この4人で曲に向かい合えた初めてのアルバム
──去年の2月に発表したミニ・アルバムと比べて、今回初となるフル・アルバムのレコーディングはどんな感じで進みましたか?
芝田大樹(g, vo):前のミニ・アルバムっていうのは、heの前にやってたバンドがありまして、そのバンドを引き摺っていたというか、その延長線上でやっていたので──まぁ、その前のバンドにいたのが俺と重信なんですけど──名前も変わって音楽性も徐々に変わっていって、その2〜3年、前のバンドも踏まえた上での集大成的なものでしたね。今回のアルバムは、この4人になって初めて曲作りの段階から他の2人(高橋、大谷)もバンバン食い込んできたっていうか。
──じゃあ、この4人としては初めての音源っていう捉え方で?
芝田:そう、近いですね。
重信貴俊(b, vo):まぁ、自分達が他の2人に比べて歳も4つ上だし、技術面にも格差があって、自分達がリードしてやっていったっていうのが前のミニ・アルバムなんですよ。本当にこの4人で一から楽曲を手掛けていったのは今回からと言っても過言ではないかな、と。
──今回のアルバム・タイトルは“ミニ・アルバムからの続き”とか“続編”とか、そういう意味になるんですか?
芝田:単語の意味としてはそうなんですけど、前のミニ・アルバムからの続編とか、そういう意味ではないですね。
──では、タイトルに込められた意味というのは?
芝田:ただ普通に、“曲がこう並んでます”っていうか、“続く”っていうか。
重信:“物事がうまくいく”っていう意味合いもあるらしくて。
芝田:あと、“映画はsequenceの連続で成り立っている”っていう言葉が映画の専門用語かなんかであるらしくて、単純にその響きとかが恰好いいなと思って。
重信:特に深い意味はないっすね。
──ミニ・アルバムと今回のアルバムとの大きな違いとかは? 前作ではいい意味で荒々しいというかパンキッシュさが出ていたんですけど、今回はちょっと落ち着いたなっていうイメージがあるんですよ。曲の流れとかも凄くいいと感じましたし。
芝田:特に意識はしてないけど、前は“その時はその時”という感じで。
高橋勇樹(ds):前回は元々あった曲を僕達が入って…元から2人が作った曲をやるって感じだったけど、今回は一から4人で作った感じですから。
──じゃあ、結構4人の音楽性が反映されている感じですか?
高橋:はい。結構自由に、好き勝手にやらせてもらった感じです。
──曲自体は?
高橋:1曲だけ土台みたいなものを初めて2人(高橋、大谷)で作って、後から残りの2人とみんなでアレンジして作り上げていくって感じで。
重信:結局、誰がネタを持ってきたっていうのはどうでもよくて、みんなでやる作業自体は変わらないし、今回は4人全員で曲と向かい合えた気がしてますね。前回は技術的にもやるので一杯一杯みたいなところがあって、自分もギターを弾いてネタを持って行ったり、大谷のギターのパートを一緒に考えたりもしたんですけど、今回は各々がだいたいこんな感じだろうみたいなパーツを作ってきて、全員がそれらを消化していきましたね。
──今回、「murmur」1曲を除いて新曲ですけど、レコーディング自体はやはり今度のほうが大変でした?
一同:はい(笑)。
重信:もう、みんな息が止まっちゃうくらいに(笑)。
──2月の半ばに下北沢シェルターでライヴを拝見した際に「現在レコーディング中です」と仰ってましたけど、レコーディング期間から結構リリースが早かったですよね?
芝田:そうですね。あの頃はレコーディング終盤だったんですけど、先にタイトルとリリース日を決めちゃっていて、早く出さなきゃ、って。
重信:前作から余りスパンを空けずに早く出したいって気持ちもあって。本当は昨年末にレコーディングに入るはずだったんですけど、1回出来た曲を全部出して、全体を通してみんなで聴いてみたら、偏りがあるっていうかまったりとした曲が多かったんですよ。そこでみんなで話し合って、曲を増やして、もっと元気な曲が欲しいっていう話になって。ライヴでも自分達がアガっていけるような曲を入れたいと思ったし、それで結果的にスケジュールがギリギリになっちゃったんですよね。
──「murmur」は録り直しですか?
芝田:そうです。
──この1曲を再録した理由というのは?
