これは勝負作ですよ!
──前作から半年ちょっとでのリリースですが、その前は五年も開いてた事を考えるとすごいペースですよね。
SHINYA:まあ、その五年分の反動ですね。前の「永遠の軌跡」を出した時に、次を半年後に出そうって決めてて、レーベルともそういう話をしていたんで。自分たちとしても勝負して行きたかったですから。
──この期間で出せたというのは、やはりバンド全体が良い状態にあるという事だと思いますが。
SHINYA:うん。それが大きいですね。無理してるつもりはないですけど、ちょうどみんなが同じ方向向いてるっていうのもあるし。そういう所から生まれてくる曲調なり歌詞なりっていう部分が大きくって。今回は全部英語の曲とかも交えて、カッコイイと思ったらいいじゃないかっていう。だからOi!っていうか合唱系の曲もあったり、聴かせるのもあれば、自分たちの王道みたいな部分もありますね。
YOSHIYUKI:トータルでやりたい事を出来てるかなって思います。
SHINYA:変に自分たちを縛って動きにくくするくらいなら何でもいいじゃないかって。
SHINTAROW:昔、英語だけでやってたのを、日本語でやろうと決めたのが「日本語しかアカン」っていう縛りになっちゃってたんで、また一回フラットに戻して、出来てきた曲に対して英語なのか日本語なのか判断してみるっていう。だから、全部日本語もあれば、全部英語もあれば、両方混ざってる曲もあり。でも、なんでもオレらがやればYOUTH ANTHEMになるから。そういうの考えたら、深く考えてること自体がどうでもいいんじゃないかなって思いましたね。
YOSHIYUKI:そういう意味では、今回のアルバムのコンセプト的な物としては、やっぱり「衝動」っていうのがあったのかもしれないですね。考えて、意識してやってる楽曲っていうのはそんなにないから。
──それは「初期衝動」っていうことですか。
SHINYA:そうですね、自分のルーツを自然に出せる時期に来たんじゃないかな。自分の影響を受けた物をなんでもどん欲に消化して、それをYOUTH ANTHEMっていう形で吐き出して、それが自分らの武器になっていけばいいかなっていう。
──聴く側からするとアコースティック的な曲があったりとか、インストっぽい曲があったりと、新しい面が見えたような気もしましたが。
SHINYA:それも深く考えて作った訳じゃないんですけどね、自然にこういう形になったんで。ただ、ライブっぽい展開があるアルバムが作りたいなっていうのはありましたね。
──ガーンってオープニングがあって、聴かせる様な曲もあって。
SHINYA:最後はラストっぽく終わって……っていう。ライブでもああいう感じで表現するかどうかはまた変わってくるとは思いますけど。
YOSHIYUKI:前作を出してツアーを廻ってライブしていく間に「やっぱりこういう展開の曲も欲しいな」とか思うことがあって。そういうのを考えながら作ったんで、ライブを想定して作ったアルバムっていう事になりますね。
SHINYA:ライブって最初っから最後まで代表曲が並んでなくてもいいじゃないですか。ちょっとつなぎっぽい曲があったり、息抜き的な曲もあっていいし。全部が全部前にダーッて出なくても、聴かせるのもあれば、楽しんで聴ける曲もあっていいし。そういうのは曲作ってる上で普段から思ってますね。
SHIMA:イヤー、今回は良い曲を作りましたよ!
SHINYA:まあこれは勝負作ですよ、これは声を大にして言いたいですね。
SHINTAROW:正直メッチャ苦労しましたからね。
YOSHIYUKI:前作を踏まえて、もっとこうした方が良いっていうのが色々あったんで。
SHINYA:多分、音を聴けばわかると思うんですよね。今までだったら声ってどの曲でも一緒だったんですよ。でも今回は曲によって声の質を変えてみたり、ドラムの音にしても全部一緒だと思ってたんだけど、色んなバンド聴いてみたら違うんですよね。「こういう音の出し方してるんだ」っていう。
YOSHIYUKI:今までは録るっていう事だけで一生懸命だったから、そこからワンステップ上がって、「どうやって録るのか」っていう所まで考えて、出来上がった作品の事を想定しながら録ったり、フレーズを入れたりしましたね。
──曲の中でも細かい演出とか色々入ってたりしますもんね。
SHINYA:うんうん。ハーモニカを今回初めて使ったりとか、ゲストでLAST TARGETのボーカルにMCを入れてもらったりとか、そういう演出的な事をやったりしましたね。これもやっぱりライブを想定してたのかもしれないですけど。「ここにこんな音があったら面白いな」って感じで。
SHINTAROW:前のボクらはCD出せたら万々歳だったから、録って終わりだったんですよ。録り終わったものを編集するっていう所まで時間をかけてなかったんで。今回、U¨?そこに時間を費やす事によって隠し味的な所が見えてきたり、より良く出来る時間が持てたって言うのは良かったんじゃいかな。
YOSHIYUKI:あとは前回とかは、ある程度自分の音や音量の確認が出来ればオッケー的なところがあったんですけど、今回は全員が全体の音を聴いてこうした方が良いんじゃないかとか、ギターのフレーズなんかにしても現場で話し合ったりとかして。そういうのが新鮮で良かったりもしましたね。
──以前は一枚音源出しても、次いつ出るのかわからない……みたい状況だったのが、今はコンスタントに出していくぞっていう形が出来た事によってレコーディングに対する意識が変わった部分もあるんじゃないですか。
