もう空気公団っていうイメージとか雰囲気は揺るがない
―― これジャケットなんですか(笑)?すごい思い切りましたよね。だって、これまでって、まず最初のライブが象徴的だったんですけど(2000.10.29 スパイラルホールでのライブ「空間」。スクリーンの後ろで演奏をしメンバーがステージの表に姿を見せることはなかった)ジャケットにしても極力メンバーが姿を見せることってなかったですよね。
山崎:今までは人を出さないで音楽の方にイメージを持たせるってうふうに考えていて、私達が空気公団だって出ていっちゃうと空気公団ってこういうものなんだってなっちゃうのが私はやだなって思っていて。それで空気公団って誰でもよくてあなたでもいいんだってってことで、人が前に出ていかなかったんですよ。だけど、ライブをやるようになって、ジャケットがこれになったからといって今度からバンバン「私が空気公団です!」って出ていくつもりじゃないんですけど(笑)。
―― でもある意味、意思表示ではあるわけですよね。
山崎:もう、こうやって出してもこの人が空気公団なんだっていう感覚にはならないんじゃないかっていう気がするっていうか。もう何をやっても空気公団っていうものが揺るがないっていう風にしたいんです。こういう風に行き着いたのって、写真家のTAKAMURAさんだったり、エンジニアの池田さんだったりいろんな人との出会いがあってこれを決意したんです。TAKAMURAさんと写真展をやった時も、最初は風景と空気公団の音楽っていう今までのような写真展をやりたいってTAKAMURAさんに話したら、でもそれはいままでやってきたから、私たちがやりたいことをやっても、もう空気公団っていうイメージとか雰囲気はぜんぜん揺るがないよってことを言われて、それで“山崎と戸川展”というのをやったんです。
戸川:人の前に出るとイメージが限定されるとかいろいろ言っていたんですけど。このジャケットはあざやかのテーマにもすごく合っていると思うし、いろいろ理由があってそういう形になったんですけど。そこに表現したいことが表れていれば別にね。
山崎:ジャケットが別にどうあろうがね、ちゃんと意味がわかればいいじゃないかな。
―― ある意味自分達への挑戦でもありリスナーへの挑戦っていうか、芯のある部分が感じられるんですけどね。今まで持たれてきた空気公団のイメージって何なんですかね?
山崎:何なのかはわからないんですけど、嫌な感じはしていないんですよ。けど、それを繰り返すことにあんまり意味がないって感じただけで。自分達のイメージを守るためにこっちが何かをするのがいい事なのかな?と自分で思ってきたっていうだけで、そのイメージを越えていればいいんじゃないかなと。
―― 別にあまのじゃく的な発想ではなく、常に前進していくってことにこだわっていると。
山崎:守りの時期はもう少し先にくる気がしているので。
―― そういうのも一応見込んでるんだ(笑)
山崎:なんか、子供の感じと似ていて、今、空気公団は8歳なんで、小学校2年生くらいとかなんで。もう少ししたら子離れ、親離れする時期も来るかなとか思っていて。やっぱり小学校に上がるまでってホントに常に付きっきりな雰囲気で育っていたのが小学校に上がったから。
―― いろいろ理性とかも芽生えて(笑)。確かに1リスナーとして言わせてもらえば、たぶん今のスタイルとかやりかたでも、一度ついたファンっていうのはそう離れないって思うんですよ。僕自身もそうですけど、なんか動き出したらすごい気になるし。そういう音楽だと思ってるんですね。敢えて斬新なことはしなくてもいいのかなって。
戸川:極端にジャンルから全て違うみたいな感じにはなっていないんですよ。アルバムの後半とかは割と今までの感じに近くなっていると思うんですよ。完全に今までのものを捨て切っているわけじゃなく。いままで聴いてきた人が空気公団っていうイメージを持っていると思い込んでいる自分がいて、そうするとギターをちょっと優しいタッチで弾いてみちゃったりとかしちゃうんですよ(笑)。無意識でそういうのがあると思うんですよ。
空気公団をやりたいよね
―― じゃあ、ライブの話を。先日の試聴会ライヴはどうでした?自分達での評価は?
