古居みずえ監督作品
(2005年/DVCAM(NTSC)/106分/日本映画)
(C)2005 安岡フィルムズ/アジアプレス・インターナショナル
5月20日(土)より全国主要都市にて同時公開!
東京:アップリンクX
大阪:シネ・ヌーヴォ
名古屋:シネマテーク http://www.ghada.jp/
女の情感こそが、もしかしたらこの世界を変える可能性を持つのかもしれない。
──森達也(映画監督・ドキュメンタリー作家)
1988年7月、ひとりの女性ジャーナリストが戦火のパレスチナで取材をはじめた。古居みずえ・当時40歳。大病を経験し普通
のOL生活から人生を大きくシフトした。以来、17年間、記録した映像は500時間。女性やこども、老人たち…けして戦場だけではない人々の日々の暮らしと闘いをとらえた。
本作では主人公・ガーダの結婚・出産、そして、みずからの生き方を歩み始める23才から35才までの12年間を縦軸としながら、パレスチナの過去・現在・未来を描いている。これまであまり紹介されることのなかった自然豊かなパレスチナの風景をバックに、語り継がれてきた素朴な歌の数々が紹介される。厳しい状況に追い込まれながらも唄うことを忘れない、ほがらかな老婆の顔に刻まれたシワが美しい。
古居の単独取材による映像を、「A」「A2」(森達也監督)や「Little
Birds -イラク 戦火の家族たち」(綿井健陽監督)の安岡卓治が編集。永年、古居の取材を支えてきたアジアプレス・インターナショナルの代表・野中章弘が製作として参加。映像ジャーナリズムが映画へと昇華した珠玉
の女性映画。
(STORY)
大地 自由 平和 夢・・・歌うことが希望をつなぐ
パレスチナ女性ガーダは、ガザ地区難民キャンプで生まれ育った。ガザ地区南部は古い慣習の残っている地域だ。そんな中で、自立心の強いガーダは伝統的な結婚式を拒否しようとし、今までのやり方にこだわる母親や友人、婚約者の母親とぶつかっていく。結局、ガーダは結婚式をあげず、花婿のナセルとエジプトに新婚旅行に出かける。1996年ガーダは最初の子、ガイダを出産し、女性として新しい生き方を貫いていく。
しかし2000年、パレスチナでは第二次抵抗運動が始まる。親戚
の男の子カラムの死を目にし、母親として気持ちを揺り動かされる。ガーダは、パレスチナ人としてのアイデンティティーに目覚める。幼い頃、祖母から聞いた故郷の話や歌がガーダの心に蘇り、1948年に追われた話を、祖母年代の女性たちから聞き始める。
100歳になるハリーマは人生の終末でイスラエル軍によって家を壊され、テント暮らしになる。ガーダはハリーマから土地に根付くパレスチナ人の心意気に魅せられる。イスラエルとの国境に生きるウンム・バシームは農業や放牧を続けている。ガーダはウンム・バシームの生活を自分の故郷ベイトダラスに重ね合わせる。
ガーダというパレスチナ女性の生き様を通して、いまだに残る古い慣習を浮かび上がらせると同時に、パレスチナの原点を新しい世代につないで行こうと決心する1人の女性の成長を描く。
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