やっぱり歌うとこここしかないです
―――前回のアルバム『What Are You Bitching』から5年。前作からの変化は自分達的にはどんなかんじ?
BAGI ZAKOが1回いなくなったんだっけ。
―――そうだったね。ZAKOがいなくなって、聞いてる方としてもだいぶ変わったところがある気がするんだよね。幅が広くなったとか。
ZAKO 幅が広くなったよ、確かに。
―――じゃあ今回はどういうところを…表現しようと…思ったの…かな? (笑)
二人 (笑)
ZAKO 絶対まともなインタビューにならねーよ。(笑)
―――この人選ね、Rooftopが間違ってる。オレができるわけがないもん(笑)。
BAGI そういう感じで良いんじゃない? まともなインタビューじゃ面白く無いってことでしょ? (気を取り直して)
―――ZAKOはなんで戻ってきたの?
BAGI (笑)他のインタビューじゃ聞かないわな。
ZAKO やろうと思ってたことがそれまで自分なりに100%出し切れて無かったっていうのがあって、みんながいいって言ってくれるんだったらもう1回思いっきりやってみたいなって。
―――BAGIさんは受け入れる立場的にはどうだったの?
BAGI ZAKOが辞めた後、2度とボーカルなんて入れるかと、インストでやってやろうじゃねえかと話し合ってたんだよ。他のボーカル入れるぐらいだったらいないほうがいいっていうのは全員一致の意見で。んで、「禁じ手」にしてたアレンジなど開放することにしたんだわ。歌がない分よりキャッチーにダンサブルにするっていうのは、あえてわざとやってなかったことをこれから出していこう。シンセも試したしいろんなアプローチ試してたし。そしたらロフトプラスワンにいたときZAKOが「横座っていいですか? 」って「オレやっぱり歌うとこここしかないです。」って話していたら泣き出してたんだよ。そしたら横山さん(プラスワン店長)がうんうん頷きながら俺らの前にビール置いて、うんうん言いながら消えてくし(笑)。すごいしゃべってるからビールが凄い勢いで無くなるんだけど、そしたら頼んでないのに、横山さんがうんうん頷きながらビール置いてくれてさ(笑)話したのがプラスワンだから良かったよね。あと、帰ってきたからじゃないけど、逆に歌のありがたみもわかったよね。
―――演奏のレベルもかなり上がったよね。
BAGI かもしんない。特にホーンズは個人練とかアンサンブルの練習をすごいしてたみたいだし、リズム部隊としては、ウッドベースとの絡み「禁じ手」出した分すごい考えてたし、ZAKOが戻ってきて加入したのがアサくん(AJ/g)っていうのがすごい大きいね。ヒロトと逆のタイプのギタリストが来だし。
―――アサくん(AJ)とMAITA(ba)はどうですか?
BAGI MAITAもウエブで募集かけたら来て、何度か練習来てほかのバンドもやってたんだけど、ワントラに専念するって腹くくった頃から成長早かったね。プレイヤーとして一番伸びたのがMAITAです。
―――アサくんはメジャーでやってたからぶつかることもあると思うけど、プラスになったことが多いんじゃないか。
ZAKO ぶつかることはないけど、細かいのがすごい助かる。オレも細かくやりたいからそれが。
周の仲間の力でいいものが出来た
―――ところで8月17日に『THE WORLD』っていうアルバム出たんだけど、前回に比べていろんな音が入ってるよね。
ZAKO キーボードとかもいろいろ入ってオモシロイと思う。
―――『チャンネルQ(M-2)』はワントラらしさを出してると思う。どんなかんじでできた曲なの?
BAGI いろいろやってみたいっていう禁じ手の中の一つ。まぁそういったリズム手法を試してみたかった。あとやるんだったらシングルカット前提ぐらいのアッパーでハッピーチューンにしたかった。んで、作ったイメージが『カックラキン大放送』。あの70年代後半から80年代のドラマというかバラエティーっぽい感じで、夕方で晩ご飯時の「ごはんよ〜」って言われている雰囲気をやりたかった。(笑)
―――それぞれ思い入れのある曲は?
