ライブの良さを知ってもらいたい
―――まず『SHIBUYA HEART ATTACK!!』のイベント趣旨とどんな経緯でやろうと思ったのかを企画者の南雲さんにお聞きしたいです。
南雲 KOKORAHENっていうフリーペーパーやイベントで新しいバンドをどんどん紹介していくっていう事を今までやってきて、その中で、もっとたくさんのバンドを広めていくにはある程度、話題性のあることをやらないとみんなの注目を集めることはできないかなと思ったりして。それと同時に渋谷の街を使って大きくイベントをやることによって普段ライブに行かない人たちにもライブハウスに足を運んでもらってライブっていうものの素晴らしさを伝えられればなって。ヒダカさん(BEAT CRUSADERS)と話をしていてもクラブシーンは盛り上がっているのにライブハウスシーンっていうものがちょっと元気がないんじゃないかって。あと、東京は情報が氾濫しているけど、地方に行くと情報って行き届いてないじゃないですか。それでもライブハウスに来るお客さんはちゃんといて、いいライブをしたら次に繋がる。結局ものすごい量の情報なんかライブハウスで生でふれることにはかなわないと思うんです。だからこそ今後の音楽シーンを作っていく上で大事なのは、ライブハウスに来るお客さん一人一人の目線に立つことなんじゃないかって思ったんです。
横山 確かに昔ほどライブハウスの個性がなくなってきたよね。
南雲 昔はライブハウスがアーティストを育ててたイメージがありましたけど、最近そういうのがあまりない気がするんですよ。
横山 ライブハウスとお客さん、バンドとライブハウス、レコード会社とライブハウスの関係性が明らかに20年前と比べると変わってきているよね。でも、自分達が青春時代に行ってた時のような空気がないということを若い人に押しつけることはボクはちょっと違うな。自分がライブハウスをやってるからね。歴史があるものなんだから前はこうだったっていうのはこだわりたくない。
南雲 ライブハウスを見てても正直厳しい状況ではあると思うんです。海外だと想像以上に音楽が生活に根付いている。バーで飲んでたらたまたまこのバンドがやってたっていうのがあったりして、普通に触れる環境にある。そういう部分が日本にはないじゃないですか。ライブハウスは誰かを目当てに行く。だからお客さんに向けてっていうのもあるけどライブハウスも環境を良くしていくためにこれを機会に一緒に考えて行けたらな。
横山 2,3000円払ってライブハウスに行くっていうスタイルは日本だけの文化だと思うんです。海外はお酒が中心にあってプラス音楽。タダでライブ見てお酒飲んでもらってお店まわるんだったら一番いいスタイルだと思うけど、欧米はこうだからっていうのをマネしても文化が違うんだからしょうがないじゃないですか。日本はライブハウスに入るのにお金もかかるし敷居も高いからなんとなく抵抗があると思うけど、それは生活に根付く根付かないはまた別のことなんじゃないかなと。日本人はCD買って聞いてライブに行くって言うスタイルだけど、アメリカはライブ見てから音源買うっていう。それはそれぞれの音楽の付き合い方で、どっちがいいとか音楽に思い入れがあるとかはまた別かな。
南雲 今って便利な世の中になっていて、曲がネットでダウンロードができたりして、今後も進化していくと思うんです。でも、生で触れるっていうのはどんなに便利な世の中になってもなくならないと思う。ライブに触れて、いいと思ったらCDを買って欲しい。そういうのが純粋なボクの夢ですね。
SENSHO1500 確かに音楽がインターネットで買えたりとかっていうのは便利だけど、生の迫力って触れると全然違うし。
南雲 そうそう。今回のイベントは知ってもらうきっかけを作りたいというか。ただ、こういうイベントでもお目当てのバンドは見て、知らないバンドは見ないってことが結局は多いじゃないですか。主催側からしたら紹介したいアーティストがいっぱいいるのに。だから今回あらかじめチケットにコンピがついてるんです。コンピを聞いて気に入ったらライブを見て欲しい。
ライブってもっと楽しいじゃん
SENSHO1500 例えばこういう企画ってその日プラス未来への投資。1個種をまくっていうのは悪いことじゃないじゃん。
―――いいこと言いますね。
南雲 さっきボクが言ったことでしょ(笑)。
全員 言ってないから!
