Monthly Free Magazine for Youth Culture
ROOFTOP 2006年4月号
Reo Yokomizo & Neon Group

ギャラクシーナイト! 誘惑に溶けていく夜のアンセム!

ギラギラしたギャラクシーナイトに煌めくReo Yokomizo & Neon Groupという名の一条の青白い光。元Capsule GiantsのReo Yokomizoと梶原一興を中心にプロジェクトが始動してから早2年、遂に待望のファースト・アルバム『Neon Group』が完成した。ジャキジャキと鋭利極まりないギター・サウンドと疾走感溢れる爆裂グルーヴは真夜中の徘徊者の心を躍らせ、Ian McCullochの如き妖艶さを醸し出す瑞々しいヴォーカルは藍色吐息。甘く切ない夜の誘惑と果てしないロマンティシズムに身悶える僕達の傍らには、いつもNeon Groupの清々しい歌があるのだ。(interview:椎名宗之)

自分のやりたいことが明確に定まった

──Neon Groupのそもそもの成り立ちからざっと振り返ってみたいのですが、'02年にCapsule Giantsが突然の活動停止と相成って。

Reo Yokomizo(vo, g):僕自身はCapsule Giantsとしての活動を止めようとは思ってなかったんですよ。みんなでもう一度やろうよって集まって呑んだりしたんですけど、何故か活動休止ってことになって。でも、バンドとしてやるべきこともやって、確かにちょっと手を広げすぎて散漫な感じにもなってきたから、丁度いいタイミングなのかなとも思ったんです。で、活動休止の時期にパンクをまた日常的によく聴くようになって、ああいう勢いのある音楽をやりたいと思い立ったんですよ。人のライヴを観に行っても、自分もステージに立ちたいと思うようにもなって。

──そうこうするうちに曲を2曲書き上げて。

Reo:そのうちの1曲が、今回のアルバムにも入っている「ギャラクシーナイト」なんです。まず梶原さんに声を掛けて、2人でスタジオに入って。僕がプレゼンするような感じで、梶原さんも「お、いいね」と言ってくれて。

梶原一興(ds):Reo君と一緒にやっていたCapsule Giantsは、パンクのイメージからは一見程遠いように思われるかもしれないけど、Reo君は福岡で出会った頃から彼の周りはパンクスばかりに見えたし、その中にいる人だと僕は思ってたから、次にまた音楽をやるならそのまま素直にパンクっぽい音をやるのがいいんじゃないかと思ってたんですよ。だから一緒にスタジオに入って新曲を聴いた時は嬉しかったですね。

Reo:僕は元々が器用なほうじゃないんで、自分はもうこれしかできないと思うようになったんですね。

──本来の感性に近い、もっと直情的な音楽をやろう、と。

Reo:そうですね。自分の心にグッときたものにもっと素直になろうと思って。前みたいに色々と考えすぎて堂々巡りみたいになるのはやめよう、と。余り考えすぎたらボツにしよう、とか。周りがどう思うかとかは一切考えずに、自分が18〜19歳の頃に感じたもの、信じられたものをもう一度取り戻そう、というか。そこで自分のやりたいことが明確に定まったんです。

梶原:でも、最初にスタジオに入った時の「ギャラクシーナイト」ともう一方の曲は直情的なものじゃなくて、ちょっと長いポップな曲だったんですよね。

Reo:ギターは激しめだったんだけど、最終的に行き詰まりを感じてポイッと捨てたんですよ。

梶原:ただ、その捨てた曲の断片がこのアルバムに収めた曲の随所に活かされているんです。

──もう一度音楽をやるなら、やはりバンドしかないと考えていたんですか?