ZAKO 1個っていうのは難しいんだけど、けっこうやりきった感はある。『クレイジー173(M-7)』はこういう曲をやるバンドがいないかなっていうのもあるし。
―――今回アルバムの『チャンネルQ』と『PLUS ONE4:28(M-4)』と『クレイジー173』は聞いたことあるような名前があるんですけど。
BAGI めちゃめちゃ影響受けてるからね。それは否定できない。
―――この中でも『PLUS ONE4:28』っていう名前は、プラスワンでワントラやロンドン化計画を体験した人両方ともわかってくれるんじゃないか。
BAGI 本当、変なイベントだよね。明け方4時半ぐらいにそろそろ締めかなって時に、9割以上のお客さんが「バッチ来いよー! 」って盛り上がってるじゃん。
ZAKO オレは眠いけど。
―――この名前とトータルで聞いたときに「わかるわー」ってなったよ。それで最後に『マーライオン(M-11)』でしょ。
BAGI 『マーライオン』はすごくビリーな曲だよね。出来てみたら有名なサイコビリーの曲に似てた。やっぱそういう意味ではビリーに対するリスペクトっていうのは出てるんだなと。
―――この中で『BAGI CORE(M-6)』だけぶっとんでる気がするんだけど、どうしてもやりたかったの?
BAGI やっぱ90年代初期の日本のハードコアとかミクスチャーがすごい初期衝動だったから。これは演っておかなきゃいけないなって。スカコアの前のハードコアパンクmeetsスカみたいなものを1分15秒以内で終わらせる。そこにアホさ加減全開のホーンが入ってると、よりおばかサウンドになる。ホーンがなしだったらすごいハードコアになるけど、ホーンがきちんとはまっていると思う。だからぜひ入れなきゃって。すごい頭の悪そうな映画とかの途中で流れそうな。そんなノリで。全てにおいてリスペクトだよ。
―――今回ジャケはどなたが?
BAGI 竹内っていう昔からの知り合いで、Tシャツとかも彼の作品。今回はいよいよジャケを作ってもらったのさ。写真は柴田エリちゃん。今回は昔からの知り合いが多大な協力をしてくれている。ラストラムもそうだし、スクールバスは腐れ縁でスクールバスナイト出演するし、ロフト・シェルターもそうだし、ロンドン化もそうだし、レコード店も、このアルバムは5年ぶりに出すから忘れ去られている土地ももいっぱいあったと思うけど、すごく展開してくれてるし、長いことやっててありがたいなって思う。すごい感謝。いい巡り合わせがいいタイミングで来てる。来年10周年迎えるからいい形に持って行きたい。
―――レコーディングはどうでした?
BAGI 良かったよー。ラストラムにわがまま言ってエンジニア連れて来ちゃいました。今まではおまかせだったんだけど、KOOLOGIを録ったエンジニアの古川さんがすごく良くて、今までの中で一番理想的なドラムにとってくれた人。ZAKOもKOOLOGIの時に歌い出してからマイク2、3本変えたもんね。すごく徹底してくれる。俺らがレコーディングするって言ったらマイク持ち込みで、太鼓判押してマイク使ったもんね。あとは、アサくんか経験がある人だから。音作りがすごいスムーズだった。スケジュールも予定通りいったしね。
―――レコーディングはいつぐらいから?
