Monthly Free Magazine for Youth Culture
ROOFTOP 2006年1月号
BUNGEE JUMP FESTIVAL『武蔵野大団円』

本当のロックを聴かせてやるよ!

 12月10日に吉祥寺STAR PINE'S CAFEのワンマンをもって、解散となったBUNGEE JUMP FESTIVAL。私には未だにこの事実が現実味をおびていない。最後のライブを見たのに、またこれからも今までのように彼らのライブを見れるんじゃないかなんていう気持ちさえある。それほどにすがすがしく潔いライブだった。私が最高に愛したバンドBUNGEE JUMP FESTIVAL。きっと後にも先にもここまで好きになれるバンドはいないかもしれない。(text:やまだともこ)

終わりは始まり

 今でも忘れない、1997年7月。ライブにもバンドにも全く興味がなかった頃。友達が好きなバンドを見に行くということで誘われた。ライブハウスって行ったことないし、行ってみてもいいかってことで誘われるがまま渋谷nestへと足を踏み入れた。そこは、今まで自分が感じたことのない空気、そしてテレビで見るライブハウスの空間や照明がそのまま、目の前にあった。全てが新鮮だった。そのバンドを見終え、次に出てきた3人の男子。自分よりも年上なんだか年下なんだか年齢不詳の彼らが演奏を始めた。何度も言うが、ライブハウスは初体験。とりあえず興味本位でライブを見ることに。そこで演奏された中の1曲『富士山』。日本語なのか英語なのかもよくわからない楽曲だったが、唯一サビの「ふじさぁ〜ん!!」がキョーレツなインパクトだった。一生懸命すぎるぐらい「ふじさぁ〜ん!」と連呼し、叫び続ける得体の知れないボーカル。ジャンプしまくる男前のベース。殺気だった空気を流し続けるドラム。異様な光景が飛び込んできた。このライブをしていたのがBUNGEE JUMP FESTIVALだった。そこから彼らのライブを見るためにライブハウスに通うようになった。今この仕事をしてるのも、あの時バンジーと出会って何かを感じていなければなかったかもしれない。それぐらい私には欠かせない大好きな大好きなバンド。

 解散ワンマンが行われた12月10日。朝起きると外は雲一つない青空が広がっていた。今日はBUNGEE JUMP FESTIVALのライブだというのに珍しい。彼らの曲にある『レインマン』の名前をそのまま背負っているボーカル町田くんのおかげで、これまでのバンジーのライブはほとんどが雨というイメージしかない。なのに、今日は晴天。この時点で奇跡を感じた。

 会場となった吉祥寺STAR PINE'S CAFEは、吉祥寺をこよなく愛する彼らが選んだ場所。この日はもちろん超満員。会場の外にはチケットを買えなかった人が当日券を求めて列を作っていた程だった。熱気と興奮に満ちあふれた会場の電気が消え、いつものSEでBUNGEE JUMP FESTIVALの登場。人がグッとステージに押し寄せた。
「今日は本当のロックを聴かせてやるよ!」
という町田くんの言葉でライブスタート。1曲目は2000年にリリースされた『CAPTAIN PAPA』から『Beautiful World』。演奏が始まったとたん、歓声とともに会場が大きく揺れ、力強い拳が上がった。右へ左へと人の波が揺れている。会場にいる全員がBUNGEE JUMP FESTIVALの音を、魂を、全身でしっかりと受け止めていた。いつも以上に1曲1曲を噛みしめながら。3曲目に歌われた『キッチン』は、すでに廃盤となってしまった『From here, so far...』から。この曲が演奏された瞬間一気に当時のことがフラッシュバックしてきた。この会場で、まだお客さんがほとんどおらず、恥ずかしいぐらい一番前の場所で彼らのライブを見てた時のこと、ライブでどうノったらいいのかわからなくてオドオドしてた時のこと、ここで『キッチン』歌うのは反則だよ…と半泣きになりながら彼らの演奏に耳を傾けた。「安らげる場所はどこなんだろう 落ち着く場所はどこなんだろう」と歌う町田くんの姿はあの頃と何も変わっていない。唯一違うのは今日がバンジーの解散ライブだってこと。

