ウチら的にはファーストにしてベスト盤
──やっとアルバムを出されましたね。
Se-1(Vocal):そうですね。結構待たされました。
──DOMINO88のKeyossieのレーベルからですが、そもそもの出会いは?
YOSA(Trumpet):昔よく対バンしてたバンドがKeyossieのレーベルでお世話になって、「こんなバンドいます」ってゴリ押ししてくれたんです。ただ、デモCDとか聴いてもらったらしいけど、全然ひっかからなかったみたいです…。
Se-1:あのデモは宅録だし、ぶっちゃけひどいからね(笑)。
YOSA:でも、「音源はショボいけどライヴはいいですから」って無理矢理連れて来てくれて。
Se-1:当時、Keyossieも新しいバンドを探してたみたいで。
YOSA:ある日のライヴでガンガンに踊ってる奴がいるなぁと思ったら、それがKeyossieだったという(笑)。これは明らかに楽しんでるなって。ライヴ終わって握手して一言「一緒にやろうぜ、シーン盛り上げようぜ!」って。
Se-1:こっちの意思の確認ナシですからね(笑)。それで夢語り出しちゃって、「野音いっぱいにしようぜ!」とか言ってて、騙されちゃいました(笑)。まぁ、Keyossieがウチらの曲で踊ってるのって後にも先にもあの時しか見たことないですけどね。今じゃ舞台袖で腕組んで偉そうに観てますから(笑)。
──活動して3〜4年ってとこで、そろそろって感じでアルバムを作ったんですか?
Se-1:いや、ずっと「いつ出すんだろう?」って思ってました。周りのレーベルメイトはちょくちょく出してるのに…。打ち上げで「(アルバム)出しましょうよ!」ってKeyossieに言うと、「お前ら下手だからな〜」って流され続けてやっとです(笑)。
YOSA:計算だったのか判んないですけど。
Se-1:いい感じの引っぱり具合だったのかな?
YOSA:でも、ウチら的にはベスト盤みたいな。ライヴでガンガンやってる曲、全部入れたなって。
スカって最低限の枠から脱線しないように個性を出しながら
──そもそも何でスカに?
Se-1:もともと僕はBACK DROP BOMBのコピー・バンドをやってたんですよ。
YOSA:前にいたテナーサックスがスカ好きで、「メンバー増やしてスカバンドやろう」って言い出したんです。みんなHi-STANDARD世代で、AIR JAMからスカに流れたっていう。取っ掛かりとしてスカやろうかと。メンバーそれぞれ音楽的なルーツはバラバラなんですけど、スカ聴いてると面白そうだし。
Se-1:最初はスカなんて大して知らないし、BACK DROP BOMBのほうがカッコいいと思ってたんで嫌がってたんですけど、スカを詳しいやつに代表的なもの聴かせてもらって、カルチャーショックを受けたっていうか、知らなくて損してたなって。
──その聴かせてもらった中でも衝撃受けたものって何ですか?
Se-1:スキャフルキングとかルードボーンズとかは知ってたんですけど、スペシャルズとかマッドネスとかですね。ぶっちゃけると、今もそんなにスカ聴かないんですけどね(苦笑)。僕は桑田佳祐になりたいだけなんです。僕は人前で歌いたいだけなんで、みんなが演奏してくれてるのをうまく表現できればジャンルは何でもいいかなって。今のところはスカが一番楽しい。本当は米米CLUBになりたかったんですけど、人数が足りなかったからサザンオールスターズ(笑)。
──パフォーマーという部分では、米米CLUBと同じですよね(笑)。
Se-1:ウチのトロンボーンはジェームス小野田に似てますしね(笑)。今はバンド名にスカって入ってるし、スカの最低限の枠からは脱線しないように8人の音楽性を充分に取り入れてアレンジしてやってるつもりなんですけどね。
YOSA:個性的なメンバーが多いから、それが1本軸になったらいいんじゃね〜かって最初は思ったんですけど。…全然まとまらない。
──一致するのはオルアバのステージの上の音楽のみって感じ?
Se-1:自分らの曲のみっすね、共通して好きなのは。
基本的にはライヴありき
──今回、単独音源は初ですけど、レコーディングに時間は掛かりました?
