その場になってみないとわからない
―――今回2年半ぶりのフルアルバムとなるわけですが、2nd.albumなのにタイトルが『ten』っていうのは?
ゴンダ 10枚目のアルバムってことではないんだけどね(苦笑)。10にするとロックの魔法がかかる感じがするんだよ。ボクシングもカウントがtenだし、アンプとかもフルテンっていうし。
―――“ten=MAX”みたいな???
ゴンダ MAXとか勝ちとか…。今のGRiPをMAXに出した感じかなあ。
―――今回のアルバムは以前リリースされている作品に比べて勢いが増したと思ったんです。あと普通のロックだけじゃなくて、ダンスナンバーがあったり『WINTER』みたいな優しい曲もあり…。
ゴンダ フルアルバムを作るにあたって起承転結というか春夏秋冬みたいなのが欲しいじゃない。ライブでも起承転結つけたくなるぐらいだもん。今回のアルバムはだいたいライブでやったことある曲なんだけど新曲作るにあたって、まずライブで1回演奏するってのがウチらのやり方で、構成もおおざっぱにしか決まってないんだけど、なんとなく1番はこんなかんじの歌詞であとは出たとこ勝負っていう…。ライブでやったときに一気に見える景色ってのが絶対なんだよね。家でライブを想像しながらやるんだけど、まだ全然固まってない粘土みたいなものでライブで出すと、核がしっかりするものになるんだよ。
―――勢いでやったほうがいいものができたりしますもんね。
ゴンダ 決め込まないでっていうのがそこまで来たかって感じなんだけど(笑)。
―――ということは、いつかライブ中にいきなり曲が出来上がるかもしれないんですね。
ゴンダ 絶対ある!! 今でもほぼそんなかんじだもん。構成とか含め、リハで何回やっても展開がどう必要なのかわからないもん。バンドをやってるとライブにいろんなものが集約されるというか、すごい一瞬で無敵になれたりとか、あの感触はなんだったんだとかライブっていっぱいあるじゃない?あんまり決め込んでないのは正直『still(1st.mini album)』の時よりあったよ。ライブだって曲順決まってないもん。雰囲気とか対バンとか会場の感じで当日変わるもんな。ある程度考えるのはもちろんあるんだけど、突き詰めて考えるとその場になってみないとわからない。
―――かなり出たとこ勝負的な…。
ゴンダ その時の気分で演奏も全部変わるし。レコーディングにしても歌詞にしても向き合ってちゃんとやるんだけど、出来上がって並べるとなるほどねってことになってたりして、そういうのがバンドマジック。何にも考えてないのに、まとまるんだなって(笑)。でも、それはずっとGRiPの初めから言ってて、バンドは個々の生き様みたいなものがコンセプトだと思うんだよね。GRiPの場合3人だから余計に音も少ないしそれが出ちゃう。それがきっとバンドの売りであってコンセプトであったりするし、その人の何までは変えられないもんね。
―――個性がそのまま音に出てるし、勢いでやったらいいのができた。
ゴンダ うん。毎回「これ名盤!」って思うもん。あと、より決め込んでいかないというのを極めてきてるなって(笑)。
―――CD聞いてライブを想像できる。6曲目まですごい勢い持ってて『WINTER』でしっとりきてすごく聞き易かったです。
ゴンダ 10曲って長いじゃん。ウチらは詰め込みたがりなんで気が付くと曲が6分、7分ぐらいしちゃうんですけど、フルアルバムだからあんまり長いのはだるいなっていうのは決めてたかもしれない。
―――1曲で起承転結というよりは全部で起承転結。
ゴンダ アッという間に聞き終わっちゃう様なアルバムがいいなって。『光』はちょっと長かったけどね。長くなる曲だろうなとは思ってたけど、曲が短いバンドって好きなんだよな。
無駄なものを削ぎ落としたから
―――さっき『WINTER』の話を出したんですけど、この詞はかなりキュンと来ますね。
ゴンダ 普通にいい曲を作りたかったんだよ。でも女心わからないから、少女マンガとか読んでみようかと思って(笑)。『WINTER』に関しては実体験でもあるんだけど、男は意外とこういう思いをしてるんじゃないかと思いますね。けっこう男の人はひきずってるもんですよ。
―――でも、少女マンガ読んだとたん詞ががらっと変わったりして…。
ゴンダ いきなりポイントつきまくりのね(笑)。
―――女心が分からない方がこういう詞が書けるんじゃないですかね。
ゴンダ 大丈夫かな。オレものすごくずれてないかなって思ったりもするけど(笑)。寅さんみたいになっちゃうんじゃないかって。
―――それはないと思いますよ(笑)。あと、GRiPの詞は日本詞だから読んでて情景が伝わりますね。
ゴンダ 画が浮かぶような歌詞にしたいなって思うし。ただ英語の曲が嫌いなわけでもない。実際1曲目は英語だし。対バンするバンドで英語のバンドもいて、いいなって思うんですけどね。英語に訳してくれる友達がいて連絡が繋がったときは英語の部分が増えるんだけど繋がらないと日本語でっていう。
―――友達次第ってこと?
