80's
J-ROCKテイストが充満したエレクトリック・バチラス・ロックンロール!! 日本脳炎。頭脳警察を意識して付けられたというこのバンド名だけで相当なインパクトなのだが、2004年のこのご時世にルースターズやモッズに代表されるめんたいロックからBOφWYなど80年代の日本のロックを抜群のセンスでぶちかます最高のバンドである。「あのね、ロックンロールは不良のものなんで、不良以外が使っちゃいけない言葉なんですよ」という火野喧児(g)の言葉は一寸の曇りもなく純心そのものであり、それゆえ彼らの放出する“エレクトリック・バチラス・ロックンロール”は単なる懐古趣味とは一線を画した、今日にも有効でピュアな音の鳴りを保てているのだ。僕は日本脳炎を絶対的に支持する。(interview:椎名宗之)
10代の頃に憧れてた音楽が集約されたバンド
──まずはバンドの成り立ちから訊かせて頂けますか。
桜田毅一郎(vo) もともとそれぞれが違うバンド(EXCLAIM、SLIGHT
SLAPPERS、CHARM)をやってたんですけど、きっかけはギターの火野が「日本語ロックのバンドをやりたい」という話があってこの4人で集まって。対バンとかで繋がりはあったから。そこで自分達のルーツ的な音楽…頭脳警察とか村八分、ルースターズやサンハウスとかの話で盛り上がったんです。
火野喧児(g) いわゆるハードコアのバンドをやってたわけなんですけど、そういう80年代の日本語ロックをやるバンドがやりたくて、俺が発起人となって毅一にまず電話したんだよね。そしたら皆もそんな音楽に飢えてて、タイミングも良かったんですね。山谷との唯一の繋がりも、深く掘り下げていくとARBだったしね(笑)。
山谷雄次郎(ds) うん。そこで繋がってたから、まず大丈夫だと思った(笑)。
──やっぱりファストコアをやってる反動からそんな原点回帰な流れになったんですか。
火野 いや、俺は現在のロック・シーンに対するアンチテーゼを掲げたいと思ってるんですよ。単純に、“皆なんでもっとモッズとか聴かないの?”っていう(笑)。
十三(b) 結成から1年半くらいはずっとスタジオに入ってリハやってましたね。
桜田 最初は頭脳警察とか、多少恰好いいものをやってたよね。一応、皆それぞれやってるバンドのバックグラウンドもあったから(笑)。
火野 でもやっぱりモッズとかARBとか、真剣に一番好きだった音楽を自分達でやりたくなってくるんですよね。お里が出るというか。それが3年前かな。
山谷 だから最近なんですよね、自信を持って“好きなもんは好きなんだよ!”って堂々と言えるようになったのは。
火野 90年代の初頭とかにそんなこと言おうもんなら大変だったもんね。家で隠れて聴かなきゃいけなかったですから。それこそ隠れキリシタンみたいなもんですよ(笑)。
──(笑)あくまでサイドバンドという意識もないですか。
火野 もう大本気ですよ。片手間にやってるつもりはないです。
桜田 よく趣味的なバンドだって言われるんですけど、趣味だけだったら普通
に家でレコード聴きながら呑んでるほうがいいもんね。
火野 俺達はBOφWYの美学を後追いしてるんですよ、マジで。頂点まで行ったらあっさりバンドをやめるっていう(笑)。俺達が10代の頃に憧れてた音楽が集約されてるんですよ、日本脳炎は。それを体現してる。やっぱり刷り込みとしてあるんでしょうね。そういうのが自然と出ちゃうから。
──でも、EXCLAIMやSLIGHT SLAPPERSのもとからのファンの人はさぞ面喰らったでしょうね(笑)。
火野 でしょうね(笑)。いきなり真正面
からラヴソングを唄われてもねぇ(笑)。
──最初の音源に当たるデモテープ『KICK BOY FACE』は、“倍速のルースターズだ”とか“『爆裂都市』のサントラを彷彿とさせる”みたいな評価もありましたけれど。
火野 もう、まさにそんな感じです。特にコンセプトもなくて、狙いゼロで持ち曲をただ入れただけなんですけどね。どういう反応があるか見当も付かなかったし。まずは日本脳炎って名前を広めなきゃいけなかったのと、ライヴをやる以上は音源を出しとかないと客も来ないだろうからって理由で出したんですよ。この時、自分達をめんたいロックだって言ったこともなかったよね。
山谷 でも絶対の自信はあったけどね。ハズす気はしなかった。
──実際、結果的にこのテープは1,000本以上を売り切ったとか。
火野 2,000本行きました。まぁそう考えると、求められてる部分なのかなぁって気もしますけどね。
──その後にカクバリズムからBREAKfASTとのスプリット7インチが出てますね。
桜田 初音源がこんなだったからまた違う感じで行こうとかじゃなくて、ライヴをガンガンやっていくうちに得た手応えをそのまま出して。7インチっていう形態も良かったし。
──その流れを受けての今回の初単独音源なのですが。7インチ+ビデオというまた一筋縄では行かないフォーマットで。
火野 3曲録ったんですけど、「OUT
SKOOL」って曲はビデオ用の曲で、BOφWYに対する俺達からの回答のつもりで作ったんですよ(笑)。「SCHOOL
OUT」(『MORAL』収録曲)を逆にして(笑)。俺はこのメンバーのなかで一番『MORAL』を聴き込んでる自信あるんですよ。ああいう匂いのメロディとか攻撃的な部分を一曲にまとめたみたいな。7インチに入る「畜生ブギー」と「ツライDAYS」は、めんたいロックですね、単純に言うと。この2曲はもともとアルバム・レコーディングのためにテストで作った曲だったんです。でも録ってみたら結構いい音が出来て、MANGROVE
LABEL/BASEの飯嶋さんが「これシングルで出しちゃおうか?」って言ってくれて。
火野 包装面は俺達がどうしてもダンボール・ジャケットにしてくれって注文つけて。
──ああ、ダンボール・ジャケットっていうのもどこか80'sな匂いがしますねぇ。
火野 昔、SICがブートで7インチの3枚組ボックスをダンボールで出したことがあって、俺はそれに感銘を受けまして。それで今回どうしてもダンボール仕様で出したかったんですよ。
──CDのフォーマットで敢えて音源を出さないのには何か理由があるんですか?
