Monthly Free Magazine for Youth Culture
ROOFTOP 2006年5月号
ROCK THE ULTRAMAN

ウルトラマンは世界に誇る日本の文化です!

ウルトラマンの誕生40周年を記念し、ウルトラマン・シリーズを中心とした円谷プロ・空想科学特撮番組の主題歌&挿入歌をカヴァーする、異色のロック・オムニバスが完成した。その名も『ROCK THE ULTRAMAN』……はい、そのまんまです、ヒネリも何にもなくてすみません。いや、これでも頭を振り絞っていろいろ考えたんですが、結局判りやすいのが一番という結論に達してこれにしたんですが、私は文章の冒頭から何を謝っているんでしょうか?  申し遅れましたが、実は筆者は本作のプロデューサーをやっております中込智子、本業は音楽ライター、遅筆で有名。すみませんすみません。あああ、話が進まねぇぇぇ!  とにかく、本作でまず注目して頂きたいのが収録アーティストのラインナップ。順にLOW IQ 01、bloodthirsty butchers、RUDE BONES、OVERGROUND ACOUSTIC UNDERGROUND、BAZRA、杉本恭一、特撮、FOE、Cubismo Grafico、MOGA THE \5、怒髪天、吉村秀樹 from bloodthirsty butchers、MAD3。どうすか、凄いでしょう? 自分で集めておいてなんですが、よくぞこんなに豪華なメンツが揃ったものだと思いますし、また、こうしたアイテムであったからこそ実現したと言っていい、異様な組み合わせになっているのも面白いと思うのです。でもですね、本当に凄いというか凄まじいのは、これら全バンドのカヴァーのクオリティのべらぼうなまでの高さなのです! 損はさせません。買ってください。どうぞよろしくお願いいたします!  てなわけで、ロフト/ルーフトップの粋な計らいにより、全13組を代表し、bloodthirsty butchers/吉村秀樹、怒髪天/増子直純、特撮/NARASAKI、杉本恭一、そして本作の発起人である元円谷プロの泉女史を招いて、ここに『ROCK THE ULTRAMAN』対談を敢行! 初対面同士も何組かあったのですが、何故か旧友同士のような盛り上がり。これがウルトラマジックなのか? 頼んでばっかりですが、どうぞ読んでね。(interview:中込智子)

まんまウルトラマンでまんまブッチャーズ

──本日はお忙しい中、ここ渋谷カラオケパセラにお集り頂き、誠にありがとうございます! ということで、早速『ROCK THE ULTRAMAN』について語らいたいかと思うのですが、その前に。皆さんに紹介したい人物がおります。本作の真の発起人、元円谷プロの泉女史です!

吉村&増子&奈良崎&恭一:おおーっ!

:よ、よろしくお願いします。

──まさにケモノの群れに放たれた可憐な小羊状態ですが、それはともかく。忘れもしない去年の4月、この泉女史から中込に「ウルトラマンのロック・オムニバスを作りたいんですが、協力して頂けませんか?」と電話が掛かってきたのが全ての発端。というわけで、そもそも何故にウルトラマンのロック・オムニバスを作ろうなどと企画発案するに至ったのか、そこから話していただけますか?

:はい。まず、ウルトラマンが今年で丁度40周年だったんですね。

増子:俺、ウルトラマンと同い年、同い年!

:(笑)それで、40周年企画を何か考えろ、というのが当時会社的にありまして。私はロックが好きだったので、ウルトラマンとロックを結び付けるような企画をやりたいなと思ったんです。それで、ロッキングオン・ジャパンの編集部にいきなり電話して、「こんなことを考えてるんですが、どなたか協力してくれそうな人はいないでしょうか?」と相談したら、「本誌と関わりが深いライターで、非常に特撮が好きな人間がいますよ」と、中込さんを紹介されまして。

恭一:良かったね、お前ね(笑)。

──いや、マジ嬉しかったっすよ〜。それで連絡を貰って速攻、当時祖師谷にあった円谷プロにお邪魔して、怪獣倉庫に連れていってもらって発狂してましたね。

増子:俺が見たいんだよ! 俺を連れてけよ!!