大谷武史(g):1曲っていうと、まぁ全曲思い入れがあるっていうか……。
重信:いや、違う違う(笑)。「murmur」を前回に続いて今回も入れた理由を訊かれてるの。
大谷:ああ。「murmur」は思い入れがあるんですけど……で、今回入れるように……。
芝田:……ま、訳しますと。
一同:(爆笑)
芝田:やっぱり思い入れがある曲だし、ライヴでもお客さんの反応が良かったから、ここでもう1回録り直したいと考えたんですよね。演奏面で今の感じがよく出せると思ってましたし。
重信:このアルバムからheを聴く人もまだたくさんいると思うので、ミニ・アルバムの曲も聴いてもらえたら…っていう意味の橋渡しも兼ねて録り直したんです。
レコーディング悪戦苦闘記
──ちなみに、heは曲が出来るのは早いほうですか?
高橋:遅いです。
芝田:果てしなく遅いです(笑)。
重信:どうなんですかねぇ…煽られればやりますけどね(笑)。
──カッチリとデモを作ってからスタジオに持っていく感じですか? それとも、曲の断片を合わせてセッション的に仕上げていくほうですか?
芝田:だいたいは自宅でベーシックなものを作り上げて、それを広げていくパターンが多いですね。
重信:1回全部を曲にして音源を録ってみて、そこで一度全体を見るんです。“ああ、ここがちょっと良くないな”とか“しつこいな”とか客観的に見て、そこから各々が持ち帰って自分のパートを重ねてみたりとか。
──じゃあ、どちらかと言えばスタジオでがっちり固めてからライヴで出していく感じですか?
重信:1回スタジオに入って音源で固めちゃう感じですね。
──プリプロみたいな感じ?
芝田:ええ、ほとんどプリプロに近いですね。
重信:で、最終的な段階をみんなで合わせてみて、「ここを極めよう」と完成に近づける。
芝田:凄く要領悪い作業で(笑)。「このBメロ、他のに変えよう」って言ったら、そのドラムを変えるところから始まって、また入れ直すっていう作業の繰り返しなんですよ。
重信:1曲につき何回録ったか判んないくらい(笑)。何回ドラムを打ち込んだのかっていう。
芝田:16トラックのMTRレコーダーを使ってるんですけど、それにVトラックっていうのがあって。16×16トラック録れるんですけど、そのVトラックがパンパンになるくらい1曲に何回も録り直しちゃって(笑)。そうこうしてると時間が足りないっていう。
重信:だから、体育会系では全然ないっすね(笑)。どちらかと言えば理数系っていうか、もの凄くピコピコやる感じなんです。スタジオで「ちょっとこういうネタがあるんだけど」って、みんなでオラ〜! みたいな仕上げ方は全然できなくて。
──やっぱり、スタジオに籠もってレコーディング作業に没頭するのが向いているんですかね?
芝田:いや、スタジオでパッと作業を終えるのができないだけだと思いますよ(笑)。以前、合宿に行かせてもらって、スタジオで曲をオラ〜! っと作るやり方をしてみたんですけど、やっぱり凄く難しかったですから(笑)。
重信:ドラムはスタジオでしか叩けなかったりするので、アルバムの10曲目「Autumn Twillight」は基本的にちっちゃなネタを芝田が持ってきて、合宿でみんなでセッションしましたけどね。他の曲に関しては、その曲のベーシックな部分、唄が入ってる部分とかは合宿で何とかまとめてやりましたね。
芝田:まぁ、合宿先でもその16トラックのMTRレコーダーが大活躍してるんですけどね(笑)。
──じゃ、今回のアルバムの曲はライヴではまだ余り披露されていない?
芝田:出来ないですねぇ…今弾こうと思っても。
──それを言っちゃマズイでしょ(笑)。
重信:これからみんな思い出しコピーが始まるという(笑)。これからしっかりと練習します!