Reo:僕は一人じゃ何もできないんで(笑)。最初からバンドしかないと思ってたし、梶原さんとずっとバンドをやってきたから、自分がまたバンドをやる時は絶対にドラムは梶原さんしかいないと思ってましたから。同じように、ベースはCapsuleGiantsでサポートをしてくれていたタムラ君を誘おうと決めてました。

タムラアキラ(b, cho):意外なことに、みんな本来の嗜好に近いパンク・テイストのバンドを敢えてやってこなかったんですよね。でも、普段から大っぴらには喋らなかったけど血となり骨となっている音楽的ルーツは一緒で、いざ音を合わせてみたら結局こういう音楽をやりたかったんだな、っていう。面白いですよね。

──リード・ギターはReoさんの慧眼で逆瀬川隆男さんに決まって。

Reo:「誰かいないですかね?」と逆瀬川君に訊いた時に、「僕じゃダメですか?」と。「どんなギターを弾くんですか?」と尋ねたら「Robert Quine(Richard Hell & The Voidoids)みたいだと言われます」と言うから、これはもうバッチリだと。ちなみに、Reo Yokomizo & Neon Groupっていうバンド名は、僕の意志ではないんですよ(笑)。僕は最初、Neon Groupというバンド名を持ってきたんですけどね。

梶原:僕は漢字で“横溝礼央”っていうバンド名にしたかったんですけど、猛反対されたんですよ(笑)。

Reo:何か全責任を背負わされそうな気がして(笑)。結果的には間を取った妥協案に落ち着きました。

──最初のライヴが'04年6月の『プチ週末』だったというのも、何やら暗示的な匂いを感じますね(笑)。

Reo:「最初にやるライヴは『プチ週末』がいい」って僕らからHOLLIEくんに言ったんですよ。

梶原:もう『プチ週末』様々ですから(笑)。ああいう雑然とした雰囲気の中でライヴをやるのが好きなんですよね。福岡にいた頃も、深夜に酒を呑んで騒ぎながらよくライヴをやってましたから。

タムラ:最初は、ちゃんとしたライヴハウスでライヴをやっても余り意味がないんじゃないかと思ったんですよね。

Reo:酔っ払いの前でライヴをやるのがいいんじゃないか、と。ライヴを観ようが観まいが自由じゃないですか。そういう空気の中でやるほうがいいと思ったし、僕自身そういう文化が好きなので。『プチ週末』でのファースト・ショウは凄く盛り上がってもらえたんです。Capsule Giantsの時には受けなかったであろう人達からも好意的に受け入れられて、嬉しかったですね。


夜はロマンティックなんですよ

──そして遂に電撃デビュー・アルバム『Neon Group』が完成したわけですが、オリジナルの7曲は夜をテーマに作られたということで。

Reo:夜には誘惑があるんですよね。ギラギラしてたり、キラキラしてたりするあの感じが好きなんです。僕の妄想も含めて、昼間とは比べものにならないほど夜はロマンティックなんですよ。夜は期待ができるんですね。って、何を期待してるのかよく判らないけど(笑)。だって、言葉の頭に“夜の”って付いただけで何だか凄く期待できるでしょう?(笑)

──音作りのコンセプトとしては、どういった方向にしようと?

梶原:まず何よりもライヴを観る人に向けた音にしたかったんですよね。ライヴっぽいものを作りたいというか、ストレートに楽器の音が立ってるような感じで。クリックを聴いて録ったものがボツになって、クリックなしでやったほうを採用したりしたし、キレイに録れたものよりも聴覚的なノリを優先させましたね。

タムラ:リズムもワンテイク、もしくはツーテイクまででしたから。

Reo:敢えて作り込まないように意識してやりましたね。勢いを出すために小細工はなしで。

梶原:多少ヨレても全然OKだったんですよ。例えばDamnedだって曲の最初と最後では速さが全然違ったりしますからね。

──The Only Onesのカヴァー「Another Girl, Another Planet」('78年発表のデビュー・シングル)がまたアルバムのいいアクセントになっていますね。

Reo:もう、ずーっと好きな曲なんですよ。あの時代でもかなり異色な曲だったと思うんですけどね。

──別の惑星に女の子を捜しに行くっていう、ちょっと変わった曲ですからね(笑)。

タムラ:俺はみんながあの曲を好きだってことを知らなかったんですよ。Reo君がDJで掛けてたのは知ってたけど、何気ないセッションでやった時に年下の逆瀬川君までが好きだと判って、あれにはビックリしたよね。

梶原:それが一致した時の盛り上がりたるや、凄まじいものがありましたからね。

──スタジオでやってみたルーツ音楽は他に何かあったんですか?