──はっはっは。で、泉さんとはそれから打ち合わせと称した朝までウルトラ・カラオケ大会を何度となく繰り返して大変楽しかったわけです。が、いろいろあって泉さんは昨年末に円谷プロを退社され、本作に最後まで関わることは残念ながらできなかったのですが、しかし泉さんは作品の完成を心待ちにしていて下さいました。

:ええ、どんな作品が上がってくるのか、本当に楽しみにしていたんですよ。発売日にHMVに行って、試聴機の前に30分ぐらい陣取って(笑)。もちろん買いました。そしたらウチに見本盤が届いていたという(笑)。

──では、出来上がった作品をお聴きになった今、どんな感想があります? 順番に行きますか。まず“ウルトラマンの歌”と“MATチームの歌”の2曲を担当したのがブラッドサースティー・ブッチャーズの吉村さんなわけですが。

吉村:(泉さんに向かって)あ、それ僕なんですよ、僕なんです!

増子:何か合コンみたくなってきたぞ。

一同:はははははは!

:(笑)“ウルトラマンの歌”はウルトラマン・シリーズの中でも最も有名で人気度も高い番組の主題歌ですし、だからこそきっとやりづらいんじゃないかなと思ってたんですね。でも、実際聴いてみたら、非常に原曲を生かして、違和感なく、それでいてロックとして鳴らしていて。

──ええ。この曲が凄いのは、まんまウルトラマンなんですが、同時にまんまブッチャーズでもあるということで。

増子:うんうん。しかも俺に言わせると、8年ぐらい前のブッチャーズなんだよね。アレは俺、スッゲー嬉しかった。シミ(怒髪天のベース)も喜んじゃって大変だったよ。しかもさ、この曲のようちゃんの声、子供みたいなんだよね(笑)。つうか子供の頃歌ってたそのまんまでやったろ、ようちゃん!

吉村:えへへえへへへ。

奈良崎:俺はね、この曲のアウトロが好き。特に好き。凄いカッコいい!

──はい。そしてですね、ここにいらっしゃる4名の内の3人というか3組まで、実は私の方で楽曲を選んで、ゴリ押しでやってもらったんですよ(笑)。で、泉さんが仰った通り、ウルトラマンのアレンジは非常に難しかったと吉村さんは言っていて。

吉村:そうですよ! まぁ最初ねえちゃんから「ウルトラマンでやってよ」って頼まれた時は「うん、判った」って言ったけど、いざやろうとしたら、ホント大変でさぁ。歌を残すかリズムを残すかで考えたけど、でも歌はやっぱり崩せないじゃない?

増子:うん、歌崩したら何だかよく判らなくなるし、変にいやらしくなるしね。トリビュートに限らずさ、ほら、昔のヒット曲がある歌手がさ、セルフカヴァーだっつって変にアレンジして再録して出すことがあるじゃん。俺、マッチのレコード買ってガッカリしたことあるもん。「これはマッチじゃねぇ!」つって。いや、本人なんだけどさ(笑)。

恭一:はっはっはっは!

もの凄く80'Sの匂いがするレオ

──何だか非常に反応してますが、次はその杉本恭一さんの“ウルトラマンレオ”。杉本さんは私と同学年なんで、リアルタイムはぶっちゃけセブンなんですよ。しかし私は個人的にこの曲がウルトラマン・シリーズの中で最も好きで、絶対に外したくない曲だったんです。で、杉本さんも「この曲は知ってる」と言うので、しめしめと頼み(笑)。

増子:恭一さんはセブン世代なんだ?

恭一:うん。でも、全部再放送で見たね。

吉村:俺もそう。セブンとかすっごい記憶にあるんだけど、俺のリアルタイムは帰ってきたウルトラマンだから、やっぱり再放送で全部見てたんだよな。

増子:うんうんうん。俺も新マンがリアルタイム。帰ってきたウルトラマンが始まった時にさ、俺の親父が「なんぼなんでも“帰ってきた”はねぇだろう!」っつってゲラゲラ笑ってたのを強烈に覚えてる(笑)。

──さぁそしてレオに話を戻したいんですが、杉本さん。

恭一:うん。歌は覚えてたんだけど、実は内容は全っ然覚えてない(笑)。

一同:はははははは!