──みなさんがheのコピー・バンドをやる感じですね(笑)。
一同:(爆笑)
──そう考えると、曲作りが遅いとされているheにしてはよくぞリリースに間に合った、ということですね(笑)。
芝田:結構な紆余曲折とドタバタ劇が…。
重信:でも、土台が出来てる部分は多くて、ただベースが抜けていたり、ギターが抜けていたりとかちょこちょこ抜けてる曲が多かったんで、そこだけは16トラックのMTRレコーダーが相変わらず大活躍で。しかも、レコーディングでは2台登場しまして(笑)。
一同:(笑)
重信:テーブルの右で俺がベースを付けてて、左で大谷がギターを付けてたりして、だいたい「こんなんどう?」って聴かせて、「じゃ、行ってくるわ」みたいな感じでブースという名の戦場に赴く、みたいな(笑)。
──じゃあ、5月から始まるツアーまでには全曲完璧にコピーして…。
重信:ええ。heのコピー・バンドですからね(笑)。
土壇場のマジックが良いほうに傾いた
──ミニ・アルバムを作った時の経験が活きた部分は今回ありますか?
芝田:活かすつもりだったんですけど、活かしきれなかった部分が多々ありますね。自分の曲はちゃんと練習してからスタジオに入るつもりだったんですけど ──まぁ、自分のパートはベーシックな部分なんで大丈夫なんですけど ──練習不足で前回散々「弾けねぇ、弾けねぇ」って苦しんだくせに、また今回もうまく弾けなくて。そういうのでまた反省したり。
重信:毎回、レコーディングすると反省ばっかりですね。
芝田:若干凹みますよね。
重信:前は曲がまずありきでレコーディングだったんですけど、今回はまだよく見えてない曲とかもあったりして、それが土壇場で奇跡が起きて、土壇場で思い切ったアレンジをしたら逆に良くなった曲が多いんですよ。いきなり、「ここ、イントロをぶった切ってみよう」とかそんな試みがうまくいったりして、まさにマジックでしたね。それは7曲目の「Greek」っていう曲なんですけど、イントロっていうイントロがなくてAメロに突入して、逆にそっちのほうがすっきりしたりして。別のアレンジもあったんですけど、逆にぶった切ったら良くなったっていう。期日の直前で、他にも「ベースが乗らないな」っていう曲もあって、一か八かでリズム・ギターを変えて、そこにベースを乗せたらどうなるかをやってみたり。それはまぁ、納得いくフレーズができなかったのでキープって形になったんですけど、そういう思い切ったことをやってみたらミラクルが起きてよろしくなった曲が4〜5曲はありますね、多分。
──じゃあ、完全に4〜5曲は別ヴァージョンが存在するってことですね。
一同:(笑)
重信:昔のプリプロを聴くと、自宅でピコピコやりながら作った淡い思い出が…“ああ、完全に化けたなぁ”とか思いますよ(笑)。
──でも、人前には絶対に出せないですよね?
重信:そうそう(笑)。
芝田:そう考えると、今回は土壇場で全部が良い方向に進んでいった気がしますね。
──曲順は結構考え抜いたんですか? ひとつのストーリー性を感じて、凄くいい流れだと思ったんですけど。
芝田:1回俺が家でザッと考えたのがあって、“これは完璧だろ!”って思ってみんなに聴かせたら「全然ダメだ!」ってダメ出しされたんですよ(苦笑)。それからみんなで話し合って、バランス良くなって今の曲順になったんです。
──最初はどんな流れだったんですか?
芝田:初めにアップテンポの曲がドーッと来て怒濤のスピードで進んで、最後にまったりする感じだったんです。今思えば、それは確かに変えて良かったですね。
──今回はサウンドの質感をどんなふうにしようと考えたんですか?
芝田:エンジニアさんの趣味だったりするんですけど、前回は全体的にリヴァーブみたいなエフェクターが掛かってボヤっとしたような感じだったんですよね。バンドなんで好みによって分かれるんですけど、俺はそういうのが余り好きじゃなくて、もっと素な感じというかドライなほうが好きだから、今回はそういうふうにしたかったんです。ギターだったら、ゲインが増えたくらいですかね。
重信:全体的に素のままみたいな音になってると思うんですけどね。ドラムにしても、前作と聴き比べると凄くすっきりしてると思うし。
──確かに抜けは凄く良いですよね。
重信:僕や高橋なんかはもっとウェットでパンチの効いたドラムが好きなんですけど、今回はドライにしたいっていう芝田の意見を尊重して、こういう感じになりました。よりリアルに、技術的に下手な部分もそのまま全部出ちゃったとしても、それはそれで現時点での4人のサウンドだからいいと思ったんです。
──CDはどうしても作り込まれているところがあるから、ライヴを観ると“あれ、ちょっと違うな”って感じる人もいると思うんですけど、このアルバムを聴く限り割とそのままだし、ドライ感も効いていて期待通りに感じると思いますけどね。
高橋:ライヴではもう、勢いでカヴァーして(笑)。
重信:音質の部分もそうなんですけど、前作と聴き比べると明らかに進化しているのを自分達でも感じているんですよ。前回のリリース・ツアーを一緒に回ってきたPAさんとタッグを組んで、少しずつですけど自分達の出したい音が見えてきたっていう手応えが確かにあるんです。
シェルターは愛すべきハコですよ
──対バンするバンドから影響を受けたりとかはしますか?
