Monthly Free Magazine for Youth Culture
ROOFTOP 2006年2月号
倭製ジェロニモ&ラブゲリラエクスペリエンス

Rooftop EXCLUSIVE LIVE REPORT
Dream On Ice“LOVE GUERRILLA Exhibition”
1.18 (wed) at HARAJUKU ASTRO HALL, TOKYO

徹底したエンタテインメント性でフロアを存分に湧かせ、
トリプル・アンコールに応えた初の東京ワンマン・ライヴ

 神戸発、ホーン・セクション5人を含む10人組の大所帯ブラスロック・バンド、倭製ジェロニモ&ラブゲリラエクスペリエンス(以下、倭ジェロ)。ロック、パンク、スカ、ファンク、ジャズ、ヒップホップ、純日本的艶歌に至るまであらゆるジャンルを縦横無尽に呑み込み、一度聴いたら忘れられないセンス抜群のキャッチーな楽曲、そしてオーディエンスの心を鷲掴みにして離さない超弩級のハイテンションなライヴ・パフォーマンスで巷のライヴハウス・シーンを大いに賑わせている“自称「日本一長いバンド名を持つバンド」”である。昨年8月の〈サマーソニック 05〉出演に大抜擢され、神出鬼没をテーマに東京2daysで計10ステージをこなすという離れ業をやってのけ、9月にはミニ・アルバム『アウトサイド』で晴れてメジャー・デビューも果たした。耳の肥えた音楽ファンの間ではすでに熱い注目を浴びる存在なのである。

 そんな彼らが初のシングルとなる『Dream On Ice』リリース当日、東京では初めてというワンマン・ライヴを原宿アストロホールで行なった。会場は大入り御礼の超満員で、身動きができないほど。心斎橋ビッグキャットでのワンマンをソールド・アウトさせた地元関西だけでなく、ここ東京でもその実力と存在感を着実に浸透させている何よりの証拠である。そんなオーディエンスの熱い期待に十二分に応えるかの如く、ドアーズの「ブレイク・オン・スルー」“She gets high”ノーカット・ヴァージョンをSEに登場したメンバーは、オープニングの「世界を買った男」からアクセル全開レッドゾーン常時突入の振り切れ具合。リフとホーンがうねりまくる、ヒップでグラマラスなノリの良いナンバーを立て続けに連発(僕の目の前にいた若い婦女子2人組は、1曲目が終わるやいなや「カッコイイ…」と深い溜息を漏らし、釘付けになっていた)。

 “十人十色”という言葉は彼らのためにあるのではないかと思えるほど、それぞれが個性豊かで芸達者なのが倭ジェロの大きな持ち味のひとつである。バンドの顔役であるヴォーカル、フクイシュウの迫力ある歌とキレのある動き(そしてインディアンの酋長のようなバカデカい羽根飾り)にとかく目が行きがちになるが、フロントに立つ男性4名+女性1名のホーン・セクションも非常に華があり、徹底的に“魅せる”ステージをゴージャスに演出する。

 なかでもヒガシカワウチタケシはアルト・サックスを自由自在に操る一方で、フクイに代わってリード・ヴォーカルも取り、ヒューマンビートボックスを随所で披露するなど楽曲に躍動感を与え、テナー・サックスのオオグリヒロシも巧妙なMCと踊りでオーディエンスに場内の一体感を厭味なく促し、ステージとの垣根を取り払うことに見事成功していた。また、要所でキーボードのシノハラアキコが爽やかだが芯のしっかりしたヴォーカルを聴かせ、長丁場のステージに小気味良い彩りと清涼感を加えた。更には、確かなグルーヴを生み出すベースのホシノトシアキ(倭ジェロ・リーダー)とドラムのクワダシンサクも、後方に陣取りながらフロントの6人に負けじと劣らず激しいアクションで健在っぷりを充分にアピール。各々が自身のパートをしっかりと全うしながらも、誰一人埋もれることなく我々オーディエンスに強烈すぎる個性を存分に見せ付けた。

 緩急を付けながらも一気に聴かせた本編を「プロペラ」「SEXY SEXY SEXY」「アウトサイド」の大団円でアッパーに締め括るも、アンコールを求める倭ジェロ・コールは鳴り止まず。それを受けて「マシンガンサンデー」、「リボルバー」と2度の再登場に応じたが、それでもなおフロアの歓声と拍手は地鳴りの如く湧き起こる。その結果、当初全く予定のなかった3度目のアンコールを行なうという、倭ジェロにとっても過去類を見ない想定外の盛り上がりに。初のシングル発売日に初の東京ワンマンを敢行、そしてバンド初のトリプル・アンコールという、お初尽くしの一夜と相成った。

 個人的にこの日最も印象に残ったMCは、「今日、渋谷駅に降り立った時に“帰ってきたなぁ”と初めて思って、自分でも驚きました。関西出身の僕らがこんな気持ちになるなんて…」というフクイの言葉だった。早くも5月20日(土)にはSHIBUYA BOXXでの東京ワンマン第2弾が決定しており、それ以外にもこれから益々東京でのライヴは増えていくはずで、アウェイである東京という地により馴染むのではないだろうか。

 その卓越したエンタテインメント性と過剰なまでのサービス精神を武器にロック・シーンの頂を虎視眈々と狙う彼らにとって、この東京初ワンマンは大きな頂へと登り詰める序盤戦で見事な好スタートを切ったと言える。もっともっと派手に、破天荒に、自由に暴れ回って、まだ倭ジェロの魅力に気付いていない“眠るライオン”達を叩き起こしてほしい。(text:椎名宗之)

SET LIST

1.世界を買った男 / 2.Warning / 3.プリティーボギィ / 4.眠るライオン / 5.Smiley Seed / 6.ラブホリデー / 7.Dream On Ice / 8.WAVE RIDER / 9.スマイル / 10.SPLIT / 11.プロペラ / 12.SEXY SEXY SEXY / 13.アウトサイド

encore:
1.マシンガンサンデー / 2.リボルバー / 3.Dream On Ice

Brand New Single ”Dream On Ice”

Brand New Single ”Dream On Ice”

BMG JAPAN BVCR-19673
1,050yen (tax in)
収録曲:1.Dream On Ice 2.眠るライオン
エンハンスト仕様:「Dream On Ice」MUSIC VIDEO収録
IN STORES NOW
★amazonで購入する


Live info.

From WEST in O-WEST
2月4日(土)SHIBUYA O-WEST
OPEN 17:30 / START 18:00
TICKET: advance-2,500yen (+1DRINK)
w/ ZILcoNIA / LOUD-VOICE / kaede / and more...
【info.】DISK GARAGE:03-5436-9600(平日12:00〜19:00)

From OSAKA with FUNK
2月11日(土)吉祥寺STAR PINE'S CAFE
OPEN 20:00 / START 21:00(オールナイト・イヴェント)
TICKET: advance-2,800yen (+1DRINK)
w/ BRITZ AND SQUASH BRASS BAND / K-106 / ザ・たこさん / ARGYLE / etc...
DJ:TAIZO / grooveあんちゃん / 山口 (たこさん)
【info.】STAR PINE'S CAFE:0422-23-2251


倭製ジェロニモ&ラブゲリラエクスペリエンス OFFICIAL WEB SITE
http://www.wagero.net/

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