今できる精一杯のものを作りたかった
―――では、3rdミニアルバム『Please,Please』が1月18日にリリースされるわけですけど、まずこれまでの作品も全部ミニアルバムで今回もミニアルバムにしたのは? フルにするにはもう少しあたためたかったとか???
田端(謙人/B&Vo):本当はフルアルバムを制作するつもりだったんですよ。それで曲も作ったんです。でも、よし行こう! って時に今までと変わらない感じに物足りなさを感じちゃったんです。それでもう一度作り直そうと思って一からレコーディングに入ろうと思ったら、そのペースに鈴木(祐一/Vo&G)くんが付いていけなくなって、そこでレコーディングを中断して時間をあけてからフルを作るか、今ある曲を組み立て直してミニにするかという判断をしなければならなくなったんです。でも、レコーディングを中断するのはイヤだったし、その時のものを出したい、今できる精一杯のものを作ろうってことで急遽ミニに変更してリリースすることになったんです。レコーディングもオケは10曲済んでたんですけどね。
―――フルの重量のままミニになったってことだったんですね。ところで、WONDERSは今までもあたたかみのあるかわいらしいジャケ写だったというイメージを持ってますが、今回は?
鈴木:今回はPOTSHOTのサトシさんにお願いして。冬っぽいソナタ的な感じが出ています。
―――ヨン様ですか(苦笑)。でも、ジャケが表しているようにWONDERSの曲はあったかい曲が多いと感じるんですけど、あと全体的にフォーク的な懐かしい曲も多い。
鈴木:作ってる時にそういう音楽を聴いていたからかな。
―――どういう曲を聴いてたんですか?
田端:アルバムによって違うんですけど、今回一番聞いたのがTHE BEATLES、THE STROKES、Paul McCartney、John Lennon、Franz Ferdinandとかずっと流してたんですよ。
―――ルーツとして昔のフォークを聴いたりしてた人たちなのかと思ってました。
鈴木:サウンド的にドラムのスネアの音は昔っぽいとかありますね。
―――じゃあ物心ついて買ったCDとか聴いてた曲って覚えてます?
田端:キョンキョンですね。
鈴木:おれは藤井フミヤ。
田端:うちの親がユーミン大好きで子供の頃けっこうユーミン聴いてましたね。
―――だいたいインタビューしてもみなさん洋楽とかかっこいいものを言うんですよ。でも、小さい時から洋楽聴いてる人って少ないと思うんだけど…。
田端:あ、それなら初めて買ったCDだと言ったらhideですね。
鈴木:俺は藤井フミヤの『True Love』。
関根(伸一/Dr&Vo):俺はKANの『愛は勝つ』。流行ってたんですよね。
―――だからJ-POPど真ん中を聴いてきた私みたいな人でもWONDERSの曲は聴い易いって思うのかも。さらっと入ってくる感じがしましたね。
妄想満載ですよ
―――じゃあ、タイトルにもなっている『Please,Please』(M-2)ですけど、これをアルバムタイトルにしたのは?
鈴木:最初に言葉の雰囲気で選んだのと、同じ単語を繰り返すのがいいかなって思ったから。響き重視で。
―――この詩は、ちょっと切ない感じがしますね。
鈴木:これは地元の仲のいい友達の話で、そいつが恋をしてたんです。好きな子に振り向いてもらえない男の子の心。振り向いてくれみたいな。そいつは不器用な奴でお酒が入らないと電話できないみたいな。そういう男の人って多いんですよ。
―――男の人が書く恋愛の詩って、女子側からしたら男子側の気持ちってわからないからこういう男心が垣間見れる詩って好きです。
鈴木:なかなか行動に起こせないというか、思ってることを素直にできないというか、今何やってるんだろうなとか、休日は他の男の子とどっか遊びに行ってるんだろうなとか。妄想満載ですね。
―――この最後は結ばれたのかなって考えたりもしましたよ。では、お互いの詩を聞いてグッと来るときってあります?
田端:そうですね。3人とも幼なじみだからお互いのことがだいたいわかってるし伝わりやすい。聴いてくれた人は自分なりの解釈をして自分なりに膨らまして聴いてもらいたいですね。
関根:曲を作って歌詞をあてると気持ちいい部分も出来てきたし、素直さも出てていいんじゃない?ってしっくり来ました。
鈴木:歌詞って全部を読んでいいなと思うのもいいんですけど、フレーズがグッと来た方が残るじゃないですか。ここの一部分がいいよっていうのが欲しくて書いたんですけど、どうなんですかね。あと今回のミニアルバムは今までと違くして仮歌で英語で歌ってたんです。それをとっといて英語の響きから歌詞を浮かばせたり、今回はみんなで歌詞を作ったりしましたね。あと、ケントマン(田端)が5曲目の『プラスティック・ランド』の詞にある「クリーム色の夜空」っていうのは、そこをどうしても使いたいっていうので膨らませた。それははずせないって。
田端:メルヘンチックな世界をね。
―――『プラスティック・ランド』はサウンド的なものも含めディズニーランドっぽい。
田端:僕、歌詞書くの初めてで、書いてもなんか嘘っぽい感じになっちゃうんですよ。それで、自分が素になれる時ってどんな時なんだろうって考えたら、それって酔ったときだなと。それで、ちょっと飲んで自分の今の気持ちとか想像なりを書いてて朝起きたら「なんだこれ!」って(笑)。 全然記憶とかないんですけど。
―――ホントに自分の気持ちがそのまま出てると。
関根:だと思います。想像する世界というか。曲を流してその曲の世界に入り込んだというか。プラスティック・ランドっていう世界があって、そこで起こることとかそういうものが書いてある。おとぎの国の。
鈴木:人形が踊ってるような。そんなイメージで。
―――かなり妄想きてますね(苦笑)。じゃあこのアルバムには珍しいサウンドの『Stars』は?