重信:どうですかねぇ。前身バンドをやっていた当時はメロコアとかが流行っていたり、実際に自分達もそういう音楽をやっていたんですけど、どれだけ周囲に影響を受けても、その音楽なりコード感なりを自分達なりに消化して今に至る感じですから。高橋と大谷が入ってきた時には、もう今みたいなスタイルになってましたし。
──ミニ・アルバムをリリースして以降今日に至るまで、ライヴに対する向き合い方も変わってきましたか?
芝田:ミニ・アルバムのツアーで何ヵ所か回らせてもらって、乗り込みのPAさんと一緒に行動したんですよ。その人が焚き火の名人で(笑)、焚き火の仕方は元より、礼儀作法からライヴの運び方まで色々と教えてくれたんです。ツアーに出る前と比べたら、意識的なところまで凄く良く変化できたと思いますね。まず何よりも自分達が気持ちよくライヴをやるっていうのは大前提としてあるんですけど、+α、ちゃんと聴かせて魅せられるライヴをやっていかなきゃ、っていう意識が段々と芽生えてきたと思います。
──下北沢シェルターの店長も、「最近のheはライヴが良くなってきた」と明言していましたよ。
高橋:いやぁ…まだまだこれからです。ライヴの見せ方は今後の重要な課題ですね。
重信:シェルターは自分達が都内で一番多くライヴをやっているハコだし、乗り込みのPAの人が今シェルターでやってたりしていて、凄くいい環境でやらせてもらってますね。シェルター・マジックみたいなものが手伝って(笑)、とても気持ち良くライヴができるんです。シェルターでやるようなライヴが毎回できればいいなと思うし、お世辞でも何でもなく、本当に愛すべきハコですよ。
──現状でのライヴの課題点というのは?
芝田:演奏の技術的な面はまず第一にありますよね。
重信:自分達は言わば、まだまだ初心者マークが付いている感じなので(笑)。とりあえず、今は自分達が楽しくアガれて、それがお客さんにうまく伝わればいいなと思いますね。まだそういう段階なので、“ここはこうやって、ああやって…”みたいなことは全くのノープランで、普段MCも一切考えていないくらいですから。結局は自分達がアガってるところをライヴの臨場感と共にお客さんに伝えられたらいいな、と。ライヴが終わった後にみんなで「アガった? ちゃんとアガった?」とか確認したり、今はそんなレベルなんです(笑)。
──まずは自分達が存分に楽しむことによって、それがお客さん達にも伝わって楽しくなるだろう、と。
重信:ええ。そういうところで徐々に平均レベルを上げていって、まだまだこれから新しい曲も一杯あるし、どんどん消化していかなきゃならないんですけどね。
──5月からの“in sequence”ツアーは、前回よりも本数が増えてますよね。
芝田:多いっすねぇ。
──じゃあ、初めて行く場所も多い?
芝田:はい。しかも、前回行ったことある場所でも今度はライヴハウスが違ったりとか。
──対バンとかは?
重信:身内が多いです(笑)。まぁ、普通に自分が聴いててみんな好きで仲良くて…the band apartは事務所の先輩だし、胸を借りる感じですね。今回は仲の良いバンドと回れて凄く楽しみなんですよ。ZARIGANI5は、リリース時期も一緒だから一緒に回ろうっていう感じで。
芝田:また一緒に焚き火がしたいな、って(笑)。
──ちなみに、先輩であるthe band apartの皆さんから『in sequence』の感想は何かありましたか?
芝田:特には…(笑)。
高橋:俺、こないだ木暮(栄一)さんからメールが来て、「カッコいいね」と一言(笑)。
──シンプルだなぁ(笑)。
重信:俺は荒井(岳史)さんに「CD聴いてくれました?」って電話したら、「あれ、まだ機材車にあるかもしれないなぁ」って(笑)。
重信:ちょっと衝撃的な発言ですけど(笑)、ちゃんと可愛がってもらってますから。
1本、1本を大事にツアーを回りたい
──ツアー・ファイナルは代官山UNITで、かなりのキャパシティですけれども…。
芝田:デカイっすよねぇ。
──今までUNITクラスのライヴハウスでやったことは?
