運命のような出会い
―――Rooftop初登場なのでバンドが始まった経緯から聞かせて下さい。
丸山(丸山和弘(Vo&Gt)): もともとはギターの中村(中村太郎(Gt&cho))とドラムのつねちゃん(寺崎経幸(Dr&cho))のバンドがあったんですけど、ボーカルが抜けて僕が入ったんです。その時点で新しく曲を作り始めて今のBOWLの原形ができたんですけど、今度はベースが抜けてしまったんです。それで僕ら新潟出身なんですけど東京で月1、2ぐらいライブをやってたから、上京して新しいベースを探そうって時にバンド名も変えたんです。上京するって決まったと同時にインターネットを通して現ベースのあっちゃん(錦戸篤(B&cho))と知り合ってネット上で音源送って、この曲を東京に行ったら合わせたいと思うのでコピーしておいてくださいって。東京行ってすぐに会って、音楽性も近いし年もいい感じだし、後日スタジオ入ったらバッチリ!
錦戸:運命だな。メンバーにならなかったとしても友達になってください!って思いましたよ(笑)。
―――丸山さんの前身バンドと錦戸さんが以前いたバンドは音楽的には近いものがあったんですか?
錦戸:正直全然かぶってなかったです。好きな音楽も違ったし。
丸山:でも好きな音楽って、BOWLはあえていうならギターロックだけど、もともと3人自体もバックグラウンドの音楽性が違ったし、あっちゃんと実際会って話したらそんな心配もなく大丈夫だって。
―――バンド名のBOWLの由来は?
丸山:みんな個性も違うしメンバーが集まる器っていう意味で。あと覚えやすいから。
―――プロフィールを読んで気になったのが、偶然通りがかったポール・ギルバートに通訳を通して「めちゃくちゃ気に入った!」っていうコメントをもらったと書かれているんですが…。
丸山:渋谷でストリートライブやってたら、向こうも日本ツアー中で渋谷にいたんです。僕がポール・ギルバート大好きでそのポール・ギルバートが目の前にいて、とりあえず大好きですって言ったら向こうもそのままライブ見てCDまで買ってくれたんですよ。嘘みたいな話ですけど本当です。僕が歌を歌うきっかけとなったのがMr.BIGなので感激でしたよ。
―――エッジの効いたギターサウンドなんだけど、ウタモノとして一流というのはBOWLの音楽に近いんじゃないかと思いますが。
丸山:やっぱりメロが一番大事だと思っているんです。そういう部分では共通点はあるかもしれないですね。
ようやくスタートラインに立てた
―――インディーで2年程やってついにメジャーデビューなんですが、何か変わったことはありました?
丸山:ここが変わったというよりは、ようやくスタートラインに立てたっていう意識のほうが強いです。バンド始めた当初はメジャーデビューしてやる!っていう目標があったんでそれは嬉しいし光栄な事なんですけど、ここが終着じゃなくて、ようやくスタート切れた感じかな。
錦戸:最初はプロになるとかメジャーデビューだったりが目標で、そこを目指してやってきたんだけど、実現したら目標は目標ではなくなって、新しいスタートを切った感じですね。
―――これが1枚目とは思えない完成度がすごいですね。今回の『その向こうへ』というのはインディー時代の集大成でもあり、新しいスタートラインでもあり、バンドのベスト盤できなところも含めたものって感じなんですか。
丸山:バンドの音楽性としていろいろあるんですが、いろんな人の耳に入るからポジティブな部分を出して明確にしたかったんです。ある意味BOWLの前向きなベストではありますね。BOWLを名前を知らない人にミニアルバムでBOWLを語るのは無理なので、覚えてもらいやすいっていう想いも込めて一番キャッチーな面を見せたほうがいいだろうなって。そういう意味でのコンセプトはありましたよ。
―――ジャケの馬が走ってる写真に込められた意味は?
丸山:躍動感とか駆け抜ける感じで、バックの空もすごくいいんです。曇っている間にちょっと晴れ間が見えていて。
錦戸:裏ジャケットも馬の写真なんですけど、太陽が上がっている写真を使っているんです。最初は曇りの中を駆け抜けて、光が見えてきて、裏のジャケットは太陽が上がっていて、アルバムのコンセプトを表現している写真だなと。
―――ミニでお披露目的なニュアンスも含めて、バンドの持ち味を凝縮させようとすると選曲も難しかったんじゃないですか?
丸山:実際入れたい曲っていっぱいあったんで、フルにしたいなっていうのはあったんですけど、そうやって広げてしまうよりは今回はなるべくしてなった6曲ですよ。
―――この6曲は音がすごく作り込まれているという印象を受けましたが…
錦戸:CDを聞いてくれるお客さんが一番メッセージが伝わるようにというのを強く意識したところで、サウンドだったりエンジニアさんにも意見をいろいろ出してすごくやりやすかっ-?たし。
丸山:ギターのたろちゃんはけっこうこだわりのある人間なのですが、柔軟に意見を取り入れてやってみようかって。
―――聞かせようっていう意識が変わったのが大きいんですかね。
錦戸:自分らの満足するものをっていうのはもちろんそうなんですけど、聴いている人に思っているものをちゃんと伝えようっていうのは意識して変わったと思いますよ。
―――構想的に、今回明るめを作ってるから今度はその逆になるとか…。
丸山:暗くなるかはわからないですけど、単調なロックだけじゃない部分も持ち合わせているんで、その辺も出したいなっていうのはありますよ。音楽的なマニアックな部分とかどんどん出したくなっちゃうんですよね。
錦戸:でも、基本はメロディー重視っていうのがあるんで、次のアルバムですごく変わっちゃったねっていうのはないと思いますよ。
―――いいメロディーを書くというのがバンドの最大の課題だったりするんですか?