Se-1:どうなんすかね、初めてなんで基準が判んなくて…(レーベル担当者を見る)ん、早い? そんなに掛かってないみたいです。
YOSA:レコーディング入るまでは結構時間が掛かりましたけどね。
Se-1:自慢じゃないですけど、歌はチョッ早で(笑)。
──ライヴ感が凄く伝わって来て、シンプルでいいなって。
YOSA:ライヴ感ってのは拘りましたね。
Se-1:CD聴いてライヴに来てもらうものを作らなきゃいけないなって思ってたんで。基本的にはライヴありきのバンドなんで、ライヴに人が来なきゃ意味ないし、宣伝材料としてCD出してその見返りがライヴの集客に繋がればいいなというところが一番の目標で。
YOSA:曲を知ってライヴに来ると、感じ方が全然違うしね。
Se-1:なるべくマニアックにならないようにレコーディングから気をつけて、子供からおじいちゃんまで幅広く聴いてもらいたいって。
──ライヴ好きでしょ?
Se-1:そうですね。一時期、曲作りの為にライヴやらなかったらつまんなくて。スタジオとかでもテンション低くてみんな目が死んでて、それから無理矢理ライヴを入れるようにしたんです。
YOSA:練習はそんな好きじゃないんですけどね。
Se-1:練習は好きじゃないなんて言ったら、ギター(GO!)に怒られるよ。GO!がバンマスみたいなとこあって、普段は年下なんで敬語なんですけど、怒るとタメグチになって「死ぬ気でやってこいよ! 命懸けろよ!」とか言われて、凄いシュンとなって「スイマセン、俺頑張る、頑張る」っていう、その繰り返し(笑)。でもGO!の存在は大きいですよ。ライヴではあんまり前に出ないけど、屋台骨っつうか音楽的知識がズバ抜けてあるんでエンジニア的なこともできたり。ただちょっとマニアックすぎてね。
YOSA:見たことない機材とか持ってきちゃったり…。でも、だいぶ俺らに歩み寄ってくれたよね、音楽的にも。
Se-1:良い意味でオタクですね。それくらいの音楽バカです。
キング・オブ・バーステージ
──自ら新宿ロフトをホームグラウンドとして「キング・オブ・バーステージ」と名乗ってるみたいですが。
Se-1:いやぁ、申し訳ない(苦笑)。もともとはKeyossieが『P.O.S NIGHT』の時に「オマエら、バーステージな」ってやらされたんですけど。
YOSA:何か衝撃的でハマっちゃったんですよ。
Se-1:初めての『P.O.S NIGHT』の時はまだロフトでやったことなくて、ロフトでやれるなら解散してもいいなぁ〜なんてことを言ったりしてたんです。ロフトのライヴステージってバンドマンの憧れじゃないですか? それなのに、当日行ったら「オマエら、こっちな」って。「狭ッ!」って(笑)。
YOSA:唯一良かったのは、ライヴステージの転換時にやるんで3回ライヴができたことかな。
Se-1:体力的にもおいしいなって(ちなみに『P.O.S NIGHT』では15分×3ステージが基本)。でもバーステージでやってみたらハマってしまって。
YOSA:メンバーは多いんだけど、バーステージの狭さが逆に似合っちゃってね。
Se-1:俺ら的にも縛りがなくっていいんですよ。
YOSA:その繋がりで自主イベント『COOLZ OUT』(3ヶ月に1度、第3金曜に無料で開催中)もやらせてもらって。
Se-1:最初は「ライヴステージに立つぞ!」なんて言ってたんですけど、最近はバーでいいかなって(笑)。
YOSA:居心地もいいし、お客さんが目の前ですからね。
──『COOLZ OUT』はどんなきっかけで?
Se-1:バーでのライヴが好評だったから、「やってみないか」って話を頂いて。大袈裟なことを言うと、ウチらだけのシーンを作り上げていきたい。
YOSA:毎回1バンドだけ呼んで、一緒に盛り上がれる場が欲しかったんですよ。チャージ・フリーですし、フラっと来ても楽しめるイベントに持っていきたいっすね。
──飲みに来たら、「あれ? ライヴやってんじゃん」とか、そういう雰囲気のイベントにしたいと。
YOSA:そうですね。普段はライヴを観に来てくれてるお客さんが中心だけど、全体を楽しめるイベントにしたいなと。ライヴハウスじゃなかなかそういう空間ができにくいけど、ロフトのバーは広さ的にもいい感じでできるなと。
ステージ上はポジションの奪い合い?
