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基本的にはビリー・ジョエルなんです
──お2人の話を伺う前に、まずは〈FLOWERS OF ERROR〉のコンセプトから改めて聞かせて下さい。
會田 意味はですね、長嶋(茂雄)監督をピラミッドの頂点にするような感じで、エラー信号というか、何かものを見たり聞いたり受け取った時にエラーで返って来る人というか…昔からそういう方が一杯いるじゃないですか。ミュージシャンだと寺内タケシさんとかジョージ川口さんとか、身近なところではブッチャーズの吉村(秀樹)さん然り(笑)。そういう包容力のある表現の地表に向かう人たちこそ美しいと感じていて、自分がライヴ・イヴェントをやるならそんな方々と一緒にこのタイトル名でやりたいと。頭文字を取ると“FOE”になったりとかっていうこじつけもあるんですけど。始めてもう2年近くになるのかな。で、今回からシェルターのほうでお世話になる次第です。
高桑 し、知らなかった……(笑)。
──これまでの11回は渋谷のエッグサイトでやってきて、今度のシェルターで仕切り直しという意味合いもあるんですか?
會田 そうですね。まぁ、仕切り直しというか、無理のない感じというか。僕はEL-MALOという打ち込みユニットとしてのイメージが強いかもしれないですけど、高校の時からずっとバンドをやってきて、EL-MALOとしてやってる時期のほうがどちらかと言えばイレギュラーな感じだったんですよ。FOEを始めた時にはいわゆるバンド形態に自分が戻る感じがあって、その頃には周りに魅力的なバンドが一杯いた。気が付けばシェルターは自分もよく観に行ってるし、ライヴハウスとしての音や雰囲気も好きだし、ここでできたらいいなぁって思ってて。
──そこで今回の〈FLOWERS OF ERROR〉でお披露目となる驚異の新人ユニットの話になるわけですが、こうしてタッグを組むに至った経緯は? これまでGREAT3とFOEがシェルターで対バンしたり、去年の〈SXSW
2002〉( サウス・バイ・サウス・ウエスト:アメリカのオースティンで行われたフェスティヴァル)にFOEが出演した時に佐藤(研二)さんの代わりに高桑さんがベースを弾いたり、元々交流はあったと思うんですけど。
會田 圭君がベースの時は“アメリカンFOE”って呼んでます(笑)。〈SXSW
2002〉の時は、佐藤さんがどうしてもスケジュールの都合で行けなくて、「小松(正宏)君と2人で行くわ」なんて話を圭君にしたら、「ヒマだから俺行くよ」なんて言ってくれて。そこから始まって、何しろ普段から音楽の話をしても気が合うし、何か一緒にできないかなぁと考えてて。最初はFOEで圭君とやれる機会があるのかなぁなんて思ってたんですけど、よく考えてみたら、“あ、2人でやればいいじゃん!”と思って(笑)。一応、「何かやる?」って初めに言ったのは僕?
高桑 うん。そもそもFOEをアイゴンが始める前から、アイゴンとは何かやりたいと思ってたからね。それがやっと実を結びつつあるというか、ようやく具体的な話になってきた。2人でどんなことをやろうかって考えた時に、俺とアイゴンだから逆に何でもできるかなって。やることを絞る方法もあったんだろうけど、俺とアイゴンに限っては逆で、“何でもやろう!”っていうところから始めた。やりたいことをやるっていうか。
──もうかれこれ付き合いはどれくらいになるんですか?
高桑 10年まではいかないけど、7〜8年くらいかな。
會田 急接近したのは、CHARAの『マドリガル』ツアーで僕ら2人でバンマスやってからだよね。
高桑 “急接近”っていうのも変だけどね(笑)。
會田 入籍会見みたいだね(笑)。〈SXSW 2002〉の時も小松君がブッチャーズのライヴがあって先に帰って、圭君と僕でロスへ遊びに行ったりとかして。その時にロスの高速を走ってて、2人とも聴きたくなったのがジャーニーだったりとか(笑)。しかもその車はレンタカーだったからカセットしか聴けなくて、わざわざカセットをタワレコまで買いに行って(笑)。考えてみればその頃からHONESTYとしての地固めは始まっていたのかなと思いますね。
高桑 そうそう。だから今まで一緒にやってないほうが変だったっていうか。俺とアイゴンっていうのは、バンドを始めたばかりの中学生みたいな感覚が常にどこかにあって、そういう部分の気持ちが合うのは凄く嬉しい。ずっと音楽を続けてると、とかくそういう気持ちがなくなってきちゃうからね。今でもそういう音を出した瞬間が楽しくてしょうがない。
──ちなみに“HONESTY”という名前の由来は? まさかビリー・ジョエルとかではないですよね?
高桑 いや、基本的にはビリー・ジョエルなんです。
會田 それ、すっごい面白いね。「基本的にはビリー・ジョエルなんです」って(笑)。基本的に“H”から始まる名前にしようって決めたんだよね。「エルメス(HERMES)みたいに頭の“H”を読まないのはオシャレだ」なんて言って。
高桑 それ、基本的な発想としてあったよね。100個くらい考えましたよ。
會田 で、たまたま圭君がふざけて「“HONESTY”ってどうかな?」って言ったら僕がピンときちゃって。「いいじゃんそれ!」って。でもその時は考えすぎててヘンに熱くなってるから、「明日起きて“HONESTY”っていうのが余りイタくなかったらこれでいこう」と。
高桑 それで次の日電話して、「やっぱりいいと思う」って話になって(笑)。一日寝かしてもいいんじゃないかと。
極端な話、野球チームでもいい
──HONESTYの方向性は漠然とあるんですか?
