wash?新ドラマー、長谷川道夫その人となり
──今日はお疲れ様でした。双方のライヴはそれぞれ如何でしたか?
奥村:今日のBRAZILIANSIZEはねぇ…まずはちゃんと曲順を決めろ、と(笑)。それに尽きるね。でも、ライヴ慣れした感じはやっぱり流石やなーっていう感じ。
4106:今日の大ちゃんは最高でしたね。ぶっちゃけ、今まで大ちゃんのライヴを観てきた中で一番感動しましたよ。バンド・スタイルのwash?や南ちゃん(南波政人)とやってる素wash?ももちろんいいんだけど、それらを別物として考えても、凄く高いクオリティを感じましたね。大ちゃんとは付き合いが長いんですけど、大ちゃんが今まで表現したかったことが今日は凄くよく伝わったし、手放しでブラボー! って感じですよ(と、拍手をする)。
──奥村さんと4106さんの付き合いは、もうどれくらいになるんですか?
奥村:15年とか…それくらい? 20歳くらいからの付き合いだよね。
4106:そう、まだキッズでしたね。いわゆるキッズと呼ばれる前のキッズでしたから。
奥村:『ぴあ』とか『宝島』で面白いライヴを見つけて行くと、そこにいつも必ず4106がいた。俺のバンドすら観に来てたからね(笑)。その頃の“面白いライヴ”っていうのは、どんなジャンルでも限られてたんだよね。メディアで“面白い”と言われるものと実際にライヴハウスに行って“面白いよね、あれ!”っていうものとは凄い断絶があって、当時そのライヴハウスの現場にいたことが俺達の共通の財産だよね。
──たとえばどんなバンドを観に行っていたんですか?
奥村:んー、今生き残ってるバンドはほとんどいないからね(笑)。'92〜'93年頃の話だけど。
──NUKEY PIKESとか、BEYONDSとか?
4106:その辺はまたもっと別格なんですよ。
奥村:そう、平たく言えばもっとエライんです。たとえば'00年前後に起こったバンド・ブーム的なきっかけみたいなものが当時あったとしたら、そのバンドもきっとガーンと行ったんだろうなっていう人達をよく観に行ってましたね。要するに、俺達でも普通に打ち上げに出られるような恰好いいバンド。結局、そのバンドにいたドラムの奴と4106と俺で一緒にバンドをやったりもして。
4106:俺はバンドっていうもの自体には興味がなくて、対個人みたいな感じでしたね。“あのバンドにいるあの人が格好いい”っていう感じで観てたんですよ。そういうのを追いかけていたら、いつも大ちゃんがそこにいたんです。
──そんな両者の深い繋がりがありつつ、昨年末にはwash?のレコ発ツアーにBRAZILIANSIZEが参戦したり、その関係は良好に続いているわけですが。
奥村:まぁ、4106とはかつて一緒にTrophyっていうバンドもやってたし、そんな流れもあって。実際、去年一緒に廻ったツアーが凄く面白かったんですよね。ウチの他のメンバーも凄く楽しんでたみたいで。それと何より、ウチのファンがみんなBRAZILIANSIZEを好きになったからね。それはやっぱり大きかったな。
──でも、wash?はそれだけ充実したツアーを終えたと思ったら、急遽ドラマーが脱退という事態に陥り。
奥村:うん。ドラムはバンドのエンジンだからね。ドラムが替わると曲まで変わってしまうから、尚のこと中途半端な人にはしたくなかったんですよ。新しくドラマーを探すにあたって、まず最初に連絡を取ったドラマーは3人いたんです。みっちゃんと、バンドを6個くらい掛け持ちしてる若い子と、あと実はパロだった(笑)。4106には言いづらいけど今だから話すと、パロには「BRAZILIANSIZEを辞める予定ある?」って訊いてみたんだよ(笑)。
4106:はははははは。
Parock86:その時は「ないっすね」って即答したんですけどね(笑)。
奥村:で、思い切ってみっちゃんに「俺とロックをやらねぇか?」と伝えたわけですよ。3月には宙ブラリとのツアーが決まってたから、できればそのタイミングからお願いしたかったんだけど、みっちゃんは「5月くらいからならいいよ」って話だった。そこで可能性を探りつつ…ってことで保留して、3月のツアーをどうしようと思い悩んでいたら、みっちゃんから電話があったんだよ。「やっぱり、そんな都合のいいタイミングから参加するなんてバンドとして良くないし、一番大変なツアーをやらないでバンド面するのもイヤだから、俺、3月からツアーやるよ」って。
──やー、オットコマエですねぇ!