丸山:みんな曲を書いてるんですけど、メロディーに妥協はないので例えばあっちゃんが持ってきた曲も僕が歌を入れる段階でコード進行変えたり話し合いはその都度してますよ。
―――このアルバムが出て次はどんな感じになる予定ですか?
丸山:今ハマっているのがギターリフのあるもの。僕がギターリフ大好きなんですよ。それでサビでグッと来るっていう。そういうのが王道だけど気持ちいいなっていうね。
―――そういう王道を聴かせるバンドが今はなかなかなかったりしますもんね。
丸山:好きな音楽自体が王道なんですよね。だからそういうのやってやろうじゃんって感じですね。
背中をそっと押してあげられるような曲
―――このアルバムの1曲目『99%』がアニメ『遊☆戯☆王デュエルモンスターズGX』のオープニングテーマにもなってますけど、オープニングテーマの話が来てからこの曲は作られたものなんですか?
丸山:若干メロはあったんですけど書き直してますよ。でも『遊戯王』を意識したわけではなくて、この曲を聴いてちょっとでも元気になれたっていう歌を作れたらと思って。背中を押してあげられるような、そんな気持ちで書いた歌詞なんです。けっこうロックに作ってしまった感があったから大丈夫かなと思ったけれど、アニメで聴いたら意外とバッチリでしたよ。
―――みなさんの世代だとアニメソングって何を思い浮かべます?
錦戸:僕はドラゴンボールですね。あと聖闘士星矢とか北斗の拳ですね。カラオケ行ったらテンション上がったらとりあえず歌う(笑)。
丸山:僕も聖闘士星矢とか絶対歌いますね。でも、僕らの曲がカラオケで言うところのアニメソングのところに入るんだって思うと、複雑な気持ちではありますけど(苦笑)。
―――でも不特定多数の人にいろんな人に聴かれるチャンスだからいいと思いますよ。
錦戸:保母さんの仕事をしているお客さんがいて、子供がサイン欲しがってるからとかすごくうれしいですよ。子供が僕らの曲を知ってるというのが今までなかったことなんで。この前もサイン頼まれて、子供のクリスマスプレゼントであげると喜ぶんだよって。僕らのサインがプレゼントになるならいくらでも書きますよ(笑)。
ライブはワッショイワッショイなので
―――ところで今『99%』のツアー中でありますが、みなさんがライブで一番気にとめているところってなんですか?
錦戸:僕だったらベースという位置でバランスを。ボーカルもオーバーアクションで我を忘れていく中でみんなで行ったらドカンってなっちゃうんで。出るときは自分も出ますけど(笑)。バランスはすごく意識してます。あとお客さんの目を見ること。僕が歌うわけではないけどもメンバーとして目を見て歌う。
丸山:僕は、ライブだと興奮してオーバーリアクションになっちゃうんです。いてもたってもいられない気持ちよさというか。もう、ワッショイワッショイやってますよ。CDだけ聴くとそんな想像はないと思うんですけど、意外とこんなアツイバンドなんだって。僕はその場にいる人に自分達の歌を伝えたいって想いながら歌ってます。みんなで同じ気持ちを共有したいっていう気持ちですね。BOWLを知らなくてもいいけれど、そこで見てもらえたので一緒に楽しみたい。
寺崎:僕は全裸にならないように気を付ける(笑)。今まで幾度となく全裸になって脱いだものを客席に投げ、十戒が開けたときのようにパンツだけ残されているっていう状況的に危険なときもありますが。テンションあがりきっても冷静に歌を聴かせれるように土台をしっかりしないとっていうのはありますし、お客さんの大切な時間とお金を使ってライブを見に来てくれているのでそれに応えられるようにっていう意識はあります。
―――それでお客さんから「来てよかった」っていう声が聞けるのはうれしい限りですよね。
丸山:すごい落ちてる人がいたとして、僕らの曲を聴いてなんかわからないけど元気になったよっていう感じでいいと思う-?んです。悩んでても結局判断するのは自分でしかないし、他人が言ってもしょうがないし。今楽しく一緒に過ごせたら何か変わるかもよって。
―――きっかけになればいいというか、BOWLの音楽を聞いた人がその向こうに行ければいいんですよね。でも、何はともあれ今はツアーのほうがんばっていただきつつ、Rooftop読者にメッセージを。
丸山:目標としてはみんなが知ってるバンドになりたいという大きな目標があるので、ぜひ一度聴いてみていただいて、生活の一部になれればいいな。そんな大きな野望を抱きつつ(笑)一度聴いてライブに来て下さい。
錦戸:ライブバンドなのでナマでBOWLを体験していただきたいですし、何かを感じ取ってもらえたら。
寺崎:僕らも表現の手段として音楽をやっているので、僕らが思っていることが音楽でお客さんに伝えられることができたらなっていうのが一番の願いです。それがCDという形もありますけど、よりダイレクトに伝わるのはライブの中の空気感だったり、メンバー個々の表情だったりっていうのがあるのでそちらも一度感じていただけたらと思ってます。…ワンマンぐらいは全裸になってもいいよね。
一同:(笑)
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