SHINYA:それはすごい変わりましたね。やっぱり苦労した時期が長くって、やりたくても出来なかったっていう思いがどっかにあるんですよ。でも今は、曲を作ってその気になればCDを出せるっていう環境があるんだから、それをフルに使って自分たちの根っこを伸ばしたいなっていう段階ですね。10年目にしてやっとそういう状況になれましたよ。まあ、単純にお客さんが曲を覚えてくれてるのも嬉しいですしね。今までは廃盤で手に入らなかったり、ライブでやってても音源になってなかったりしてたんだけど、今はやってる曲をちゃんと音源として届けれますから。
メンバーは大事にしたい
──今回のアルバムは前作と合わせて一つという感じがしていて、二枚を一緒に聴くと、ある意味、再スタートを切ったYOUTH ANTHEMの今の姿っていうのがわかりやすく見えてくるような気がしますね。
SHINYA:そうですね。フルアルバムを出せない代わりに、半分づつ出していって、合わせて今の自分たちを表現できたらいいなっていうのを考えてたんで。それがどう評価されるかはわからないですけど、名刺代わりになる楽曲をお客さんに提供出来る状況があるっていうのは素晴らしいし、自分にはプラスになっていますね。メンバーチェンジした事で良い意味でバンドの空気も変わって、自分たちのバンドに向き合うスタンスもはっきり見えてきたんですよ。今までは曖昧な所がすごい大きかったんで。それが良い意味で再スタートって言われたら、そうかもしれませんね。まあ、ここから難しいっていうのもありますけどね。自分の中で理想はあって、それが果たして正解かどうかは解らないけど、消化出来る物はどんどん消化て行きたいとは思いますね。その結果、三枚目、四枚目って出していって、「変わらないですね」って言われても嬉しいし、「良い意味で変わったけど、らいしいですね」って言われても嬉しいし。そういう感じでやって行きたいなっていうのはありますね。
──YOUTH ANTHEMって10年間の活動の中でターニングポイントが何回かあって、初期から比べると全然違うバンドって言えるくらい変わってると思うんですけど、違和感なく両方聴けるんですよね。そこはやっぱり常に一貫した物があったからじゃないかと思いますが。
SHINYA:結局、好きな物は変わらないですからね。何やってても統一感があるっていうのは、常に自分の好きな物をどこかで出せてるって事なんだと思うんですよ。その時々に旬で好きな音とかあってそれを取り入れたりしてるけど、根っこにある部分は結局一緒ですから。これからも変わらないし、変えるつもりもない。だから長持ちしてるのかなって思いますね。メンバー間で変にあれしたいこれしたいってぶつかり合うんじゃなくて、みんな根っこにある部分は一緒なんじゃないかって思うんで。
SHIMA:そうだと思いますよ、みんなで切磋琢磨ですよ!
SHINYA:だから、メンバーは大事にしたいですね。メンバーチェンジが癖になっちゃうバンドもあるけど、ああいうのは耐えれないですね。信頼してるからこそ曲も提供できるし、ライブも取ってこれたりする部分もあるんで、出来るだけメンバーは長持ちしてやりたいですね。今回、メンバーチェンジってすごい大変な事だってわかって、ボクらはそれが良い方に作用はしたんだけど、あれをもう一回一から繰り返すのはしんどいですね。
続けてるから咲ける
──一時期、解散しててもおかしくないような時期もあったと思いますけど、そこを乗り越えてこれたのはメンバー間の信頼関係があったから、ということですか。
SHINTAROW:もうちょっと華々しくやってたら解散っていう手もあったんやろうけど(笑)
SHINYA:地味に積み重ねるバンドなんでね。
SHINTAROW:そんな中で「今からや」っていう気持ちの高ぶりと、挫折感と、今止めてしまうとダメだ……みたいな気持ちとか色々あって。
──「まだまだやってない事があるぞ」みたいな。
SHINYA:それもあるし、「このままやっとっても大丈夫なんかな」っていう不安もあるしね。でも、結局続けたもん勝ちかなっていうのもあって。止めるのは簡単なんですよ、バU¨?ンドなんて。続けてくのって苦しいけど、やってて良かったなっていうのがありますからね。
SHINTAROW:やってないのに遅咲きっていうのはありえないからな。続けてるから咲けるんであって。
SHINYA:やってなきゃ出会えない人とか、やってなきゃ生まれない曲っていうのが存在するから、それを考えたら、辛い時期を乗り切れて良かったかなっていうのは、この二枚が出たところで思いますね。今、こうやって良い状態でバンドをやれて、勝負作だって言える物を出せるのって素晴らしい事なんで、これは是非聴いてもらいたいですね。
SHIMA:良い状態を維持するために説教されたりとかも色々ありますけどね(笑)。でもそういうのも信頼感があるから成り立つんであって、そういう物がちょっとズレてたら解散しちゃったりするんだと思うんですよ。この四人は個性バラバラやけど、一つになろうっていう気持ちはみんなどこかしらにあるんだと思いますね。それがあるからこんだけやれてるって今更ながら思います。……ええ事言うたな、今。
SHINTAROW:まあ今回、みんなで満足行く方向に動いてやる喜びっていうのを再確認したというか、バンドってダラダラなあなあでやっててもしょうがないし、無理してやっててもしょうがないし。満足する形で個人個人の意識がズレずにやれるのが一番だと思いますよ。でもまあ、まだまだですよ。目標とする所もその時々で変わってくるんで、上を見過ぎることなく、下を見過ぎることなく、その時点その時点で満足する事をやっていきたいですね。
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