山崎:こういうことを言ったら「何で?」って思われるかもしれないんですけど、すごく私にはいい経験だったんですよ。失敗したんだけど、すごい実りがあって。具体的には言えないんですけど(笑)空気公団はさっき8歳とか言ってたけど、ライブに関してはまだヨチヨチ歩きみたいな感じだから、でもようやく立ち上がる兆しが見えてきて(笑)
―― でも山崎さんが客観的にこの前のライブをどうみているか分からないけど、ライブってその一瞬一瞬が肝心じゃないっていうか、例えば声が出ないとそういうのってあの一時間くらいのライブの中でほんの一部分で、それは確かに印象??に残るかもしれないけど、見る側にしてみたらそういう小さい部分はどうでもいいっていうかね、ライブのトータルの印象の方が大きくて。結局そのちゃんとやるべきところがやれてれいたからすごい良かったと思うし。アンケートとかはどうでした?
戸川:それがけっこう好評だったんですよ。
―― でしょ!?そういうことなんですよ。見ている側にとって、失敗とかそんなのは取るに足らないことで、もっとトータルで聴いているから。だから、普通にやればいいんですよ、普通に(笑)
山崎:いやー、良かった良かった。私が死ぬときに思い出すライブですよ(笑)
―― そんなに印象的だったんだ(笑)でも、ボクも歌声でハッとする瞬間もいっぱいあったから、CDとは別にライブ来て良かったってすごい思った。そっちの方が小さいミスなんかより全然大きい。
山崎:リハの時も緊張してたんだよね。なんでなんだろうねー。視線がダメなんじゃないかと思って、当日のリハの時に目の前にボランティアスタッフに目の前に座ってもらって、歌ったりとかして。
―― でも、こういうシンプルなライブもいいんですけど、僕最初の「空間」のライブも好きでしたよ。ああいうスクリーンの後ろでやるっていうやり方も。それは、第一期の“らしさ”かもしれないですけど、第二期の空気公団としての、普通じゃないライブのやりかたとかもあるかもしれないから、またこれからどうなっていくのかなっていうのを楽しみにしてるんですよね。
山崎:そのスパイラルのライブとちょっとだけ要素が似ているイベントもやるつもりではいるんですよ。2007年くらいに。
―― 再来年じゃん(笑)2006年はアルバムが出てツアーがありますよね。どんな感じになりそうですか?
戸川:ライブらしいライブになると思います。演るのはアルバムの中の曲だけじゃないですけど
ね。
―― 新旧織り交ぜてって感じですか?
山崎:織り交ぜてなんですけど、織りまぜる空気公団の曲は割と第二期的な要素を含んでいる曲を選んではいるんですよ。これが空気公団だよねっていうイメージを持たない、「すごく好きなんだけど(ライブで)演るのはどうかなー?」って抑えてきたものを選んでいるかもしれない。
―― さっき、聞こうと思っていたんですけど、郷愁というか子供の頃の記憶みたいなモノを歌詞世界に取り込んでいくことにはこだわってる?ノスタルジー的な。
山崎:「ああ、秋になったな、空が高いな」とか、そういうのは常に見ているから、自分の中にあるんですよ。それを表現するというスタイルは変わらないと思います。
―― ao(木全努と山崎ゆかりによる新ユニット。11/2にアルバムも発表している)は山崎さんの中ではどういう位置付け?
山崎:aoは空気公団の隣町って感じです。空気公団っていうのは私は町だと思ってて、山もあって川も流れていて、私達はそこの町の役員っていう。あそこに何かを建設しようみたいな感じでやっていたんだけれども、やっぱり新しい風を吹き込まない限り一緒に歳をとってあせてしまうので、自分達の思いつかないような新しいものを建物をつくろうと思って、全部を総入れ替えしたのが第二期の始まりだったんですよ。で、それとそこに町を作ったのはいいんだけど、いろんな町をくっつけてもっとでっかい都市になったらいいのにって思ってきたんです。その時に木全くんと一緒にやろうということになって、どうせだったら空気公団がそばにいてもいいから、町をつくるようなイメージでやれたらいいなと思って。で、私は隣町の空気公団から出張して、建設の仕方とかを、こういうふうにやろうよーって言っているイメージです。
―― そういうイメージなんですね。じゃあ、また別の町つくるかもしれないんですね。2006年はけっこう楽しみにしてていいんですかね?
山崎:町全体が変わるっていうのもあるし、後は建設中のaoもどういう風に建設していくかっていう、キマタくんの考え方もあるし。
戸川:ツアーでまず大きな変化が見られると思います。
―― 静かだけど、力強い感じがしますね。ありがちな表現だけど、前向きな(笑)。
山崎:でも前向きだよね。空気公団をやりたいよね。
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