'91年の結成以来、シューゲイザー、メタル、テクノ、アンビエント、ボサノバまでをも飲み込んだ轟音サウンドに 天使でデスなボーカルをのせ、破壊的に美しい作品を発表し続けるCOLTAR OF THE DEEPERS。 今回は2年半ぶりの新作発表ということで、リーダーのNARASAKI氏に話しを聞いた。

―――『PENGUIN.ep』の構想はいつ頃からあったんですか。
「2年前かな。前作のアルバム『newave』を出してすぐに「今度はハードなやつを作 ろう」って考えてた」
―――では、『PENGUIN.ep』の全曲解説をお願いします。
01.Fastest Draw(Dream Man2)
「アルバム『NO THANK YOU』('01)に入ってた『Dream man』をふくらませて作った曲。Dream manというのは、悪人たちを倒す早撃ちのガンマンのことなんだ。ガンマン同士の決闘というと、背中をあわせて3つ数えて撃つのが普通 だよね。でも、Dream manはその決まりごとを守らないの。倒すためだったら手段は選ばないんだ。しかも、正義の味方なんだけどお金はすごく取るの」
―――まるでブラックジャックじゃないですか。
「うん(笑)。だけど、Dream manには、悪党を撃ち殺した後、むなしくなるという慈悲の心もあるんだ」
―――ちょっと悪かったなって思うんですね。
「そうそう。ちょっとだけね(笑)。曲の中で「Dream man」って言ってるとこは最初、オレの声で入れてたんだけど、ちょっと渋さが足りないなと思って、前作同様ベースのYOSHIOの声を音程を変えて使ったんだ。それがオレ的には面 白くてさ」

02.Wipeout
―――これは2003年5月29日@ロフトで初めて演った曲ですね。
「そう、三味線の音が入ってるやつね。一番最初は普通のジャンクな曲だったんだ。それにシーケンスものを入れようってことになって、三味線の音をシンセで作って、打ち込みでパターンを作ったんだ。三味線といえば、朝5時くらいにラジオから「おはようございます。今日のゲストは津軽三味線の山本大さんです」って聞こえてきたんだ。そん時は、すっげぇ、驚いたなぁ〜。だってそいつは昔、ハードコアやってた頃の友だちだからさ。ホント、びっくりしたよ」
―――録音が大変だったと聞きましたが。
「この曲に限っては、最初にドラムを録って後で三味線の音を合わせるようにしたのね。甘く考えてたら全然大変でさ。そのうえ、メーカー側から「歌をもっとラップ調にしろ」って言われてさ。でも、それやっちゃうと普通 にかっこよくなって、逆につまんないじゃんって思うのね」
―――DEEPERSの曲ってすごすぎて笑っちゃうところがありますもんね。
「DEEPERSはただかっこいいだけじゃダメなんだよ」

03.Dead by Dawn
「これはあるゾンビ映画のタイトルから取ったんだ。ジョン・カーペンターが描くようなゾンビに世界を支配されつつある時でも、希望は捨てていないっていうね。でも、歌詞に「さぁ、逃げよう!」ってでてくるんだよねぇ(笑)」
―――ゾンビとは戦わないんですか。
「戦うのもいいんだけど、大量のゾンビ達の合間を「ヒェッー!」って悲鳴をあげながら、逃げるほうがよっぽどスリリングなんじゃないかと。ゲームの『BIOHAZARD』では最後に豆腐っていうキャラクターで戦うんだけど、武器のナイフはほとんど役にたたないから、もう逃げまくるだけなのね。オレはもう全然無理だってあきらめてたんだけど、RUDEBONESの大川君が「豆腐でクリアした」って言ってたんだけど、それはもうね、相当スゴイ! ホント、スゴイ!」

