リットン調査団。吉本興業所属の芸人である。コンビ結成20周年を目前に控えたベテランでありながら、永遠の若手と呼び親しまれている孤高の存在であり、もはや地上波でその姿を見ることは、ほぼ不可能だ。恐らく、この記事を読まれた方のほとんどは、彼らのことをよく知らないだろう。彼らの世間でのイメージを要約すると「マニアックな芸風で、ケンドーコバヤシやバッファロー吾郎を筆頭に同業者からは慕われ実力を評価されているが、一般 的には、年末の『オールザッツ漫才』ぐらいでしかお目に掛かれず、面白いかどうかを評価する以前の問題として認知されている」といったところではないだろうか。
　しかし、ここで、僕が断じて言いたいのは、彼らはイロモノではないということだ。ルックスのインパクトや、たまに番組に出演したかと思えば、飛び道具的役割を担わされているせいで、そう思われるのは仕方のないことかもしれないが、彼らの実力、特に水野氏の笑いのセンスは、現在の芸能界に於いても飛び抜けていると言っても過言ではないだろう。「NHKは何の略？」という問いに、「内臓、破裂、気分！」「南光さん、八方さん、きん枝さん！」と続けざまに答えられる芸人を僕は他に知らない（強いて言えば、松本人志が挙げられるが、彼の凄いところは、自分のレベルを落とさずシュールなことをやりつつも、それを世間一般 に理解させて受け入れさせたところであろう）。音楽もお笑いも、結果論として売れなきゃ意味がないという考えが正論だが、今のお笑いブームに関しては、実力と人気が伴ってなさすぎる感は否めない。
　今回、このインタビューを読んで少しでも何かを感じた人は、是非劇場に足を運んで、彼らのライブを観て欲しい。コントのクオリティの高さに、きっと脱帽するだろう。ちなみに、藤原さんが「同期（NSC4期）のコンビで残っているのは、130R（板尾創路・蔵野孝洋）と、うちの2組だけやから、ロフトプラスワンで合同でイベントやってみたいな」と言っておられた。プラスワンで定期的にライターの吉村智樹さん司会で行なわれているリットン調査団トークライブ（vol.1“せせらぎ”、vol.2“絹のようにキレイ”、vol.3“おめでた”）が、いつかそのような形で実現することに期待したいと思う。
（取材・文：中川けんた）