれをメディアに伝えた。
 日本でも朝日新聞がウデヘ人の声を報じて、この問題がだんだんロシアの外でも知られるようになった。やがてモスクワの裁判所が伐採計画の縮小を命じて、ビキン川と森は守られた。
 しかし、その企業に投資して木材を買っていた日本の有名な会社がいまウデヘの暮らす別の森林地帯で新たな伐採事業に投資をしている。サマルガ川という石狩川くらいの大きさの川が流れているところで、250人くらいのウデヘ人が暮らしている。このまま行くと2年後の2004年頃に伐採が始まって、木材が日本に輸出され始める。現在、幾つかのNGOがウデヘの側に立って闘おうとしている。
 さて、ある日僕らは「アグダイミ」の女の子達と川のほとりにやってきた。刺繍の施されたシルクの衣装で身を包んで、山羊の皮を張った太鼓とバチを手に持っている彼女達は、ロシア語で何か囁いて各々の位置へ散ると、彼女たちは互いに目くばせをし、大地を蹴って跳んだ。
どん、どん、どんどんどん
どん、どん、どんどんどん
太鼓で拍子を刻みながら彼女達は森のけもの達の動きを真似て宙に浮かんでいる。前の日に村ですれ違った時、額にバンダナを巻いてブーツにジーンズというアメリカンルックでキメていた彼女達が、今この瞬間はウデヘの先祖の魂を躍らせているようだ。その顔には笑みが浮かんでいて、彼女達はとても美人だった。


関連イベント

■エスニック・コンサート2002
「シベリアタイガに生きる森の民…ウデヘ民族を迎えて」

日時=2002年11月9日(土)18時30分(開演)
場所=スペース・オルタ(新横浜)
住所:港北区新横浜2-8-4オルタナティブ生活館B1
電話:045-472-6349
地図:http://www.ynet.co.jp/spacealta/index.html#map

内容 舞踊団「アグダイミ」の踊り。ウデヘ族の古老の唄と語り。
森林保護活動の現状の解説もあります。
出演者 ウデヘの古老、ウデヘの伝統舞踊団「アグダイミ」
野口栄一郎(国際環境NGO FoE Japan)
*ロシア語から日本語への逐次通訳あり
料金 前売り2000円 、当日2500円
*前売り券はスペース・オルタ(TEL 045-472-6349)まで。
主催 エスニックコンサート実行委員会
共催 スペース・オルタ
協力 国際環境NGO FoE Japan


■エスニック・コンサート 10th.
「アグダイミ、貫井囃子保存会、
マミドーマの会、アイヌ民族のうたと踊り」

日時=2002年11月10日(日)14時(開演)
場所=北とぴあ・つつじホール(王子)
住所:北区王子1-11-1
電話:03-5390-1100
地図:http://www.kitanet.ne.jp/~hokutopia/data/sisetu/map/map001.htm

内容 先住民族のうたや踊りを紹介するエスニックコンサート。
出演者 ウデヘの伝統舞踊団「アグダイミ」、貫井囃子保存会、
アイヌ民族、マミドーマの会
料金 前売り2000円 、当日2500円、
高校生以下1500円(前売り・当日とも)
*前売り券はFoE Japan(担当:野口)
またはエスニックコンサート実行委員会(TEL 03-5974-1333)
主催 エスニックコンサート実行委員会
協力 国際環境NGO FoE Japan
助成 財団法人アイヌ文化振興・研究推進機構

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