LOFT PROJECTのスタッフが新宿ロフトで観たライブで一番印象深いものをレポート!隔週更新!! 第2回 「幻のバンド ルースターズ」 平野 悠(ロフト席亭)ロフトWeb班のアカセ嬢から、新宿ロフト30周年ページ用に、「Legendry Live」(伝説の……)というタイトルで、「一番印象深いライブレポートの原稿を書いてください」という指令が来た。「なんとも難しい注文だな……一番印象に残るライブかね……?」なんてぶつぶつ言いながら、私だって考えてみたぞ。始めは、「そうか? かの梅造大先生がじゃがたらだったらわたしゃ、じゃがたらに負けず劣らずの不良バンド・フールズしかないな」なんて思ったけど、今回はそういう切り口ではなくって、ちゃんとしたバンドが良いなって考え直した。ロックなんか知らない私でも、いろいろ思い出深いバンドはありすぎる程あるけれども、私らライブハウスのスタッフは、日々あまりにいろんな事がありすぎて、店での事件(ケンカ・セックス・ロケンロール)や感動やその他もろもろの事は、その日の「恐怖の打ち上げ」で全て忘れなければ仕事にならないのである。全てその日にあったことはその日のうちに忘れるように訓練されているのだ。 <やはりリバプールサウンドの大江ルースターズしかない……> 80年代に起きたムーブメント、誰が名付けたか「めんたいビート」は丁度、新宿ロフトのメインブッカーが突然やめてしまって私が新宿ロフトのブッキングをやっている頃だった。サンハウス、モッズ、ルースターズ、ロッカーズ、アップビート、アンジー、シーナ&ロケッツ、ARB……。そうだアクシデンツを入れないと原島御大からぶっ殺されるかな?(笑)そうなって来ると、あの柏木省三&安藤広一率いる1984山善やパワーハウス……ここまで来たら、チューリップや海援隊も入れてしまうか? 俺は一体何を書きたいんだ〜? そうだ、ルースターズのことだったよな。 <復活した幻のバンドルースターズ>
時代は流れて、04年7月26日、「リスペクタブル・ルースターズ」の会場は熱気で一杯だった。新宿ロフトにはロフト担当者の「当日はルースターズの出演はありません。この日はルースターズをリスペクトするバンドの演奏があるだけですよ」と注意書きまでしてあった。だが「不安と期待」が入り交じった会場で、当日初めて「実は突然、フジロック出演のリハーサルも含めてロフトでやってもいいという話になった」と、横山プロデューサーが打ち明けてくれた。わたしゃ、ぶっ飛んだね。
ウソついたとかつかなかったというよりも、今この目で、大江ルースターズを観れるんだっていうだけで感激していた訳だ。わたしゃ、勿論その直後のフジロックでも観た。今年のフジロックでは、大江・花田・井上がほんの小さなジプシーアヴァロンステージで、アコーステックバージョンでやった。本当にリラックスした連中を観て、聴いて涙が出てきたな。もちろん石井聰亙監督のDVD(『RE-BIRTH』)も、映像といい音といい申し分なかったな。伝説のルースターズをまだ観たことがない人はこれは絶対だよ。なぜあれから22年近く経った今、私らジジイが「ルースターズ」にこだわるのか? 若いロックファン諸君が、そのルースターズの映像でも観て考えてくれたら、私もこの「駄文」を書いた甲斐があるっていうもんだ。 RE・BIRTH II
Columbia Music Entertainment/TRIAD COBA-50867〜8
|