南雲 こないだSENSHOさんが「今後も続けてくなら出るよ」って言ってくれたんですよ。
SENSHO1500 1回で終わるなら出ないって。日本でこんなおもしろいシーンがあるなら海外からバンド誘ってやるのもいいだろうし。そのぐらい先をみとかないと。
横山 それこそ日本のSXSWになるぐらい。僕はライブハウスシーンの先が暗いとか全然思ってなくて、商売だから流行る時もあればお客さんが入らないこともある。その中で音楽が好きでライブが好きで来てくれる人は現実にいるから、そういう人に嘘をつかずやることが一番の恩返しだし誠意があることでしょ。ライブの動員やCDを聞いてくれる人が増えるのは素晴らしいけど、聞く人なりのスタイルで音楽に接していけばいいし、音楽はつまらないものではないからどういう付き合い方をしても、欲しい人は必ず最後まで欲しがってくれるっていう自信は持ってますよ。
南雲 そこでライブハウスでライブに触れることが一番純粋だと思う。
横山 ただ、ライブのひとつひとつはプロモーションの一環なんですよね。効率的にプロモーションをするならいっぱいのお客さんに見てもらいたい。それは正直なところだし、この考え方を汚いことだとも思わない。ただそれを商売に結びつけるものではない。
SENSHO1500 アーティストから見たライブの在り方とお客さんから見たライブの在り方は違うと思うんですよ。ライブハウスを経営している側の気持ちもあると思うんだけど、もっとそれぞれの距離が近い方がいい気がしますね。ライブってもっと楽しいじゃん、だから来てよっていう姿勢も嫌いではない。
―――風通しを良くしようっていう。でもお客さんからしたらイベントがどういう形でも好きなバンドが出れば見に行くじゃないですか。今回こういうイベントをやることによってどういう差別化を考えてます?
南雲 差別化ということより、どうしたらライブハウスに足を運んでもらえるか、新しいアーティストを紹介できるかというようなことを考えて、7カ所のライブハウスで同時にやったり、コンピを付けたりっていうようなことをしようと思ったんですよね。
―――ファン代表の鈴木さんとしてはこういうイベントどうですか?
鈴木 イベントは好きなバンドが出てればもちろん見ますけど、チケットもお手頃な値段だし、こんな時ぐらいしか見たことがないバンドが見れることって少ないし、こういうところで知って好きになることもあるし、イベントがある限りは見に行くと思いますね。そういうのがきっかけでライブハウスに行くようになってる子がいっぱいいると思うし。イベントを企画する人に憧れて、イベントやりたいっていう人が増えれば自然とライブハウスも盛り上がりますからね。
南雲 だから今回値段も3000円にしてるんですよ。お金がない中でチケット代払ってライブハウスになかなか行けないですよ。特にライブハウスに行ったことない人は。ひとつの案として金額がすごく安くて友達に誘われたら軽い気持ちで行くと思うんですよね。
横山 ミュージシャン側として、お金を払ってもらってるからには自分のバンドは商品だと思ってるんですよ。寂しいって言われるかもしれないけど、商品だからこそ市場というものが存在してそこで強弱が付けられる。それが健全なんじゃないかな。それで割り切れない部分があるから弱でもやっていける部分があるんです。弱なのに満たされる部分もあるし、経済的には弱い形だけどすごく充実感があったりするんだよ。バンドマンとして志を形にするならお金をなしでやってみるのも嘘臭いと思ってしまう。
いいバンドはいっぱいいるから
―――ところで、20日・23日のイベントに出演するバンドの基準はありました?
南雲 企画者が3人いるんですけど、この3人がいいと思ったバンドに声をかけてっていう感じで決めていきました。
―――注目はされてないけど世に幅広く聞いて欲しいっていうところですね。
南雲 そうそう。そういうバンドを紹介したい。
―――その役目を南雲さんがやろうと思ったのはなぜですか?
SENSHO1500 南雲君の意見としてはライブハウスっていう場を紹介したい、ライブハウスって楽しいんだよって。あれだけの音量で音楽聞くって感動するし、それがどんなバンドでも楽しいと思うし。それがきっかけで音楽をもっと知ればいいし、その活性の一端ですね。
AXは思い出作り…?
―――20日のチケットで後夜祭のAXも見れちゃうって画期的ですね。
SENSHO1500 まだまだ小さいバンドでもこうやってデカイステージに立ってみようよってことでしょ?
