ライヴ盤はスタジオ盤よりもこっ恥ずかしい
──このインタビューが掲載される頃には“弾丸ライナー”ツアーを鋭意敢行中ですが、今はリハを詰めている段階ですか?
mki(g.vo):ドラムがサポート・メンバーでまた新しくなったので、一緒に曲を録って固めていく作業をしてますね。
藤崎賢一(vo, g):ドラムが替わると曲を覚えてもらったりとかしなくちゃいけないので、結構大変じゃないですか? こっちとしては急ぎで曲を固めたかったりする気持ちもあるんですけど、のんびりなところもありつつ(笑)。
──ライヴ前やツアー前は、リハはどのくらいするものなんですか?
mki:基本的にあんまりやらないです。でも、ツアーごとにドラムが替わってるんで、ドラマーに曲を覚えてもらわないといけないから、それは大変ですけどね。
──リハや練習は好きですか?
藤崎:練習がなかったら不安にはなるし、心細くもなります。でも、多いのもどうかな、と(笑)。
mki:少なすぎるのもどうかな、と(笑)。
加藤宣幸(b, vo):うん、そんな感じ(笑)。
藤崎:まぁ、ドラムがいないから「ちょっと明日(スタジオに)入ろうよ」とかすぐにはできないじゃないですか? そこはちょっと辛いですけどね。
──そう言えば、現在正式ドラマーを募集していますよね?
藤崎:探してるんですけど、なかなか出会わないですねぇ…。
──理想のドラマー像みたいなものはあるんですか?
藤崎:うん。理想のドラマーがいたんですよ。前にサポートしてもらった人なんですけど。そいつが個人的な事情でドラムを辞めちゃったんですよね。どうしても俺はそいつを基準に考えてしまうんです、今はね。そいつより上回るやつが出て来ないと、どうもしっくりこないんですよ。しょうがないっすねぇ(笑)。
──ドラムがなかなか決まらない中、結成から丸2年経って、ライヴもたくさん重ねてこられたと思うんですけど、バンドとしての手応えや成長などはあったりしましたか?
藤崎:んー、やればやるほどドラムがいないんだなーって(笑) 。“ツアーやりたいなぁ”って思っても、じゃドラムどうしよう、って。いつもそこから始まるんです。そりゃキツイですよ。
mki:ツアーが先に決まっちゃって、「ドラムいない、さぁどうしよう!?」ってなるんです。
──それだと、特にベースにとっては厳しいことですよね?
加藤:うん、やっぱりツアーの前半とかはそこに意識を持っていかれたりするんですけど、ライヴをやってるうちに少しずつ慣れてくる感じですかね。
──今回、この時期にライヴを音源化しようとした理由というのは?
藤崎:出し過ぎっすよねぇ。
一同:(笑)
──いやいや、そんなことはないですけど、1stアルバムがあってライヴDVDが出て、2ndアルバムがあってライヴCDが出て…というこの流れは意図的なものなのかなぁ? と思いまして。
藤崎:なんか自然にそういう流れになってしまったところもあって。やっぱり単純に自分達のアイテムを出して自分達のものになるのが嬉しいというか。結局誰かにハッパ掛けられたりとかして「アルバム作ってー、ライヴCD作ってー」って言われているわけでもなく、何事も自分達で決めてやってるから、自分達のアイテムが一つずつ増えていくのが単純に嬉しいんですよ。だから3rdアルバムを作ったら3rdのライヴCDを作ったりとかね、「もういいよ!」って言われそうだけど(笑)。
──そんなことはないですよ(笑)。ファンにとってはアイテムが多いほうが嬉しいものですから。でも単純に前のツアーが凄く良かったから音源化したっていうのもありますよね。
藤崎:そうですね、まぁ一応何か使えるんじゃないかなとツアー先などでビデオ回したりするじゃないですか? そういうのが最終的に素材としてあったんですけど、良いライヴが出来たら出来たで“出したいな”って気持ちになってきて。ま、出さなくてもいいんですけどね(笑)。
──いやいや(笑)。ちなみに『Live Thursday!!』というタイトルの意味は?
mki:来た!(笑)
藤崎:単純に、この音源に使ったライヴの日が木曜日だったんですよ。SHELTERも木曜日で、大阪CLUB DROPも木曜日で。たまたま木曜日だったんです、両方が(笑)。
加藤:そう、ただそれだけ(笑)。
──やっぱり、スタジオ盤とライヴ盤の違いは大きいですよね?
藤崎:ライヴ盤はスタジオ盤よりはこっ恥ずかしい。なんか凄く恥ずかしいですね。
mki:隠しようがないし、そのまんまですからね。
藤崎:例えば1つの曲があって、それをNobuもmkiも「俺的に問題ないっすよ」ってなっても、「俺、ごめん!」とかさ、そういうのあるじゃないですか? 「ごめん! この曲、俺キツイねん」みたいのとか(笑)。
一同:(笑)
mki:ライヴCDってDVDと違って映像がないんで、聴く側はライヴを想像して聴くわけじゃないですか? そういう感覚的な部分ではスタジオ盤とは違いますよね。
──では、ライヴ盤は基本的にライヴ音源をそのままを入れようと?
藤崎:基本的にはそうですね。2ndアルバムの『COSA NOSTRA』の曲を入れたいっていうのもあったから、例えば俺のギターが本当はAを弾かないといけないのにEを弾いてるのとかは、「ここをAにして下さい」とか(笑)、まぁそういうのは出来たりはするから、そんなことは多少あるけど、でも基本的に唄は変えようがないから。だからこっ恥ずかしい…。
次のオリジナル・アルバムは一挙3枚組に!?