高桑 基本的にはこの2人で、そこから人を入れる感じじゃなくて、音を広げていくというか。2人だけでどこまでできるか挑戦したいところなんですけど。ただ、ライヴをやりながら形が変わっていくのもいいかなと思ってて、余りそういう形態にはこだわらない。お互いバンドとかいろいろやってるし、そこにスタイルがあるから、そうじゃないものをやったほうがいいし。
會田 それこそ極端な話、野球チームでもいいっていうか(笑)。ドラムを入れるとかそういう定型は全く考えてないんですよ。「あいつらは何をやりたいんだ?」って思われるくらいでもいいかなと。まさしく“エラー”な感じでやってみたいんです。現時点ではベースとギターで2人ができることにトライしてみようと思ってます。
高桑 まだ音を合わせてないんで判らないけど、どう転んでも逆に新しいと思う。俺らも未知だし(笑)。
會田 これからライヴ前に録音もしちゃおうかなと思ってるんです。
高桑 俺とアイゴンが“HONESTYをどうするか?”っていう話をしだすと、しまいには裏ジャケの話とかになっちゃうからね。音も録ってないのに。「裏ジャケはこんな感じがいいよね?」「いいねぇ!」みたいな(笑)。
會田 何かフェイクをやろうというわけではないけど、“HONESTYはこういう音”とか、そこに自分の先のヴィジョンを当て込むようなものにはしたくないというか。もっとこう、チームワークでやってる感じにしたいんです。この間なんか「NOBODYみたいになろう!」とか話してて(笑)。作家チームみたいな。
高桑 今、NOBODYのイスが空いてるんで(笑)。その辺を狙おうかなぁと。
會田 でも『Rooftop』に“NOBODYを目指して”とか出ちゃったら、みんなそのまま通
過だろうね。
高桑 まっすぐ読まれそうだよね、意味を。
會田 ヤだよね、ブルース・ブラザーズみたいに黒のスーツ着てトランク持って2人で出てきたら。寸劇から始まったりして。
高桑 やろうと思えばできるところが恐いけど(笑)。
會田 最後は金をめぐってケンカ別れになったりして。“HONESTY”って名前なのにさ(笑)。まぁでも、自分たちでも初めてHONESTYのことについて話すから、読んでる人も「何のこっちゃ!?
」って感じだと思うんですよ。でもね、真剣なお遊びは超えたいと思ってるんですよ。真剣という感覚もお遊びという感覚もないというか…。判りにくいですよね。“名前がHONESTY”で“基本的にビリー・ジョエル”だもんね(笑)。
──FOEとしての今後のヴィジョンは?
會田 去年セカンド・アルバム(『FOE』)を録り終えた時に、「次やる時は打ち込みでやるから」ってメンバーに伝えたんですけど(笑)、その熱はちょっと冷めてきましたね。あのアルバムはオフマイクの世界っていうか、楽器にマイクを近付けない形で録ったんですよ。ライヴでもその世界を追求したいんです。FOEのライヴって、外のスピーカーから出てる音と、3人の真ん中で聴いてる音が全然違うんですよ。だからライヴ・オフロックの実現っていうか、マイクをカチャカチャ立てないでこの音を聴かせてみたいなっていう妄想が凄く膨らんでますね。それはエンジニアの人の技術云々じゃなくて、それぞれがかなり特殊なミュージシャンだと思うから(笑)。
──吉村さんのソロもあるし、本当に7月4日は楽しみですね。
會田 想像力を持ってライヴに臨んでほしいですね。ドラムがいなかったらドラムを想像する、みたいな(笑)。ライヴを体感しながらいろいろ妄想を膨らませてもらったり。何が起こるんだろうっていう感じのライヴがシェルターでできると面
白いなと思いますね。
高桑 多分、お客さんがある意味呆気にとられる瞬間も一杯あるかもしれないし、俺らもそうかなっていう(笑)。それを楽しめる場にしたいですね。
會田 理想としては、ラインナップに関わらずに、もっと「〈FLOWERS OF ERROR〉を観たい」って思ってもらえるようになれば面
白いと思うんですよ。それと、これはまだ完璧な話ではないんだけど、〈FLOWERS
OF ERROR〉のレーベルっていうか、ライヴにこだわったコンピレーション盤を出す計画をしておりまして。今まで出てもらったみんなに声を掛けてみようと思ってるんです。まだちゃんとは説明できないんですけど、自分の中では『YOYO
A GO GO』(1994年にアメリカのオリンピアで行われたイヴェントのライヴ盤)みたいなものを計画していて、7月4日には何かしらの発表ができると思います。レーベルの名前も決まってるし、そのロゴは圭君がもう作ってくれてるんで(笑)。
高桑 先に言っといてからやる。HONESTYは有言実行パターンだから(笑)。■■
●ライブ
<FLOWERS OF ERROR vol.012>
2003年7月4日(金)下北沢シェルター
FOE(會田茂一+佐藤研二+小松正宏) HONESTY(會田茂一+高桑 圭) 吉村秀樹(bloodthirsty
butchers)
OPEN 19:00 / START 19:30
PRICE: advance-2,000yen / door-2,300yen(共にDRINK代別)
INFORMATION: shimokitazawa SHELTER 03-3466-7430
FOE LIVE SCHEDULE
7月16日(水)“00”@下北沢シェルター
8月1日(金)“Belfast presents "You'll never walk alone #2"”@渋谷ネスト
8月7日(木)“LOVE PHANTA vol.3”@下北沢シェルター
8月20日(水)“DOUBLE SHOCK 16th”@下北沢シェルター
◆FOE OFFICIAL WEB SITE http://www.riverrun.co.jp/foe/
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