田端:これは全員で書いた。まさに今の自分達の心境ですよ。
―――『Stars』は星?
関根:手を合わせて手を繋いでというところから、手を星に例えて、繋ぐ手は2つだからstars。
―――かわいらしいですね。今まで歌を大事にしてきた楽曲が多かったのに、ポーンとイメージチェンジして…。異常に短いし。
田端:冒険的な感じで。
鈴木:短い中にもメロディーの良さを考えてたんですよ。長ければいいってもんでもないし。
田端:短い曲の中でどれだけインパクトを持たせるかっていうのを心掛けていて、どれだけ短い曲作れるんだろうという挑戦でしたね。今までで一番短いと思いますよ。
―――でも、短かっただけにもっと聴きたいって思った。
田端:それがよかったんですよ。もっと聴いてたいって思われたらまた聴いてくれるじゃないですか。だからそれがいいんです。
―――こういうのもできるんだなって思いましたし。今後こういう曲も増えていく予定ですか?
田端:かもしれないですね。
―――でも今までと違う音を出すと、高校生が夏休み明けるとちょっと大人になってたりするじゃないですか。遠くからあの子も変わっちゃったんだ、夏休みになんかあったのかな思う感じに似てる。
鈴木:なんかあったのかなとか、その間になにか変わるのがあったのかなって。そう思ってくれればそれはありかな。
―――実際きっかけはありました?
田端:それはわからないです。曲作って物足りないって感じたときがきっかけかもしれないし。
ほのぼのしたかんじを伝えたいです
―――そういえばちょっと話が戻っちゃうんですが、『Please,Please』の曲の頭にささやくような言葉が入っていたんですけど。
鈴木:朝方歌入れててちょっとささやいてみたらそのまま採用しちゃった。
―――あれは誰の声?
鈴木:俺です。全く採用する気はなかったんですけど。実はあの声は1曲目の最後に入ってるから2曲目から聴くと聴けないんですよ。だからPVにも入ってない。
田端:CD聴いてくれた人しかわからない。
鈴木:隠し扉みたいな。全然隠しでもないけど(笑)。
―――出てますね(笑)。
鈴木:そんなノリで。遊び心も交えつつ。今まではそんなにないですけど、もっと楽にして挑んだ。
―――3作目で余裕が出てきてるんですかね。
田端:あるかもしれないです。
―――今回は関根さんも曲を書かれてますしね。
関根:はい、1曲だけ。『Sunny day』を。初めて書きました。チャレンジというか、一人でもそういうのがあると変わるんじゃないかなって。ストレートな感じでメロがキレイだったので伝わりやすい歌詞にして書いたんですけど、陽気な感じで。書くとかキライじゃないのでこれからも書く機会があったら書きたいなと。
鈴木:いや、書いてくれ!(笑)
―――幼なじみだとしてもいろんな気持ちがあるから、それぞれの詞が書けますしね。
田端:今回は挑戦的な。
鈴木:意見を言い合えば響くフレーズが出て来るんじゃないかなと。効果的ですね。
―――曲も3人で?
田端:『Please,Please』以外は1人で。
鈴木:でも、曲を作る時まで3人でずっとやってるから、歌詞のイメージもみんなに行き渡っているし、3人でやるってのはバンドっぽいから好きですね。
―――仲いいんですね。
田端:仲はいいですよ。
―――その感じがアルバムに出てますよ。そして、このアルバムでツアーにも出るんですよね。ツアーは2月9日の千葉LOOKから。
田端:友達のバンドと一緒に。
―――ツアーの意気込みをそれぞれ聞かせて下さい。
鈴木:初めて行くところが多いので初めて聴く人がほとんどだと思うんですけど、自分らの楽しさを伝えたい。伝えようっていう気迫よりほのぼのしたかんじを出したいですね。伝えようって思いすぎると俺の場合自然が出なくなる。あんま力入れずにね。聴いてる人が何か思ってくれればいいな。
関根:前回行ってないところもあるんで楽しく行きたいですね。ライブも楽しく見せられたら。ガツンと。
―――では、年始めなので2006年の抱負を。
鈴木:フルアルバムに向けてがっつり活動していきたいですね。
―――フルアルバムはいつぐらいにリリース予定ですか?
田端:年末とか…。
―――1年後じゃないですか!
田端:ゆっくり構築していこうかなと。その間にシングルとか考えてないので、1年後のアルバムに向けて。
関根:何枚も出してると変わってくるので、いいところを残しつつ成長したWONDERSを表現できたらいいなと思います。
―――関根さんは詞もいっぱい書いて…。
関根:…そうですね。がんばります。
田端:僕も曲を作ってライブもコンスタントにこなしていきたい。
鈴木:あと最近東京に引っ越してきたので、2006年は東京ライフを楽しみたいですね。これで帰り時間気にせずにいられますよ。
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