横山 僕らもあと10年経ったところでAXでできるかわからないしね。やってみてもいいかな。思い出作りのために…。
南雲 人選間違えたかな(苦笑)。せっかくならそういうところで立ってるのを見てみたいんですよ、僕がお客さんの立場だったら。
―――既存のイベントで勉強したことを『SHIBUYA HEART ATTACK! 』に生かしてきたいってことですよね。
南雲 いろんな立場から見てこうしたほうがいいんじゃないかってところをね。
SENSHO1500 昔ロフトのイベントでリキッドと行き来できるのあったじゃないですか。あれは出演者側も楽しかった。。ライブハウスって好きなバンドをみんなで共有できるじゃん。なのにせっかく夏フェスが盛り上がってきてるけど結局フェス止まり。こういうフェスってライブハウスでももっとできるんじゃない?音楽って1個だけじゃないし、楽器だけじゃないし、ライブハウスだけじゃないし。もっとひっくるめてね。
―――しかもフェスって値段が高くてあんまり行けないですしね。でも、これは3000円でこれだけ見れたらかなりお客さんとしてもいいですよね。
SENSHO1500 CDついてくるしね。
横山 こんなお得なライブないし、こんな刺激的なライブない!しがらみがない!!! 今までこんなイベントなかったじゃん!!!!! だからすごい刺激的な1日になると思う。
SENSHO1500 なんでまとめに入ってるの?そろそろ帰らなきゃいけないわけ?(笑)
横山 (笑)違うよ。触れたことのないアーティストを見るすごくいいチャンスだと思うんですよ。ホントに、この機会にぜひ見ていろんなライブハウスに行ってもらって音楽に触れてもらうことがあなたの人生を豊にすると誓います。すごく絶対素晴らしいイベントだと断言できますので、あなたの音楽人生を変える一大事件になりますよ。
コミュニケーションしようぜ
―――来年の野望とかももうできてたりするんですか?
南雲 正直なところ、いっぱいいっぱいなところでやってるので…。形にしたいとは思っています。
横山 この名前でこのスタイルでやるかはわからないけど、姿勢としてはこういうもので打ち出していくのはいいと思うし、バンドに対してもすごく健全な楽しくなりそうなものだと思うから続けて欲しいですよ。
SENSHO1500 テルスターとか8年もやってライブハウスの第一線で活躍してるバンドがこういうのに出るっていうのはリアリティーがあるし。ライブってコミニュケーションだから、お客さんとコミニュケーションするのがおもしろい。
―――西新宿のロフトが移転してキャッチフレーズが“ロッキンコミニュケーション新宿ロフト”になったんですけど、ライブハウスはコミニュケーションの場なんだよという意味なんです。
SENSHO1500 ライブハウス来てお客さん同士の横の繋がりができてもいいし。CD聞く感覚とか配信されてる感覚とは違うし、ライブってその場だけの真剣勝負。そういうのに触れるのは音楽に対して感覚が変わるような気がするよね。
横山 それとミュージシャン同士でつるむ必要はないけど、未来を話せるアーティストでいたい。ミュージシャン同士がもっと交流してもいいんじゃないかなって思うよ。11/20は『SHIBUYA HEART ATTACK! 』 でコミニュケーションしようぜと。
南雲 意気込みとかってないですけど、楽しんでもらえることが何よりですよ。アーティストを含め楽しんでもらえれば。自分もお客さんとしていろいろ楽しみたいと思います。
鈴木 こういうライブはありがたいです。ライブハウスから遠ざかってる人も今行ってる人も見れるライブだと思います。
横山 ワクワクするぜー。
SENSHO1500 ドキドキするぜー。
南雲 まあまあ(笑)
SENSHO1500 ライブハウスって怖い人がいるイメージだったけど、今ライブハウスはもっと気軽な場所だから、音楽を大音量で聞いておもしろいなっていういいきっかけになればいいと思います。
横山 音楽ってのはアーティストもチャンスですし、やってる方もスタッフも演じるもお客さんもワクワクドキドキ感を持って僕たちも期待を裏切らない素晴らしいライブをして、僕らも楽しめるようにやれれば見に来る人にも伝わるはずだし。そういう気持ちで望みたいと思います。でさぁ、……この日のギャラいくらもらえるの?
全員 (笑)
南雲 人選やっぱり間違えた。。。
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