恭一:俺が中味まで記憶に残ってるのはAの途中までかな。北斗と南まで。

吉村:おそらくさ、俺らの世代はレオまでは見てるんだよ。っていうかレオで終わりで、その後は見なくなったというか。

増子:世代的にはまさにそうだな。まぁ俺はその後も見てたけど(笑)。

奈良崎:うんうんうん。

増子:で、恭一さんとねえちゃんは少し上だから、世代的にはA辺りまでになると。

──いや、私は80まで見てましたが。

恭一:お前と一緒にはされたくないな(笑)。っていうか俺、この中で確実に一番詳しくないよ、普通に見てただけだから。

吉村:いや、俺もそうですよ。俺も子供の時に普通に見てて好きだっただけ。

──大人になってからも見てるのは、まぁ特殊な層ですからね。この中では私と奈良崎さんと増子さんがそれに当りますが(笑)。それで泉さん、レオはどうでした?

:凄くカッコ良かったです。レオをほとんど覚えてなかったとはとても思えなかったですよ(笑)。

恭一:いや、歌は覚えてたんですよ。しかも阿久悠の歌詞を歌えるなんて思わなかったしね(笑)。

奈良崎:レオって阿久悠なんだ!?

──そうそう。だからというわけじゃありませんが、この曲はやはり名曲ですよね。っていうか、奈良崎さんもこの曲好きだって言ってなかったっけ?

奈良崎:うん、凄く好き。元歌も好きだけど、恭一さんのアレンジも、もの凄く好き。

増子:そんでさ、これはみんなそうなんだけど、やっぱりアレンジする人の色がもの凄く出てるよね。で、レオはものっ凄く80'Sの匂いがするんだよ!

一同:ははははははは!

吉村:俺さ、俺さ、最初に誰が何をやってるってチェックしないで完成した音を聴いてて、そんでレオになった時「あれ? レピッシュっぽい」って思ったんだよ!

増子:ようちゃんと一緒で、ある意味、まんまで行ってるってことだよね。思いっきり色が出てる。それがまたいいんだよ。だってさ、メロディはやっぱそのまんまじゃん。だけど楽曲のアレンジによって、そうやって味が出るっていうか、身に染み付いたものが出てるっていうのが最高にいい。

恭一:だって中込から「歌詞もメロディも変えるな、特にサビは変えるな」と言われて……お前! さてはそれ、俺だけに言ったな!!

──えっ、いやその、えーと、できればサビは残して欲しいとは何組かに言いましたよ。ただ、メロディもそのままでやって欲しいなーと頼んでみたのは実は杉本さんだけかも。てへ。

恭一:お前えぇぇぇぇぇ!

──だってだってこの曲好きなんだもん、メロを生かしたアレンジで聴きたかったんですよう。いいじゃないですか、カッコいいのできたんだし。あ、ちなみに歌詞そのまんまに関しては全バンド共通っす。

恭一:……とにかく、この曲は非常に難しかったよ。今まで歌ってきた歌の中で一番難しかった!(笑)

ありったけの正義感をぶつけたマイティジャック

──はい。では次、特撮は“マイティジャックの歌”。これはウルトラマン・シリーズではありませんが、円谷特撮の主題歌の中でも際立っていい曲なんですよ。私ももともと大好きな曲だったんで、特撮からこの曲で、という話が来た時は、まさに渡りに舟でした。

奈良崎:いや、それがさ、ウチのリーダー、大槻ケンヂという人なんですが、彼が最初にやりたいって言ってたのが、ウルトラマンAに出てくるヤプール人が歌ってる「あっなたはわったしを信じなさい」って歌で。

一同:あははははははは!