 機関銃の様なギターとドラムの音が鳴り響き始まった『22』。そこからも9年間の彼らを詰め込んだ楽曲が新旧交互に演奏される。フロント2人はいつも以上に高いジャンプをかまし、ドラムのスティックはバンバン上に飛んでいくと同時にメガネもふっ飛ぶ。ドラム純平氏は足の調子が良くないみたいだけど大丈夫なのかな、…なんてこんな時に少しでも優しさ見せたらそのスティック突き刺してくるよね、きっと…。そして来た!『富士山』。最近演奏されなかったこの曲だけど、ひさびさに聞くとやっぱり破壊力のある曲だわ。「エキゾチック ファンタスティック 富士山」。ある意味名曲、ある意味迷曲。途中MCでは「ロックを楽しもうぜ!」と。最後だからって特別なことを言う訳でもない。でも、この言葉の中にはきっといろんな意味を込めてるんだと思う。こうやって楽しめるのも今日が最後だから。今日しかできないこと、それは彼らのライブを楽しむこと。そしてロックンロールを楽しむこと。だから会場もより一層盛り上がる。彼らが全身で歌えばお客さんも全身で返す。彼らの魂を感じてお客さんも魂で返す。これがきっとインタビューの時に町田くんが言っていた「バンジーはお客さんに恵まれた」ってことなんだろうな。ステージだけでなく会場からも気迫が漂い、力強さが漲っている。男子も女子も我を忘れて歌い、叫び、拳を振り上げ、体を揺らす。涙なんて流してる余裕はない。涙で目の前を曇らせる前にこのステージを見ておA?かなければならない。『ジョンレノンの夢』で歌われた「少しずつ少しずつ 前へ」この詞に何度励まされてきたことか。もう自分が何で何なのかわからないぐらいステージに夢中になっていた。しかし時間とは酷なもので、本編最後の曲『不良少年マーリー』。絶叫かと思えるように歌う町田氏と、反して淡々とコーラスをする堀越氏、凶器のようなスティックを操る純平氏、そして心からBUNGEE JUMP FESTIVALを愛した客席。異常なまでの盛り上がりと一体感のあるステージを見せた。ここで本編は終了。

 が、これで終わるわけがない。客席からの地響きのようなアンコール。再び大歓声で迎えられる。最後だからということでメンバー紹介したものの、イマイチ締まらず…。バンジーっぽい…。「武蔵野の狂犬」なんて呼ばれてたことあったっけ??(笑) そして3度目のアンコール『BJFのテーマ』。このタイトルを聞いた瞬間、ここにいた誰もがこの曲が本当の本当にラストになると感じた。もみくちゃになるほどに踊り、暴れ、それぞれの思いをそのままこのサウンドに託した。メンバーは最後まで笑顔だった。だから会場も笑顔だった。彼らの不器用だけどまっすぐで一生懸命で純粋な気持ちを受け止めた。町田くんは最後、客席にギターを投げ込んだ。今まで最高のバンジーサウンドを聞かせた分身のようなそのギターを…。この3人が集まった奇跡のバンドのステージが幕を下ろした。ライブが終わっても客席は余韻に浸るかのようにその場から離れることはなかった。悲しいとか寂しいとかそういう表情はなく、燃え尽きて笑顔に満ち溢れていた。一番アツイロックンロールを感じたから。

 本当にこんなにいいバンドが解散してしまうのは惜しいというか悔しいけれど、ライブ中に言っていたように「終わりは始まり」。バンジーのそれぞれは新しい旅に出るためにここで第一章を終わらせただけ。これからも彼らは最高の活躍をしてくれるはず。BUNGEE JUMP FESTIVALに出逢えて良かった。BUNGEE JUMP FESTIVALのファンでいて良かった。きっと誰もがこう思ってたに違いない。ありがとうBUNGEE JUMP FESTIVAL!! 最高のバンドだった。


SET LIST

1.Beautiful World / 2.ステレオの前では / 3.キッチン / 4.22 / 5.四万十川
6.阿佐ヶ谷ホームシックブルース / 7.サンデーインザレイン / 8.アニ− / 9.イノチガケ
10.スカートめくり / 11.ノーフューチャーノーホープ / 12.富士山
13.BJF昔の曲メドレー LOVE〜LOVE HOTEL〜LEAVE FROM HERE / 14.僕はボクサー / 15.モーニングコール /
16.吉祥寺 / 17.ジョンレノンの夢 / 18.7月7日 / 19.テレサ / 20.不良少年マーリー
encore-1 21.ボーントゥダイ / 22.西荻アウェイ
encore-2 23.再会 / 24.揺れているもの
encore-3 25.BJFのテーマ

BUNGEE JUMP FESTIVALよりお知らせ

BUNGEE JUMP FESTIVAL初のDVD 制作検討中!!!!
BUNGEE JUMP FESTIVALは、ファンの皆さんからの熱いご要望を受けて、最後のリリースとして、現在初のDVDのリリースを制作検討中です。 しかしBUNGEE JUMP FESTIVALが歩んで来た、複数にまたがる権利所有元などの都合上、このDVDは完全セルフリリースという形でしか皆さんに届けることができない状態です。よって一定の予約数に満たない場合、制作を断念する場合もありえるのが現状です。
このDVDリリースは事前予約が大変重要となります。

そこで、BUNGEE JUMP FESTIVALから皆さまにお願いです!
確実にDVDのリリース情報を皆様にお伝えできるよう、メールアドレス情報を回収させていただいています。発売日、内容、購入方法など、必ず数ヶ月以内に、DVDの情報をお送りするようにいたします。
今後オフィシャルサイトのURLは変更になる場合もありますので、DVDの購入を検討していただいている方はぜひご協力お願いします!皆さんに最後の作品を届けられるようにします。

※12月10日のスターパインズカフェで行われた解散ライブにてメールアドレスを既に回収させていただいた方は再度お送りいただく必要はありません!

※回収個人情報は、DVD販売の告知の以外の目的には使用せず、それらの情報は第三者に販売することは一切行わないことをお約束いたします。 info_bjf@yahoo.co.jpこちらのアドレスへお名前を記載の上お送りください。

BUNGEE JUMP FESTIVAL OFFICIAL WEB SITE
http://www.thinksync.co.jp/records/BJF/

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