Reo:The Cureの「Boys Don't Cry」とか、ライヴでもやっていたのはBrian Enoのファースト(『Here Come The Warm Jets』)の1曲目の「Needles In The Camel's Eye」。「Needles〜」は、Capsule Giantsの時も2回目のライヴでやってるんですけどね。

梶原:最初にそういう音楽がみんな好きで集まったわけじゃなくて、ふとした会話やセッションの中で“あれ、この曲好きだったの!?”っていうのが多いんですよ。

Reo:“そこのフレーズは誰々っぽい感じで…”とか、そういうのは余り考えてないんですよね。これまで聴いてきた音楽からの影響は確かにあるだろうけど、曲作りの時にそれが勝手に滲み出たものはしょうがないと思えるようになったんです。

梶原:そこで曲をまとめる力を持ってるのがやっぱりReo君なんですよね。僕ら3人だとホント好き勝手にブルースっぽいジャム・セッションを延々続けて突っ走ってしまうから。

Reo:曲のアイディアとかで、自分の中で絶対に自信があるものは意見を通して、それで納得してくれるから有り難いですね。ただ、僕の説明の仕方が「ここはもっとグァーッと、そこはブァーッと」とか、たまに抽象的になったりするので、みんな混乱してる時はありますね(笑)。

──粒の揃った曲の随所に巧妙なトラップが仕掛けられていて、ひねくれた方向へ行こうとするのにその結果とてつもなくポップになっているというアンビバレンツさ加減が病み付きになりますね。

Reo:ただポップなだけだと自分の趣味的にも引っ掛かるものがないんですよね。そういうのが僕の中で必然的にあるのかもしれませんね。やっぱりどこかひねくれてるのが好きなんですよ。

──それとやはり、Reoさんの天性のヴェルヴェット・ヴォイスがとにかく瑞々しくて素晴らしいですね。決して甘さだけに流されていないところも含めて。

梶原:Reo君の今のヴォーカルは凄くいいですね。前はどこか無理してるところがあったと思うんですけど。今までいろんなバンドをやってきましたけど、やっぱりReo君は特別なんですよ。言葉の選び方とか発想の仕方とか、未だに色々驚きと発見が多いので。これ、褒めてるばかりじゃないんですけどね(笑)。

Reo:僕はミスマッチなものを掛け合わせたような音楽が好きなんですね。Capsule Giantsをやってた時も、爽やかで優しい音なんだけど梶原さんのドラムはガツガツ来るものにしたりとか、そういうものを僕は面白いと感じるんです。ただ、昔はそういうこだわりに対して凄く頑固だったけど、今はもっと曖昧にしてますね。試してみてダメならすぐに発想を変えますし、結果オーライならそれでいいんです。自分達が出したら絶対に自分達の音になりますからね。何よりも自分達がグッとくる刺激的な音楽をこれからもずっとやっていきたいですね。

Neon Group

Neon Group

LOFT RECORDS THCA-054
1,890yen (tax in)
4.20 IN STORES
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Live info.

LOFT RECORDS presents『SUGAR TIME』
4月13日(木)下北沢 SHELTER
w/ understatements / PONI-CAMP / 鈴木羊 (Band Version)
OPEN 18:30 / START 19:00
TICKET: advance-1,800yen / door-2,300yen
【info.】SHELTER:03-3466-7430

1st Album Reliease Tour
5月20日(土)名古屋 SONSET STRIP【w/ OGRE YOU ASSHOLE / scud holix / etc...】
5月21日(日)大阪 PIPE69【w/ Prambath / APPLECIDER / the telepathys】
5月27日(土)下北沢 SHELTER【w/ BRIGHTLINER / SUPERSNAZZ / toddle】
【total info.】LOFT RECORDS:record@loft-prj.co.jp

Reo Yokomizo & Neon Group OFFICIAL WEB SITE
http://sound.jp/neon-group/

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