奈良崎:でね、でね、その曲って演奏がないんですよ。ホームレスみたいな人がただ歌ってるだけなの。しかも歌詞も4行くらいしかないんだよ! 確かにインパクトはあるかもしれないけど、演奏つけれないし、ちょっとどうかと思いますよって言ったら、「そうかー。じゃあ、キャプテン・ウルトラにしよう!」って言い出して。

──ああああ、これ、非常に間違いやすいんですよね。キャプテン・ウルトラは円谷じゃなくて、実は東映の番組だという。

奈良崎:そう! そうだったんだよ〜(笑)。

──ただ、キャプテン・ウルトラ、確かに猛烈にいい曲なんですよね。私も無茶苦茶好きなんだよなぁ。

奈良崎:カッコいいよね〜。だからキャプテン・ウルトラで行こうってなった時は、ほんと盛り上がってアレンジまで考えてたのに、そもそも円谷じゃなかったと判って、ほんとカクっと来たよ(笑)。

──そういや、そのキャプテン・ウルトラと、特撮が最終的に選んだ“マイティジャックの歌”は同じ作曲者なわけですが。

奈良崎:え、キャプテン・ウルトラも冨田勲なの?

──そうっすよ。じゃあ知らないで偶然選んだんだ(笑)。あの当時の冨田勲は名曲多いですよね。リボンの騎士しかり。

恭一:……マニアックな会話やなぁ(笑)。でも“マイティジャックの歌”、実際すっごいカッコ良かった。

奈良崎:ありがとうございます! ただ、ウチの看板って大槻ケンヂじゃないですか。なのにメンバーみんなで大合唱してるから、どこに大槻ケンヂがいるかサッパリ判んないという仕上がりに。

一同:ははははははは!

奈良崎:それは、とにかく「(原曲の)まんまやりたい!」っていうのがあって、イントロだけ聴いても「あああっ、懐かしい!」っていう音にしようとした感じだったからなんですが。

──確かにべらぼうにまんま感があって楽しいですよね。泉さんは、この曲はいかがでしたか?

:私、円谷でやっていた最後の仕事が、まさにマイティジャックのDVD化だったんですよ。

──あ、そういや丁度リリースされたばっかりなんですよね、マイティジャック。

:はい。で、本当に今奈良崎さんが仰ってたように、曲の出だしからグッとくる感じで。杉本さんのレオから続く感じも凄く良くて、そして大合唱がきて、本当に好きで選ばれたのが判る感じが凄く良かった。

奈良崎:僕ら、普段持ってない正義感を振り絞って、ありったけの正義感をぶつけましたからね、あの大合唱に!

一同:はははははははははははははは!

──そういえば、私の中学の同級生に滝沢聖峰というマンガ家がいるんですが、彼に本作を渡したら、やはりここ、レオとマイティジャックの曲順の並びにもシビレたと言ってくれました。

恭一:お前、してやったりだな。お前が考えた曲順やけん(笑)。

──はいー(笑)。あと、聖峰は主に第二次大戦の日本軍ものマンガを描いていることもあってか、吉村さんの“MATチームの歌”が、どこか“ラバウル小唄”を彷佛とさせてとてもいいなぁ、とも言ってましたね。

増子:さ〜ら〜ば〜ラバウルよ〜、だね。

奈良崎:聴いていると、何か夕日が見えますよね。

増子:うんうん、哀愁が見えるよね。御国のために行ってきまーす! みたいな。

吉村:実際この歌、歌自体が特攻隊の歌みたいなんだよね。行ったっきり帰ってこないの(笑)。そんで夢もなければオチもないんだけど、でもね、凄いインパクトなんだよね。

──ですね。それで凄くいい曲で……っていうかそもそもウルトラマン・シリーズの曲っていい曲ばっかりだと思いません?

吉村:うん。大人が大人向けに作ってるっていうかさ。

増子:そうだね。話自体も意外と子供向きじゃないし。だからその分記憶に残ってるんだと思うんだけど。特にセブン。

一同:うんうんうんうん!