長谷川:大ちゃんから貰ったメールがまた熱かったんで、その意気に応えたくて。
──奥村さんが長谷川さんを見込んだ理由というのは?
奥村:俺がドラムを見るセンスで信用しているハンサム兄弟の本田(太郎)が最初に挙げたドラマーがみっちゃんだったんですよ。あと、俺がMTVを見て恰好いいと思った日本のバンドが2つ、3つあって、その中のひとつがthe fantastic designsだったんです。これがねぇ、もうキチガイみたいに恰好いいバンドだった。ベースのmiyaちゃんは、今TYPHOON24をやってますけどね。俺はこのバンドのドラムのファンで…要するに長谷川道夫のファンで、Trophyの時にthe fantastic designsと一緒にイヴェントをやることになって凄く楽しみにしていたら、その当日にドラムが違う人に替わってたんだよね(笑)。
──長谷川さんのタイコ叩き人生は、かれこれ何年になるんですか?
長谷川:中2くらいの時から叩いてますから、もう20年になるのかな。wash?とは、僕がまた別にやっているバンド(Yellow Soul Source)で過去に一度対バンしたことがありましたね。
奥村:そう、恵比寿MILKで対バンしたことがあったよね。wash?がまだデモCD-Rを毎月出していた頃。そのデモをみっちゃんにあげたりして、「また対バンしようよ」って言いながら、お互いなかなかタイミングが合わなくて。
長谷川:そうやって擦れ違いつつも、大ちゃんとは「今どうしてるの?」ってたまに連絡を取ってた感じで。
オーディエンスをちゃんと楽しませて帰すスタンス
──そして、実際に長谷川さんが加入して最初のライヴ(3月3日、下北沢CLUB251)が非常に手応えがあるものだった、と。
奥村:ありましたねぇ。ビックリした。リハでもうビックリしてたし。単純な話、音が凄まじくでかかった(笑)。あと、曲の肝を掴むのが凄く早かったんですよ。擬音語満載の俺の曲の説明もすぐに呑み込んでくれて。
Parock86:大ちゃんは長嶋(茂雄)タイプだから(笑)。でも、新しいドラマーが道夫君だって聞いた時はビックリしましたよ。凄くいいなと思って。“そう来たか!”っていう感じで。
──4106さんとパロさんは新生wash?をもう観ましたか?
4106:俺はリハを観てます。
Parock86:僕は…そんな経緯もあってか、誘われてないです(笑)。
4106:やっぱり今までのwash?とは全然違いましたね。俺は結構ドラムにはうるさくて、それまでのドラマーに「あそこはもうちょっとこうしたほうがいいんじゃない?」ってアドバイスしてたことを全部解消してる人だなと思いましたね。
奥村:俺の歌なり、その瞬間にリードを取っている楽器なりがグッと熱量を上げた時に、一番最初にドラムに付いていってほしいんですよね。ドラムに他のみんなが引っ張られていくような感じで。それがみっちゃんが入ってからは反射的にできてるんですよ。ドラムがみっちゃんになって、言葉に気持ちが入れるようになったのは凄く大きいですね。その効果が今日のソロ・ライヴでもある程度出たと思うし。俺の書く歌詞って本当にいい歌詞だったんだね、っていう…。
一同:(沈黙)
奥村:ああ、ごめんごめん。申し訳ない(笑)。
4106:今のはツッコミ所だったねぇ? (嫉妬まじりに)まぁ、いいんじゃない?(笑)
──新生wash?の初ライヴまで、リハはどれくらいやったんですか?
