Highball Night With Single Malt supported by suntory INTRODUCTION

"譜面にのらない音=バンドとしての音"を支持し続けてきた30年
来たる2006年10月1日。新宿ロフトはオープンから30年を迎えます。

 30年前の1976年といえば、欧米ではロック・ミュージックが文化としても確立し、認識された時でした。それと同時に、音楽ビジネス生み出す肥大化した歪みとオーディエンスとのすれ違いからパンク・ロックというムーヴメントが生まれる時でした。

 そんな時に西新宿のビルの地下に新宿ロフトはオープンしました。日本では「フォーク」が「ニューミュージック」へと変わり行く時でもあり、その他様々なジャンルの音楽にとっても決して恵まれない不毛の時代だったように思われます。そんな中でその時々で流れていく、後にメジャー・アーティストとなる数々のアーティストから、様々なジャンルの音楽をその時々の今を伝えコミュニケートする場所としてロフトは続けてきました。

 矢野顕子やサディスティックス、南佳孝などが出演した2週間のオープニング・セレモニー、後のインディーズ・ブームの先駆的な火付けとなり日本のロック史上においても重要なポイントとなる「ドライヴトゥ80」。数々の伝説的なライヴを行ったARB、アナーキー、ルースターズ、BOφWYなどが個性的な活動を続け、1983年にはラフィンノーズ、有頂天、ウィラードなどを中心にインディーズ・ブームが起こり、1988年頃からはホコ天、イカ天による空前のバンド・ブームが巻き起こり数々のバンドがデビューしました。バンド・ブームも一段落し、落ち着きを取り戻し始めた1992年にビル立ち退きを巡りビルオーナーとの間で裁判が起こり、1994年には東京地裁にて第一審敗訴の判決を受けました、そのような中でアーティスト主導のロフト存続支援のイベント「KEEP THE LOFT」が日比谷野音にて行われ総勢80人にも及ぶアーティスト、文化人の方々に参加して頂き、同時に全国から寄せられたロフト存続のための署名は1万8千を超え、1995年にはビルオーナーと和解ということに落ち着き、1997年には開店20周年記念として「日本武道館」においてスペシャル・イヴェントが行われました。西新宿の地で20年以上に渡って数々のアーティストが踏みしめていった市松模様のステージは、1999年3月に一旦幕を下ろし、同年4月、新たにあらゆる人種・文化が交錯する日本有数の歓楽街「歌舞伎町」において幕を開けました。

 30年間という長い間に渡りロフトを続けてこられたのも、送り手のアーティストと受け手のオーディエンスとの間でそこでしか得られない距離感や今という瞬間がその時々で確実に存在し支持されてきたからだと考えます。インターネットやマルチメディアが一般社会に普通に存在しデジタル化された時代の中でライヴハウスというアナログな世界から今までもこれからも変わらずに“譜面にのらない音=バンドとしての音”を支持し続けていきたいと考えます。

 30年目の今年を記念の1年間とし、今までから今、そして今からを1年間通して発信したいと考えます。

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