恭一:まぁ俺は、セブンはやっぱりアンヌ隊員が好きだったよ。我々の世代のアイドルだった(笑)。平凡パンチでヌードになった時は凄く話題になったし。

奈良崎:今、調布でお店やってますよ。

吉村:お店? 飲み屋さん? そこ行けば「ダンっ!」って言ってくれんの?

増子:ダンが行けばダンって言ってくれるかもしんないけどさぁ(笑)。

──何の話をしているんですか、何の。

奈良崎:そういえば、セブンの主題歌がスイングしてるって知ってました? 俺、知ったの割と最近なんですよ。

──え、そうなんですか? って飽きるほど聴いてるけど、意識したことなかったなぁ。

奈良崎:うん。わりとまったりした曲だと思ってたから、よくよく聴いてたら驚いて。まっさかあの曲がジャズでランニングしてるとは思わなかったんだよなぁ。

増子:俺もレコード持ってたけどなぁ。

吉村:いや、だからウルトラの曲は全部レベル高いよ。

“怪獣音頭”をカヴァーできるのは怒髪天しかいない!

──レベル高いっすよねぇ。っていつの間にやら話が激しく脱線しましたので戻しますが、お次は怒髪天。で、とりあえず増子さんに言っておきたいのは、ほんとごめんなさい、そしてありがとうございましたということで。実は怒髪天には、微塵の選択の余地もないというまでに、猛烈に“怪獣音頭”をゴリ押ししたんですよ。

増子:ほんとだよ、完全曲指定だもん(笑)。本当は俺らだって、もっとカッコいい曲やりたかったんだよ?

奈良崎:ええっ? でも凄い合ってたよ。

恭一:俺は凄い羨ましかったよ。

増子:ええっ、そうなの?(笑)

──杉本さんはドリフ大好きですから(笑)。っつーか本当、どうしてもこの曲を怒髪天にやってもらいたかったんですよ。それはマジで私の夢と言っても良かった! つうかこのアルバム自体が私の夢の実現であったわけなんですが、中でも怒髪天のこの曲は非常に重要だったんですよね。何故なら、この曲のカヴァーは多分これが最初にして最後、唯一無二の代物となるんではないかと。それほどまでに演じ手が限定される楽曲だと。はっきり言うと、日本中でこの曲のカヴァーができるロック・バンドは怒髪天しかいない! と。

増子:……ははははは。

──けれども、まさかこれほどまでに全うしてくれるとは! という凄まじいデキで、私は大変感激しました。

増子:確かにねえちゃん、俺たちの“怪獣音頭”が聴きたいって、それこそずっと前から言ってたもんね(笑)。でもさ、普通やらんって!

一同:はははははは!

──ただ、一点心配していることがあるんです。潔くやり過ぎてくれているので爆笑できる分、バンドのマイナス・イメージにならないか、ちょっと気掛かりで(笑)。

増子:トリビュートってさ、アレンジ合戦っていうか、カードの切り合いだから、ポーカーみたいなもんでさ。で、みんないっせーのせ! っでカード出したら、「おおっ、それがきたか!」っていうのがあるじゃない? 俺たち……ちょっと強いカード切り過ぎたかな、とは自分でも思うよね(笑)。特に4番。

──ああ、あの物真似は酷かったですね!

吉村:「似てねぇー」って入ってるもんな。

増子:「似てねぇー」って言うしかなかった。なぜなら似てないから(笑)。

──それでですね、今回私は皆のレコーディングに顔は出さなかったわけですが、それは事前にいろいろ注文出したりした分、本作業はお任せしたいというのと、上がったのを聴いて楽しみたいというのと、あと単純に忙しかったというのもあったんですけども(笑)、とにかく。怒髪天のレコーディングにだけは行ったんですよ。何故なら、「コーラスをやれ! これは命令だ!!」と増子さんに呼び出されてですね。

一同:ははははは!