芝田:実はAXでライヴをやったことがあるんです、the band apartのオープニング・アクトで。重信が原(昌和)さんに良くしてもらっていて、前のバンドのデモCDを原さんに渡したら気に入ってくれたんですよ。
重信:「オマエら、これ、いくらで売ってんの?」って訊かれて「200円です」って答えたら、「バッカじゃねぇの!?」って言われて(笑)。で、「オマエら、AX前座決定な、断る理由ねぇだろ?」って(笑)。まだ当時この4人になって間もない頃で、初めてスタジオに入って2ヵ月くらいの大強行ですよ。大谷と高橋は19歳とかだったと思うんですけど、右も左も判んないのにAXのステージに立っちゃった、みたいな(笑)。
芝田:その時のことはほとんどよく覚えてないっすね、無我夢中で。ただ、その時はどうしても敵地に赴くっていうか、アウェイ感が漂っていて、ヘタで当たり前っていう気軽さがあったんですけど、今回のUNITは自分達のリリース・ツアーのファイナルですからね。違った意味でプレッシャーがどれだけ掛かってくるのか、楽しみでもあるんですよ。
──そうですよね、今回はリリース・ツアーだからheを観に来るお客さんが圧倒的に多いでしょうから。
重信:今回のツアーの目標はメンタルを鍛えるっていう、まずはそこに重きを置いて(笑)。
芝田:スケジュール的には空き日が結構あってカツカツではないので、合間を見て滝に打たれに行こうかな、って(笑)。
重信:止めねぇよ(笑)。そういえば去年、the band apartのツアーに付いて回った時、芝田は行く先々の城ばかりを見に行ってましたね。
──はははははは。
重信:朝起きると、もうどこにもいないんですよ。自転車をちゃっかり借りたりして。
──それ、僕も結構好きかもしれない、城下町育ちなんで。
芝田:凄い、“あ〜”ってなるんですよ、“ここかぁ”って。松山城と岡山城と、あと何ヵ所か行ったんですけど、全て俺1人っていう。メンバーみんな、興味ないのかな? って。
重信:いや、あるんですけど、みんなが起きる前に1人でサッと起きて、スーッと先に行っちゃうんですよ。ロープウェイに揺られて行っちゃったりとか。で、僕達が起きたらもうとっくに戻っていて、すでに城を見た後だったりとか(笑)。芝田は朝が凄く早いんですよ。
芝田:今回も城は欠かさず見たいと思ってますから。
──その城好きがheの音楽にフィードバックされるようなことは……ないか(笑)。
芝田:どうですかねぇ(笑)。
──和の様相で。三味線とか?
芝田:じゃあ、それは次回作で(笑)。
──各都道府県、ロックンロール県庁所在地みたいに?
芝田:それはないかなぁ(笑)。
重信:でも、今回のツアーは凄く楽しく回りたいと思ってるんです。1ヵ所、1ヵ所を大事に回っていきたいし、その集大成がUNITってことで楽しみなんですよ。まだ行ったことのない場所が半分くらいはあるし、特に北海道とかは何が待ってるのかなと考えるだけで凄く楽しみですね。
芝田:そんな旅行的な楽しみっていうのもありますね。おいしいもの食べれるかな? とか。
──最後に月並みですが、今後の抱負をひとつ。
一同:どうですか?(と、大谷を見る)
大谷:まぁ、ライヴを代官山UNITまでに仕上げて……。
重信:UNITまでに? ダメじゃん(笑)。他のハコへ来るお客さんに失礼じゃん?
大谷:あ、そうか(笑)。ツアーまでに仕上げて……そうっすね。高橋さん、締めて下さい(逃)。
高橋:1本、1本を大事にツアーを回ってメンタル鍛えて、最後はデカ箱なんですけど、そこで強くなったheを見せることができれば。UNITでは最後に大発狂ですね(笑)。
──理数系のheが、その日ばかりは体育会系で行く、と。
重信:最後は全員、上裸ですよ。
芝田:そりゃあんまりだ(笑)。
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