──このライヴCDに収めた曲順っていうのは、実際のライヴでもこの流れが多かったわけですか?
藤崎:うん、だいたいこの流れかな。そんなに大幅には変わってないですね。途中、本当のライヴはファーストの曲をやったりカヴァーをやったりとか、そういうセットリストにはなってますけど。
──余談で、ファンの方が気になってるようなことを少しお伺いしたいんですが、ライヴ前やツアーに出る前は何か縁起を担ぐとかしたりするものですか?
加藤:俺はしない(笑)。
mki:特別に何をするっていうわけじゃないんですけど、ライヴが近づくにつれ、食べ物とか健康管理には気を遣いますね。
藤崎:俺も特にしないっすねぇ。
──じゃ、ライヴ直前に、何か気合い入れたりとかはしてます?
藤崎:ないっすねぇ。こう、なんかよくある「行くぞーっ!」なんてのもないし、「じゃあ、よろしくー。じゃあ、じゃあ」(と、握手をするフリ)って(笑)。
──「じゃあ、じゃあ」って(笑)。
mki:いつもね、静かなんですよ。
藤崎:うるさいのってどうよ?
加藤:「静かにしてー!」って(笑)。
──またライヴ中、例えばお客さんの反応を見てテンションが上がったり下がったりというようなこともあると思うんですが、皆さんはお客さんの顔って見えてますか?
mki:うん、見えてますよ。
藤崎:あー、mkiはよく見てるもんねぇ(笑)。
加藤:俺は、「あ、あくびしてるー」とか目に付きますね(笑)。
──そういうのを見ると、テンション下がりません?
加藤:いや、逆になんか熱くなったり。
一同:(笑)
藤崎:俺の場合は、もしかするとあんまり見てないかも知れないですね。特に前にいるお客さんとかはほとんど見ないですね。なんか恥ずかしいんですよね、近すぎて(笑)。
──基本的に照れ屋さんなんですね(笑)。そう言えば、最近藤崎さんはプライベートで走り込んでいるということですが?
藤崎:走ってますよー! まぁ、ライヴが近いですからね。のほほんとしている程若くないじゃないですか?(笑) 曲のこととか考えながら走ったり、結構歌いながら走ったりするんですよ。夜中に川沿いを走ったりするから、車が通るくらいで別に誰もいないし。かなり怪しい人ですけどね(笑)。
──走っている時に曲を思いついたりするんですか?
藤崎:思いつくのもあるけど、そういう時に思いつくのはあまりろくなモンじゃないですね。
──では、どういう時にちゃんと作品になるような曲って思い浮かぶものですか?
藤崎:最近はちょっと思い浮かばないですね、ヤバイっすね。なんか枯れ果てた感じ。まぁでも、そんな時もあるんですよ。凄いバーッて出てくる時もあれば、ホント絞っても絞っても出ない時もあって、そんなのは過去にも経験してるからあんまり心配はしてないんですけど、今はそういう時期かなぁ。自分達からいろんなものが出ただけで、吸収されてない時期なんですよ。空っぽなんですよ、きっと今は。だから例えば本を読んだり映画見たりだとか、なんか刺激を受けたらまた出てくると思うんですよね。今は空っぽですけどね。
mki:俺は“こういう曲を作ろう”と思って作ります。作ろうと思った時に作りたいっすね。
──作ろうと思って作れるものですか?
mki:今は作らなきゃ仕事にならないし(笑)。
加藤:俺はポッと浮かんだ時にしか作りません(笑)。
──そんな皆さんですが、1stアルバム、1stのライヴDVD、2ndアルバム、2ndのライヴCD、と来たらやっぱり次は3rdアルバムを期待してしまうんですが、漠然と構想はありますか?
mki:3枚組にする!
藤崎:賛成!(笑)
加藤:異議ナシ!(笑)
一同:(笑)
mki:まぁ、それくらいの意気込みで(笑)。
──3rdアルバムに向けてのヴィジョンというのは具体的にもうあったりするんですか?
藤崎:6〈six〉はストレートでシンプルなバンドですから、それを突き詰めるのも有りだし、逆にキーボードやピアノを入れたりして作り込むのもいいかなぁ、とかも思ったりするし。とりあえず2枚組とか作りたいなぁ(笑)。例えば、THE CLASHと言えば俺の中では『London Calling』なんですよ。あれは2枚組なんですけど、ああいうアルバムを自分の中で作りたいんですよ、単純に。「6〈six〉と言ったらこれでしょ!」っていうものを作りたいんです。多分、THE CLASHって『London Calling』の時は凄くバンドも良い状況で、みんなの曲のクオリティも高くて、クリエイティヴで、一気にガーッてバンド名が上がった時期だと思うんですよ。その結果2枚組になったりとか。そういうふうに俺達もなれたらいいな、と。
──表現するエネルギーが溢れて、自然に2枚組になっちゃったみたいな感じですね?
藤崎:うん。そういうふうになったから、結果2枚組、3枚組になりましたっていうのが、バンドとしては一番健康的でいいかな、と。どうでもいい曲ばっかり集めて2枚組じゃなくて、「捨て曲ないんで!」ってなれればいいかな。最初に言ったように、ドラムがちゃんと決まれば、今よりもっとタイトにはいくと思うんですけどね。というわけで、最後の締めは「ドラム募集中!」でお願いします(笑)。
一同:(笑)
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