──このインタビューが掲載される頃には全国ツアーが始まってますけど。
Se-1:全国まわるのは初めてなんですよ。
YOSA:楽しみですよ。今まではある程度知ってる土地とか、知ってるお客さんが多い中でやってたんだけど。
Se-1:初めてのところ行くと、楽屋でいつも打ち合わせするんです。「今日はこういう空気だから負けんじゃねーぞ!」とか。みんなほとんど聞いてくれないですけどね(苦笑)。自分とフロントの4人はいつもお客さんとの闘いで、リズム隊は自分達の演奏をしっかりすることが第一。ミーティングして、みんなを鼓舞して演奏して。終わってから反省会。「演奏はダメでもここは頑張った!」っていう傷の舐め合い(笑)。
YOSA:基本的にヴォーカルよりフロント4人が目立とうとしてるんです。Se-1もライヴ中よく動くんですけど、真ん中が空いたらみんなそこに向かってる(笑)。
Se-1:だからライヴ中はよくぶつかるんですよ。
──楽器とか痛むでしょ?
Se-1:トロンボーンとかボコボコですよ。サックスは神経質で、楽器を超大事にしてるから守ろうとしますけど、ウチのトロンボーン(MURAIAN)とかバカなんで、後半トロンボーンをスタッフに投げてサックス(Tacky-H)に「もっと大事にしろよ」って怒られてます(笑)。
YOSA:最近MURAIANは最後の曲は他の人の楽器弾くのがマイブームみたいで、こないだはキーボードを頭で弾いて壊して弁償してました(笑)。
Se-1:それでキーボードはダメだから、今度はドラムのクラッシュ・シンバルをガンガン叩いたら折れちゃって、それが頭に飛んできて血流したりとか(笑)。1人だけパンクなんですよ、存在が。あの時ばかりは喰われますね、誰も俺のこと見てないし。
YOSA:目立ちたいんだろうね。でもカッコ良くはない、(トロンボーンも)巧くもない(苦笑)。
Se-1:あれでカッコ良くって巧かったらやらせないもん。
YOSA:モテちゃうから。
Se-1:みんなの前では言わないけど、MURAIANには「演奏とかどうでもいいからライヴを盛り上げること考えてよ」って。
YOSA:ダメじゃん。
Se-1:判ってんだよ、自分のポジション。だから本当はトロンボーンをもう1人入れたいんですよ。
──ちゃんと吹ける人?
Se-1:そう(笑)。
YOSA:彼はパフォーマーでいいんですよ。
Se-1:おかしいっすもん。1人だけスナイパーがする革の手袋とかして。
YOSA:脱いじゃう時もあったけど、それは禁止にした。
Se-1:盛り上がっちゃうとリミッター切れちゃって、シャツとか破っちゃってパンツ脱いじゃって。その時は俺も本気でキレました(笑)。下ネタは禁止。あいつも本当は内気で優しくていい奴だけど、見た目が怖いんで。
YOSA:この話長いね、なんかイヤだね(笑)。
Se-1:イヤだね、なんかあいつの話で誌面割かれるの(笑)。
いよいよメインステージへ!
──ツアー中盤、5月26日には新宿ロフトでのライヴも控えてますね。
Se-1:いつもの『COOLZ OUT』のスペシャル版としてやろうかと。
──バーステージでやるんですか?
YOSA:いや、ライヴステージですね。
Se-1:実は、有り難いことに何度かライヴに誘ってもらってライヴステージに立つチャンスがあったんですけど、「バーじゃないと…」って断ってたんです。ライヴステージに立つ時は、自分達の企画イベントの時って最初に決めたんですよ。
──それがいよいよ5月26日に実現する、と。
Se-1:そうですね。やっとですからね。
──ということは…解散ですか?(笑)
Se-1:そうそう。
YOSA:ないない(笑)。
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