BAGI 本チャンのレコーディングがゴールデンウイークで、その前に1日でプリプロやってバランスみて。演奏の細かいのも考え直して。プリプロも出来たし周りの仲間の力でいいものが出来ましたよ。
―――いい人達に恵まれてますよね。
BAGI うちは全てにおいてそれがプラスの方向に出た。リスナーの人も聞いてくれてるし。ラストラムも話早かったしね。アーティスト大事にしてくれるし。そういう意味では人に恵まれた。
ロック好きに聞いて欲しいアルバム
ZAKO ところで、最近の20歳の子とか何聞いてるのかな。昔はなんだかんだいって新しいものも聞くけど、古いもの聞くのがかっこいいみたいなところあったじゃん。60年代知ってる方が偉いみたいな。
BAGI 昔はブルース聞いてるやつが一番偉いみたいな。でも聞いてるだけで偉いって勘違いしてる人が一杯居たから結構アンチだった。当時オレが好きなバンドはARBだったりルースターズ、BOφWYだったって、そういう奴らにはっきり言ってた。
―――最近の子ってクラブとかライブハウスとか遊びに行ってるのかなあ。オレはライブハウスに行ったことがなくて、クラブバンド見てたんだけどワントラを見ていいなって思ったね。うちのお客さん(ロンドン化)はスカ知らない人も多かったし、ワントラも知らなかったと思うんだよね。
ZAKO でも最初の1年・2年は音源もないのにライブはお客さんがけっこういたんだよ。
―――最初デモテもらってヤバイバンドがあるんだって。その頃からワントラ節っていうのは全然変わってなくて、ワントラの柱は全然変わってないんじゃないかな。
BAGI 活動スタイルも変わってないしね。
ZAKO よりスンナリ入れるカンジにはなってきたかなと思うから。ロック好きとかに聞いてほしいな。聞いたら分かると思うよ。聞いてライブ見たら。
BAGI 日本語すごい自然にできたね。すごいやりたかったし。『チャンネルQ』で、「これだ! 」って感じだもんね。
ZAKO そういう意味ではこれから新たな感じに出来そうな気がするからある意味出発点。
―――スカの子達は幅広く聴けるし。そうじゃない人は何でこんなに人数がいるのかしら? っていうところからでもいいと思うし。このアルバムをロック好きに聞いて欲しいって言ってましたが、そういう人たちの為の聞き所なんかを…。
ZAKO 聞いてライブで踊るっていう感覚がないのかな。でも、家で聞いたりとか電車乗りながらとか、元気になりそうなカンジだから。わりと言われるんですよ。スカとか知らないって子も聞いてくれたみたいで、全然わかんないけど元気になる! って。そういう感覚ですね。聞き込んでいけば詞の内容だったり、曲の内容とかもわかるのかもしれないけど、まずは雰囲気的に、あとはリズムがいいから。リズムを大切にしてないんじゃないかなと思うかもだけど。
BAGI 緻密にメロディー考えているし、それはすごくフロアを意識してるからJ-POP聞いてる人たち...? オレJ-POPがわからないから(笑)。
ZAKO オレもよくわからない(笑)。
BAGI J-POPで武道館やってたAJがうちにいるわけだから。まあJ-POPはわからないけど、聞き易さとかそういう部分では仕切りはない。パンク、ビリー、スカ、レゲエ、ラスティックとかジャンルで括ると構える部分はあるかもしれないけど、『THE WORLD』というところで、何でもありの音でとか言うけど…何でもありじゃない! すごい厳選してやってる。それは勘違いしちゃいけない。やりたいことをきちんと考えてます。J-POPの人ための聞き所と言ってもJ-POPわかんないからな〜(笑)。カラオケっぽくはないけど、口ずさめる曲ではある。J-POPを聞いてる人でも聴けるんじゃないかな。日本語だしね。でも、密接のはずだよ、クラブサウンドと。夜遊びしにおいでよ。
ZAKO 夜遊んだほうがいいよ。オレは寝ちゃうけど。
シェルターは『打ち上げ王座奪還宣言』
―――ツアー行きますね。『THE WORLD』ツアー。みんなサラリーマンだからどれぐらいかかけるんですか?
BAGI 週末だけで3月まで。
ZAKO でもライブばっかりやっててもあれだから練習もしないとならないし。
―――広島とかひさびさに行くところもあるしね。大阪がRUDE BOY NITE。とうとうLOS TAILORSとやるんだね。ボーカルがZAKOと似てるんだっけ? 歌い方踊り方髪型。頭のおかしさも。
BAGI 2人並ばれたらすごい不快指数高そうだな。
ZAKO オレの後輩でセクシーパンサーってバンドのボーカルのタマってやつも似てるんだよ(笑)。
―――あと福岡とか来年1月21日には下北沢シェルターも。
BAGI シェルターで『打ち上げ王座奪還宣言』をやります。古閑さん(K.O.G.A)に打ち上げ記録塗り替えられちゃったから。(笑)その打ち上げ記録を奪還するためにあえてワンマンで挑む。あと沖縄も行くし、このツアーの最後は神戸で乱痴気プレゼンツ!