火野 何か埋もれちゃうっていうか、他のCDと一緒くたにされるのが厭なんですよね。青春パンクの隣に置かれるのも癪だしね。やっぱり同じ音源を出すんなら自己主張を激しくしたいなと。
“LAST GIGS”は東京ドームで(笑)
──ライヴではBOφWYの曲もカヴァーしているという話ですが。
火野 「GIVE IT TO ME」とかね。これも『MORAL』に入ってるんですけど。あれは最高っすね。ま、『MORAL』の曲は全部最高なんですけど(笑)。あとは、ARBだったら「Tokyo
Cityは風だらけ」とか。結構ベタなのをやってます(笑)。
山谷 モッズだと結構難しい曲を練習でトライしてたじゃん。
火野 ああ、「TEENAGE BLUE」ね。俺はモッズ大好きなんですけど、あまり渋い曲やると客が判らないんですよ。LIZARDの「マシンガンキッド」をカヴァーした時も誰も判んなかったし(笑)。だけどリハでこういう曲を練習するのはホント楽しくて、やめられませんね。
──じゃあ、SEの選曲にも細かく気を配ったりして。
火野 勿論。SEにはずっとこだわってて、絶対にルースターズの「Let's
Rock」なんですよ。あの高揚感ったらないんです。
桜田 SE、(ストリート・)スライダースの時もあったよね。
火野 あれも良かったね、「Back To Back」。でも客は判んないよね(笑)。だから俺達のライヴは30代以上の人が一番楽しめるんじゃないかな。
──洋楽の洗礼を受ける前は、誰しも必ずそういった日本語ロックに凄く影響を受けている筈なんですけど、その辺を公言するミュージシャンって余りいないですよね。
桜田 普通はもっと恰好のいい海外のミュージシャンを挙げますからね。
火野 ウチは洋楽禁止ですから(笑)。ホントに。やっぱり日本人は日本語で唄うべきなんですよ、絶対に。それはハードコアと精通
してるところなんですけど。
──皆さんが多大なる影響を受けた80年代の日本語ロックと今のJ-ROCKと呼ばれるものとでは、何が決定的に違うんでしょうね。
火野 音の質感は勿論あるんだけど、緊張感が足りないっていうのかな。今のJ-ROCKは余りにもステレオタイプが多すぎるんですよね。もっと自由でいい筈のものが升で量
られてる、みたいな。やたらと手枷、足枷が付きまとうし。
──なるほど。今後のご予定は?
火野 今のところはフル・アルバムを出す計画があるんで、それに向けて動いてます。カセットテープや7インチの形態で出したりするアイディアはもう出し尽くしちゃったんで、また何かゼロから生み出さないと。
山谷 飯嶋さんは秋にリリースするって言ってるけど…予定がねぇ(笑)。曲は作ってるけど、なかなか進んでないしね。まぁ、気長に待ってて下さい。
──ライヴもたとえば野音で雨のなかやるとか、80's アイコンな会場で是非やってほしいですね。
火野 雨の野音はやりたいですねぇ…。で、「TWO
PUNKS」のカヴァーやりたい。
山谷 やっぱりそこでもモッズかよ!(笑)
火野 いや、いつか東京ドームでやりますよ。やったらバンドを解散します(笑)。“LAST
GIGS”は東京ドームで(笑)。
桜田 とにかく一度ライヴを観に来てほしいですよね。どんなバンドか観てくれれば一発で判るから。
火野 急にそんなマジなこと言うと俺がバカみたいじゃん(笑)。
──新宿ロフトでも是非ライヴをやって下さいよ。そこでARBの「LOFT 23時」をカヴァーしてもらって(笑)。
山谷 11時ぴったりになったら皆で“オ、オ、オ…”って(笑)。
火野 いいねぇ、それ。ああ、やりてぇなぁ、カヴァー…(笑)。
★Release
info.
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ハード ヒット ウィルス
MANGROVE LABEL ROOT-046
価格未定
2004.4.25 IN STORES
◎7インチ+VTR BOX SET【限定700】
◎7インチには「畜生ブギー」「ツライDAYS」の2曲、VTRには「畜生ブギー」「OUT
SKOOL」の2曲を収録 |
★Live info.
<衝撃連鎖GIG vol.11“日本脳炎シングル発売記念”>
2004年5月3日(月・祝)下北沢SHELTER
日本脳炎 / JOY (from 新潟) / ANTI JUSTICE (from 大阪) / STRUGGLE FOR
PRIDE
OPEN 18:30 / START 19:00
PRICE: advance-1,800yen / door-2,000yen(共にDRINK代別)
【info.】shimokitazawa SHELTER 03-3466-7430
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