04.Swimmers
「耳休み的に静かな曲。海を浮遊してゆらゆらしている感じかな。今回は全曲激しくやるつもりだったんだけど、最後くらいは静かな曲がいいかなと思って、『MOUSE.ep』に入るはずだった曲をもってきたんだ。それで、オレの今の目標は短く曲を完結させるってことなんだ。何も考えないで普通 に作ると長くなっちゃう。歌が終わってから演奏が2分とか平気であるから。ボーカリストに専念してはじめてわかったんだけど、イントロやアウトロが長いと、ボーカルはやることがなくて暇だね(笑)。ギター持ってた時は全然思わなかったけどさ」
―――今までは何故長くなってたんですかね。
「ループ感覚が好きなのね。同じフレーズを長く続ければ続ける程気持ちよくなってくるからね」
―――500枚限定の『MOUSE.ep』は現在録音中とのことですが、どんな感じになりそうですか。
「ニューウェーブあり、ラテンあり、ボサノバありで。ホントは、最初に『PENGUIN.ep』を聞いて、その次に『MOUSE.ep』を聞いてもらうのがキレイかなと思ってたんだけど、結局、逆になっちゃって。メーカーの人には「限定やし、そんな力入れないでええで」って言われたんだけど、ものすごく気合いを入れて作ってるよ」
―――結構、アルバムのアウトテイクでお茶をにごしてるものとかよくありますもんね。
「しかも、『MOUSE.ep』のほうが全然ポップだから。限定にするのはホントもったいないかなと。すげぇー、ポップ。めちゃポップ。宇宙漂流もののアニソンっぽい曲があるんだけど、それもまたいい曲なんだ」
―――アルバムはどんな感じになりそうですか。
「『PENGUIN.ep』のながれで、ゴリゴリなもので行くのかなと思いつつ、でもまたシューゲ(イザー)に戻ろうかなって。ホント自分が揺れててメンバーに申し訳ないんだけど(笑)。ゴリゴリでバキバキのバンドで行こうかなって思った時期もあったんだけど、デス声ばっかりで歌ってると風邪ひきやすくなって大変でさ」
―――へぇ〜。面白い話ですね。粘膜がやられるんですね。
「だから、去年はずっと風邪ひいてたよ」
―――ゴリゴリもあり、美しいものもありのDEEPERSでいいじゃないですか。
「ホントそういうのイヤなんで。
「もうこれしかやんない!」っていうようなバンドにしたいんだ。ホントに金太郎飴みたいなアルバムを作りたいって思ってるんだよ。ギターウルフみたいなバンドにスゴイ憧れてるしさ」
―――でも、NARASAKIさんって、そういう人間じゃないじゃないですか。
「ウーム。そうなんだよねぇ(笑)。でもね、次のアルバムは絶対、金太郎飴にするから」
―――じゃぁ、ゴリゴリのバキバキでいくんですね。
「いや〜、それはわかんない」
―――もう、迷ってるじゃないですか!
「イヤ、そういうのができたらいいなって思うんだよ。今回の『PENGUIN.ep』は割りかし統一できたなって思うもん。でも、やっぱ最後には静かな曲入れたけどね。今、12月にまた4曲くらい録ってみようかなって思ってるんだ。それで、メタルっぽくするかどうするかでまたちょっと迷ってんだよね」
―――久々のライブ(「おしゃれツア−04」)も楽しみですね。東京はイチマキさんがゲストで出るそうですが、出番は多いんですか。
「うん、多分ね。曲のダブリなしで、二日間で30曲以上やるつもりだよ」
―――それヤバイですね。すごく楽しみにしています。今、DEEPERSってすごく調子良さそうに見えるんですけど。
「演ってて楽しいよ。リハの時でも、みんなガンダムが好きだから、ガンダムの真似とかしてさ(笑)。あんまり音楽の話しねぇなぁ。AKIRA君が『スター・ウォーズ トリロジー』買ったって聞いて、「じゃあ、みんなで貸りて回そう」とか、そんな話しばっかしてる」
―――男子中学生のノリですね。
「うん。来年はライブの数も増やしますよ」

メンバーへのひとくちコメント from NARASAKI
KANNO(Dr) すごくいいドラマーですよ。最高!
YOSHIO(Ba) ヤツも最高ですね。ヤツがいないとバンドは成り立たないですね。ムードメーカー的な存在。
KOJI(Gu) 「ココバット辞めたんだったら、またやってよ」「うん、いいよ」って感じでまた一緒に演ってる。安定感があるよね。
AKIRA(Gu) イチマキが休むことになって、「ちょっとやってくんない」って言ったら向こうも「待ってました」って感じだったみたいで。 その時のメンタルな部分が全てギターの音に出るっていう繊細なタイプ。それはすごくいいことだと思う。


◆Release info.
ツアー3会場500枚限定『MOUSE.ep』
PENGUIN EP
轟音Guiter&Bassの嵐!
インダストリアル・ビート炸裂!
1,575 yen(Tax in)

01.FASTEST DRAW(DREAM MAN2)
02.WIPEOUT
03.DEAD BY DAWN
04.SWIMMERS

 

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