ゴンダ なんでもそうなんだけど、あまり流れに逆らわない。今日はこういう日だなって。だからこれは日本語で書けってことかなって(笑)。
―――その潔さがいいのかもしれないですよね。できなかったらどうしようっていう追い込まれ方もしないだろうし。
ゴンダ 実際すごく追い込まれてる人がいたら失礼かもしれないけど、、、ないね。
―――だからゴンダさんってそんなイキイキしてるんですかね。それがバンドにもリンクしていい状態になっているんじゃないんですか?
ゴンダ だといいんだけど。バンドっていうのは自分達が日々感じたりすることがあって、表現してることが全て。そこが生き様と一緒で変えられないからね。音同士ぶつかってもいいし、ウマイ具合に隙間をいってもいいし。3人っていう少ない編成のバンドをやってるから削ぎ落としてくでしょ。生きていくといろいろな余分なモノって多くて、今まではそういうものもがんばって吸収してたんだけど、『still』から『ten』に至るまでに削ぎ落としてきたのかもね。
―――かなりシンプルな形になったと。
ゴンダ 無駄なものを省いた生き方をしてるかも。自分でレーベルやってたりしてたけど、今はレーベルに所属して手伝ってくれる人がいるから音楽に集中できるもん。まあレーベルやってたからDo it your selfで動くことはできるんだけど、今はより音楽と向き合える環境になって幸せなことだね。だからと言って今までやってきたことが無駄なことではないんだけど、紙資料作ったりとかオレがやることじゃないだろっていうことにようやく気付いたんだよ。他の人がコメント書いてくれた方がまわりに伝わるなって。それがオレにとっての無駄を省いていくっていうことのひとつだったし、結局バンドをやってるんだから新曲作って音を作って、人に届けるライブするぐらいしかやることないじゃんっていう気がする。それだけやってればいいじゃん!バンドとかやってるやつは。
―――それが一番シンプルなことですからね。
ゴンダ 他にもいろいろあるけど、それが一番得意であって自分にしかできないこと。それを研ぎ澄ますっていうのはいいことだよねっていう感じになってきたかな。
―――ということは、今かなりいい環境でバンドもできていていい状況でアルバムを出せて今の仲間がいて。
ゴンダ そうだね。状態がいいからよりもっとこうしたいああしたいっていうのは感じるけどね。毎年1枚ぐらいはアルバム出したいと思うし、アルバム出してツアーやるっていうのが1年の1番大きい行事で、1番しっかりやらなきゃいけないところでもあるから、それをどう届けていくかというのをよりやっていきたいな。このままの状態でね。いきなり人が変わっちゃうのもイヤじゃん。
―――ゴンダさんの全てを受け止めてもらいたい!と。
ゴンダ 変わっちゃったら意味ないと思うから。そのままのオレを受け止めてくれとは言ってるんだけど、そのままであることで戦っていかなきゃならないこともあると思う。結局は今応援してくれてる人がすごく大事なわけで、さらに広げていきたいというのはお客さんの自慢になるべきだと思うし期待されてるとも思うし。変わっちゃったら意味がない。比較的今までのんびりやってきたんで、ゆっくりゆっくり登っていこうかな。
―――イイ感じですね。
ゴンダ イイ感じですよ。
ロフトのワンマンですごい成長してると思う
―――そこで11月からは『ten』ツアーも始まるわけですが。11/15にロフトでレコ発やってツアーまわって2006/1/28のロフトに戻って来るという。
ゴンダ ツアーファイナルのロフトワンマンはみんな大集合だね。
―――レコ発のロフトとファイナルのロフトはかなり変わってそうですよね。
ゴンダ 全然違うだろうね。両方見たら涙出てくるかも。よくがんばったねって(笑)。すごい成長してると思うし。ロフト終わってツアー行って、その間に北海道は2daysやったり。北海道はお客さんがすごくあったかい!ツアー行くといろんな文化の中に入ってタフになるよね。現場の空気も耳で聞くより体感したほうがすごいよくわかるし、鍛えられるよね。それでロフト戻って来るときにはすごいことになってるかも。
―――じゃあ、そのロフトワンマンの意気込みを語ってもらいましょうか。
ゴンダ ツアーの始めと最後は使用前・使用後みたいになってると思います(笑)。すごいいいからとりあえずだまされたと思って来てみて。絶対後悔はさせないし、最高の気分で歌舞伎町の街を帰ってくれ!
―――かっこいいですねぇ。
ゴンダ (照笑)遊び来てよ…。
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