―――沖縄はワントラにとって思い出深いところだからね。
BAGI ライブ中に消化器ばらまかれたりとかね。見に来ていた子が酔っぱらってて最後の曲でドラムならした瞬間に“ゴーーーーーーー”って上から。
ZAKO イベンターが知ってる人だったから、スモークまでたきやがったー、最高だぜーって煙り吸ったらスモークじゃねぇと、目がいてー! って。
BAGI 一発目の音出す瞬間だからね。曲止まっちゃうし、オレはドラムだからなかなか煙が来なくて「ドリフじゃねえんだからよー」って思ってたら吸い込んじゃって。あれはヒドかったね。
ZAKO イベンター達はみんな泣いてるし。
BAGI 打ち上げみんなお通夜みたくなってたし(笑)。沖縄の料理がフルコースで泡盛一升瓶で置いてあるのに、みんなチビチビ飲んでて(笑)。
ZAKO どうしたらいいんだろうってかんじだったもんね。
BAGI しかも消化器まいたヤツが「殴るなら殴れ! 気が済むまで」とか言うんだけど、何しても気がすまねえから困ってるんじゃねえかよ! みたいな(笑)。そこがヒューマンステージ。今回また行くから。
―――ところで働きながらバンドやるってどうですか?
ZAKO 楽しいですよ。
BAGI コレが普通だからね。背伸びして無理してやってるつもりもないし。
―――ロンドン化もサラリーマンDJばっかりだもんね。
BAGI 昔、ガーゼのインタビューを19か20ぐらいにアンチノック系のフリーペーパーで読んだときに、ネクタイしててもパンクできるんだよって書いてあって、かっこいいっていうか、それこそパンクだというか、やることやってパンクスやれよって。それが一番最初の芽生え。
―――ZAKOは最初大学生だったんだよね。
ZAKO そういうこと考えない。本能の赴くままやってるからやりたくなかったらやらない。
BAGI でも、就職活動のときとかそういう話したよね。できるんだったら一度してみなよって。ボーナスとか一度もらってみ? って。時間は努力すれば作れるし。そんな時代だからこそ素直に生きていけるんじゃないかと。別に特別なことやってるつもりはないし。
―――来年は10周年だしね。
BAGI 10周年でおもしろいことやりたいね。デカバコでやってみるとか。そのあとの追加公演でロフトサブステージとか。プラスワン3デイズでもいいよね。横山さんが一番最初に畳でやったとき「これこそパンクだよ! すげー初期衝動だよ! 」って。
ZAKO でも後から最初ZAKOくんが畳でやりたいって言ったときどうしようかと思ったよって(笑)。
BAGI あの4畳で並ぶのがポイントなんだって。ドラムセットとか信じられないぐらい小規模にセットするんだよ。最低限のものだけ乗せて。
―――ギネスに挑戦みたいだったよね。
ZAKO うん(笑)。でもあの畳でちゃんとやりたいな。一番好きなハコかもしれない。乗り切らないだろうから、全員がバラバラにお客さんのなかにいるっていうのもおもしろいね。モニターはしょうがない! 出音で聞いてくれ。ドラムは下にコロコロ付けて、みんな好きなように押そうか? (笑)。
―――それはおもしろそうだね。
ZAKO たぶん畳でやったのって後にも先にもオレ達だけだよね。
BAGI ウッドベースで神棚壊しそうになってるもんね。
ZAKO あの微妙な閉塞感もいいよね。でももともとはロンドン化のときに、DJブースをうつしたくないっていうのが原点だから。
BAGI DJが主役のイベントにバンドが戦いを挑むって感じだな。来年はオレ的にはデカイとこで1回仕切りでやってみて原点回帰でロフトとシェルターでやりたい。いろいろオモシロイことやってロフトで締めるみたいな。っていうかロフトも付き合い長いよなー。しかも、ビール代とかすごい落としてるから! ロフトのネオンとかオレが作ってるよ。スゲー金落としてるもん(笑)。
―――では最後の締めに。
BAGI とりあえずシェルターはワンマンなのでライブを見に来たら残ってお酒を飲んで下さい。古閑さんの打ち上げの記録を抜くためにシェルターワンマンやるので、みなさんガチで飲んで次の日の酒はシェルターに残さないように。一滴も残らず飲み干しましょう。金がなくても心配するな。バンド関係者の人もこの日はライブに間に合わなくても必ず来るように(笑)
ZAKO そしたら全然関係ない人が来たりして。今日タダって聞いたんだけど(笑)って。
BAGI (笑)打ち上げ記録をもう一回樹立しないといけないという使命感をもとにライブやってるんでよろしくお願いします。
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