本気で伝わるメッセージソングを
──まずは1/18のパレードの感想を。
志田「楽しかったし画期的だったと思います。再開発絡みで行政を相手に住民や色んな人達がデモまでやっちゃうって事はあまり無い事だと思うし、手前みそだけど自分が作ったそんなムーヴメントのテーマ・ソングをみんなと歌いながら歩けたのが嬉しかった」
──この日はデモ行進前のシェルターの記者会見の時にライヴまでやっちゃいましたね。
志田「チンドン編成の大熊さん達とのセッションも含めて急に決まった事だから、メンバーみんな事前に音合わせする時間が無かったけど、気合いのある連中ばっかだったから大丈夫だろうと思ってて。だからそれで当日みんなで段取り決めてその場で初めて音合わせたけど凄くいいセッションになってライヴも大盛り上がりだったんでやって大正解だと思いましたね」
──それで今回のCD“アモーレ下北”を出す事になったキッカケは?
志田「僕は“Save the 下北沢”というムーヴメントには立ち上げの段階から参加してて、最初は『“Save the 下北沢”でオムニバス盤作ろうよ』って話が持ち上がってて、それに参加して、しかも早くリリースしたいと言われて急遽レコーディングしたんだけど、他の音源がなかなか集まらなくて出せなくて(笑)、『じゃあこのレコーディングした曲どうする?』ってなった時に『じゃあシングルで出そうよ』って事になったのが今回のこのシングルですね」
──この曲はある意味、今回反対してるみんなが思ってる事を直球で表現してくれてるメッセージ・ソングですね。
志田「“Save the 下北沢”というか今回の下北の問題に関わってく中で、こういうテーマ・ソングみたいなものが必要だな、と思ってたんですよ。毎週みんなで街頭署名やったり瓦版配ったりしてんだけど、天気悪かったり好意的じゃない人達も沢山いるし、大変なこともあるんだけど、そういう時にソーラン節じゃないけど、そういう一緒に働いてくれてる人達が聴いて元気になれる様な、みんなが一緒に歌える様な曲が欲しかったんですよね。それとメッセージ・ソングって事で言うと、例えば平和をテーマにするんであれば、平和という事に対して、もう欲情してしまう位な、そういう切実なヒリヒリした感情がエグく出れば、それはメッセージ・ソングとして全然建前ではなく本気で伝わると思うんです。そんな気持ちで作りましたね」
──今回のこのムーヴメントを署名とか以外のこういう音楽でも表現したかったと?
志田「僕自身下北に住むキッカケは、昔からバンドやってく中で下北に住んだ方が絶対に色んな面白い展開があるだろうと思ったから80年代から住み始めたんですよね。僕にとっては音楽との関わりが無かったら下北という街とも関わりたいというのは無かったです」
──志田さんの中でのそれ程までの下北への思い入れというのはどんなとこなんでしょう?
志田「初めて下北の小さい飲み屋とか来た人から見ると、どこの店行っても常連達ばっかだし、敷居高く感じるかも知れないけど、実は凄くどこもオープンなとこばっかで、すぐ隣で飲んでる知らない人達やなんかと仲良くなったりよくするし、僕もそんなとこで知り合った人達といっしょにライブとか色んな事やったりしてる。それと街としても下北って実は凄く治安がいい所で有名なんですよ。酒が入ってるから口論になったりとかはあるかもしれないけど、それで危険な事件とかには全然ならない。それって凄く大事な事だと思うんね。それに世代的にもジャンル的にも凄く幅広い連中となにかしらを共有出来る空気も好きなんですよね」
『この街を守ってくれよ』
──今回の再開発についての志田さんからの意見は?
志田「ともかく乱暴過ぎますよね。最初に計画された地図を見せられた時に商店街を真っ二つにするというのが判って、それが街をよくしようって発想があっての計画では絶対ないって気付いたし。この計画は元々60年位も前に立ち上がったもので、それから下北の街は当然変貌しまくってるのに、今のその下北の街の実態に少しでも則した形で工夫しようというものが全く感じられない。要するにこの下北の街の住民を明らかにナメてるなというのが判って、そこが一番の怒りですね」
──では今後も活動は続けていくと。
志田「今回のシングルの2曲目の『BORN TO BE A FOOL』って曲のモデルにもなってる“NEVER NEVER LAND”って30年以上やってるとんでもないイカれた素晴らしい店があって、去年急に病気で亡くなったそこのマスターから『この街を守ってくれよ』って僕は言われたんです。だからそのマスターの意志を継ぐ意味でも絶対最後まで諦められないですよね。実際これから国のあり方だったり税金の使い方だったりを絶対考え直さなきゃいけない時期が今まさに来てる訳だし、それの先駆けに今回のムーヴメントがひょっとしたらなりうるかも知れない。H?それで区や国が本当にそういう事を考え直す様になったら下北だけじゃなくて、この国にとっての希望になりうると思うんですよね」
──今度レコ発でネイキッドロフトでのライヴもありますね。
志田「そもそも“アモーレ下北”って曲が出来たのって、今回ゲストに呼んだ“たゆた”ってバンドの下北のライヴ・ステージにいきなり僕が飛び入りさせられて、その場で即興で歌ったのが元になってるんですよね。だから今回のこの曲に縁の深いその“たゆた”と一緒に共演ししたいなと。それとラヴ・ソングのエグさとメッセージ性のエグさってのは、本来いっしょであるべきだっていうのが自分の軸としてあるので、選曲もその感じが伝わる感じでいこうと思ってます。是非皆さん遊びに来て下さい」
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