長谷川:3、4日ですかね。とにかくまず曲を覚えるまでの時間がなくて、どうにかこなすような形でライヴ当日を迎えることになって。リハでもまだ自分としては“大丈夫かな?”っていう状態でしたから。もう本当に、本番が始まって自分が一発叩き始める前までは不安のほうがでかかったですよ。でも、いざ始まったらそれが初めてのライヴには思えなかったんです。意外と自分のやりたいことがやれたし、ライヴにも凄く集中できたんですよ。とにかくやたら気持ち良かったですねぇ…。
4106:wash?は割と自分好きが多いんで、初めてみっちゃんを観た時も“ああ、この人もやっぱり自分好きだろうな”って思いましたけどね(笑)。でも、バンド云々じゃなくて、いちドラマーとして自分の自信がしっかりとwash?に反映されてると思いましたよ。
奥村:いいこと言うねぇ、アンタ(笑)。
4106:ただね、ドラムセットにフロアタムがないんですよ。俺はリハの時にあることをみっちゃんから聞いてるんです。「俺が見えないとイヤだからって、大ちゃんが付けるなって言うんですよ」って(笑)。
奥村:何だよ、俺イジメかよ!(笑) (長谷川に)いや、付けてもいいんだよ?(笑)
──そんな仲睦まじき両バンドですが(笑)、また一緒にツアーを廻るとのことで。
4106:リリースとかは関係ないんですけど、主要都市は頻繁にツアーに出たいなっていう気持ちがあって。最初は単独で考えていたんですけど、去年wash?と廻って凄く楽しかったから、「今回もどう?」って打診して。
奥村:ツアーの最中は高校生のバンドかと思うくらい、いい大人が異常にはしゃいでるよね。漫喫でヒューヒュー言いながら大騒ぎして(笑)。
4106:ウチのパロとmasasucks、それと南ちゃんの3人が揃うと、うるさくてもう収拾がつかないんですよ(笑)。
──同世代で、しかも現役のバンドで、公私にわたってここまで濃厚な付き合いができるケースは稀なんじゃないですか?
4106:うん、他にいないねぇ。
奥村:ね。女性の趣味も違うしね(笑)。音楽の趣味はまぁ、7割くらいは一緒で、残りの出口は全然違うもんね。笑うポイントが近いっていうのはあって楽しいけど。
──面と向かって言うのは照れくさいと思いますが、お互いに認めている部分はどんなところですか?
奥村:今日のライヴもそうだったけど、BRAZILIANSIZEを観てなるほどなと思うのは、結果的にちゃんとお客さんを楽しませて帰すスタンス。どんな音楽性でも、どんな表現をしていても、そういうスタンスが一番大事なのかなと思ったね。それはmasasucksのキャラとか4106の人柄も関係してるんだろうね。俺は凄い女々しくて切ない曲が多いけど(笑)、どんなタイプの曲でもお客さんを笑顔にして帰すことができるんじゃないかと思うようになった。それからライヴに対する気持ちが結構楽になったんだよね。
4106:もうね、曲云々じゃないんですよ。大ちゃんだからもう…何やってもいいです、俺は(笑)。
Parock86:僕はwash?の音楽が元々ストライク・ゾーンなんですよね。そもそも、the Petebest以外のバンドで初めて叩いたのがTrophyだったんですよ。最後のツアーにサポートで参加したんですけど。
──ここまでの仲なら、いずれスプリット・アルバムとかも期待したいところですね。
奥村:それは今、ちょっと企んでるところなんですよ。
4106:ま、俺達のほうはバンバン曲が出来るんですけどねぇ…(笑)。
奥村:何だよ、また俺イジメかよ!(笑) まぁ、それまでにまず今度のツアーを楽しんで欲しいですね。BRAZILIANSIZEがライヴをやってる時は俺達が客席でやいのやいの言うし、その逆もあるし、それも含めて面白いはずだから。そんな空気を酒でも呑みながら共有してくれたらいいと思いますね。いい音楽はちゃんとやるからね。
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