──罰ゲームを受けろと脅されてですね(笑)。

増子:そうそう。本当は5番を全部一人で歌わせようと思ってたんだよ(笑)。

──マジ勘弁してくださいよう。コーラス入っただけでも冷や汗が滝のようだったというのに。でも本当、聴いてるウチにじわじわ嬉しくなってもきました。何せ怒髪天と共演しちゃったわけですし。しかも出来上がりは、これぞまさしく私の聴きたかった“怪獣音頭”だったわけで。

増子:もうさ、元が音頭だから、いじりようがないんだよ! だからもう開き直って、いつも行ってる飲み屋から和太鼓まで借りてきて入れたもんね(笑)。でもさ、俺が子供の頃聴いてた企画盤に入ってた、テレビで流れたわけでもない“怪獣音頭”を、「おっさんフザケてんなぁ〜」と思って聴いてた“怪獣音頭”をさ、まさか30数年を経て自分がやるとは思わなかったよなぁ。えらいオチがついたなと思ったもん!

恭一:あははは、あはははははは!

増子:あの歌詞とかもさ、言い回しが全体的に本当おっさんくさいんだよ。「ザザーンくんにてございます」だよ? あとさ、「コブラのように恐ろしく」っていう下りも凄いよね。どう考えても、コブラより怪獣の方が遥かに怖いっての!

──でもでもあの歌詞は怪獣の設定が完璧なんですよ。というのも、歌詞を書かれた東京一さんは、実は故・円谷一さんなんです。ね、泉さん!

:はい。

一同:えええええーっ!?

:で、私もこの曲は凄く気に入っていて。もうニヤニヤニヤニヤして聴いてましたね(笑)。大好きです。

増子:実は密かに意外と評判いいんだよね。サンプル上がった時にさ、バズラのテッペイからも即メールきたもんな。「素晴らしい!」って(笑)。そんでバズラの事務所の社長、もの凄い勢いで“怪獣音頭”をヘヴィ・ローテーションしてるらしいよ?

──社長ならバズラのやった“ウルトラマン80”をかけるべきなんじゃないかと突っ込みを入れるところなんでしょうが、社長最高っすね。

増子:(笑)あ、そんで俺さ、実は自分で曲を選べたら、その“ウルトラマン80”をやりたかったんだよね。あの歌詞最高なんだよ。ほんとグッとくる!

──そうだったんだ。いや、怒髪天に関してはわざと他にやりたい曲とか聞かないようにしてたから(笑)。でも、確かに80も超名曲です。

増子:うん。凄くいい曲。そんでちょっとゴダイゴっぽいの。

──そうそうそう。そういやバズラの80も私のリクエストを聞いてやってくれたんですよ。

増子:全部注文じゃねぇか! これはもうトリビュートじゃなくてゴメビュートじゃねぇか!!(笑)

吉村:ゴメビュートってお前(笑)。

増子:あとね、これ通して聴いてて、凄い頑張ったなぁと思ったのはね、MAD3。あれは頑張った。よく頑張った!

──MAD3は“ウルトラ警備隊の歌”の前に入ってる“悲愴”をやるために、チェロを特訓したんですよ。

奈良崎:へぇーっ!

増子:ほんっと凄いよ、だって自分達が得意なこと、敢えて全然やってないっしょ。あれは愛だよね、愛!

奈良崎:そういやさ、なんでAとタロウは誰もやらなかったの?

──候補に挙げてくれていたバンドもあったんですが、諸処の事情で今回は参加できなかったバンドがあったんですよ。もし続編があれば是非やりたいって言ってくれてるんですけれども。あとは、楽曲をリクエストしたけど、それが通らなかったバンドももちろんありますしね(笑)。

奈良崎:なるほどなるほど。

増子:でもホントは全部、Aとかタロウとかも入ってたら良かったのにね。

──ですね。その辺はちょっと心残りかな。ちなみに今回、バンド側から何がなんでもこの曲! という指定が来た場合に限り、ウルトラマン・シリーズ以外の円谷作品もアリにしようという話は、実は最初から泉さんやエイベックスとも話してたんですよ。モガ・ザ・¥5の怪奇大作戦の“死神の子守唄”、LOW IQ 01のウルトラQ、そして特撮のマイティジャックがそれにあたるわけです。

増子:やっぱね、モガにはやられたよね。あれいいもん、あの歌詞最高!

吉村:死んだ、死んだ、死んだって歌詞最高(笑)。

──こういう無気味な曲があるところも、また円谷のいいところですよね。はい。

レコ発ライヴ、トークイベントも画策中!

──ということで、そろそろまとめに入りたいかと思うのですが。

増子:とにかくさ、ウルトラマンはほんと、世界に誇る日本の文化だよな。

──ええ、ですね。

増子:だから羨ましがってると思うよ。

──え、誰が?

増子:世界中の人がさ! いるからね、全世界にファンが。ハヌマーンとかじゃないでしょ、やっぱ(笑)。

──一部の人間にしか判らない話をしないように!(笑)

恭一:ハヌマーンって何?

──タイのウルトラマンです。円谷プロがタイと映画を共作したことがあって、ウルトラ戦士&ハヌマーンみたいな感じで日本でも普通に劇場公開されたんですが、この内容がマジでもの凄くてもう大変。

増子:しかもハヌマーン、仮面ライダーとも共演してるからね!(笑)

──確かにそんなこともありましたが、とりあえず話を戻しませんか?

増子:うむ。まぁでも、これを買って初めて怒髪天を知ったという人の中での俺達のイメージは、“怪獣音頭”になるわけで……それは大分ヤバいかもしれない。

一同:はははははははははははははははは!

増子:「あの怪獣音頭の!」って(笑)。でもさ、まぁそれも良かったよね。

吉村:ところでさ、レコ発ライヴはやんないの?

──今計画中です。どうせやるなら、ライヴだけじゃなく、何らかの形でウルトラマンとリンクした形を実現したくて。ぶっちゃけヒーローショー、もしくはウルトラマンと怪獣の着ぐるみとか借りれないかなぁと。なので、ちょっと時間が掛かるかもしれないですけど。

:大丈夫ですよ! 私も元同僚に言っておきますし。

──おおっ、心強い言葉が!

吉村:んで、俺が着るよ、その着ぐるみ。

一同:ははははは!

増子:つうかようちゃんだと、後ろのチャックがしまんないんじゃないの?(笑)

吉村:しまんなくてもやる!

増子:まぁ最悪、全裸にボディ・ペインティングだな。で、ジュワッと出てくると。

──見たいような見たくないような(笑)。あと、ロフトプラスワンの方では8月あたり、久しぶりに『ロック好きのための特撮講座』を奈良崎さん、増子さんと共に、本作参加のアーティストを交えて開催しようかと。

増子:うんうん。そっちもやらないとね!

──というわけで、本日は本当にどうもありがとうございました。

一同:いえいえ。

──では改めまして、ここがどこであるかを皆さん、とっくりと思い出して下さい。ロフト斉藤さん、ミュージック・スタート!(“ウルトラマンの歌”が流れ出す)

吉村:えええええっ!? 歌うの? ほんとに? いやちょっとまっ……「むねーぇに、つけーてる、マークは流星〜」

一同:ははは、はははは、ははははははははははははははは!

──皆さん笑い事ではありませんよ、順番に行っていただきます!


……というわけで突如カラオケ大会に突入する面々。謎の写真は以下の情景によるものです。この後、怪獣音頭を見事にこっぱずかしながら増子さんが、マイティジャックをカヴァー通りのコーラス隊唱法で奈良崎さんが披露し、ついでに何故か80を中込、泉チームが歌い、さらにカラオケ嫌いで有名な杉本恭一さんまでもが見事レオを熱唱してくださいました。しかも、次第に異様なヒートを見せ始め、自分の持ち曲であるWEEDを歌い始める増子さんや、タイムボカンの3悪人の歌をデュエットする吉村&奈良崎コンビが登場し、頭が痛くなるまで笑わせて頂いたのですが、紙上ではお届けできないのが本当に残念です。とにもかくにも、『ROCK THE ULTRAMAN』をよろしくお願いいたします!

ROCK THE ULTRAMAN

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