「治験」は社会貢献度も高く、実際に高額です
自分と向き合う有意義な時間もできます
──新聞などで「治験」の広告が出されるようになりましたが、「治験」という言葉がまだ一般的ではないと思います。「治験」という言葉の説明からしていただけますか?
治療の「治」に、臨床試験の「験」。治療も含めた臨床試験という部分で「治験」というネーミングがされてます。人によっては、治験を危険と言う人もいますが(笑)、臨床試験のことを訳して「治験」と言ってます。
──世間では、怖いイメージが持たれていますが、実際はどういう流れで、どんなことが実施されているのでしょうか?
アルバイト的にとらえている人が多いと思うんですが、実際に高額なのですが、時間を対価としてお金でお支払いしています。治験は、基本的に「1相試験」「2相試験」「3相試験」と分かれています。「1相」が入院をして健康体での治験(多くの健康体で時間をかけて血中濃度を測る)、「2相」は、実際に疾患をもっている方が通院で実施、一回通院して3,4時間で協力費が1万円程度なので、皆さんが思っているアルバイト的なものは、「1相試験」に限られますね。
──どうして治験には、アンダーグラウンドなイメージが今までつきまとわってきたのでしょうか?
これは、旧厚生省の強いてきた規制ですね。ボランティアさんを募集するのに広告での募集を禁止してきたんですね。ただでさえイメージが良くないのに募集方法がクチコミだけだったんです。クチコミで噂になってきたことにどんどん尾ひれはひれがついてきたのでしょうね。
──どうして最近になって広告が緩和されるようになったんでしょうか?
世界でも日本が2番目に薬を使用している国で、日本自体が薬の消費大国です。海外の政府からの圧力ですね。当然アメリカ、ヨーロッパの国は日本に薬を売りたいので、臨床試験が進むのが遅ければ遅いほどお金がかかる。当然、時間がかかると開発費用がかかると。それイコール、薬の販売も遅れる。そうすると、利益にならないということで、海外から圧力がかかってくるということになりますね。旧厚生省がどうしてそのような規制を強いていたかも意味不明ですね。
──治験は、医療的にも貢献度の高いものだということですね。
外科医以外は、お医者さんは、薬の処方が仕事なので、外科医は手術がありますけども。良い新しい薬が出来てこないと、良い薬の処方も出来ないですから。場合によっては、その薬が副作用があってなくなってしまうこともあるんですけど、最先端医療であることは間違いないですね。お医者さんの中にも、あまり治験のことを知らない方もいてびっくりすることがありますね。ほんと日本は遅れてます。
──実際は、病院の中で治験は実施されるのですか?
必ず医療機関で行います。山の中腹にぽつんとある施設でやっているとか、港の埠頭の地下室で行われているとか、そういうイメージ強いのですが、そんなところに病院ありませんので心配なさらないで下さい。
──薬は、やはり相当な開発時間や費用がかかると思うのですが、実施はどれくらいのものなんでしょう?
期間と費用で、「10年100億」って言われてますね。この業界の常識として言われてますね。男性に話題になった「●イ●グラ」は、●●●億って言われてますね。企業の売り上げくらいは、開発費がかかりますね。
──広告の規制が緩和されて、もっとこれから治験が認知されていかないといけないですね。
変わっていかなければいけないんですけれども、どこまで話していいか分からないのですけど、日本の場合、医師会の力が強すぎるんです。ドクターが診療に入って30歳半ばからですから、大学院を出た後にインターンをやって、その後から臨床の現場に立ちあっていく。古い、医療をやっている地方があるようなんです。そういうことを考えると、新しい技術や新しい薬がどんどん出てきますので、ドクターの医師免許自体の更新が必要じゃないのかというのはよく聞きますよね。
──時代が変わっていくと、薬も医療技術も変わっていくということですね。今まで手術していたのが、薬で治ったりするということですね。では、実際の御社のホームページを見て応募した場合の治験の流れを教えてもらえますか?
ホームページに情報がほとんど出してますが、分からないことは、お電話かメールいただければ大丈夫です。まず、健康診断を受けていただかないといけないのですが、普通の身長、体重、血圧、脈拍、採血、尿検査くらいで特に変わった検査はないです。治験前に、もちろん説明があります。今回の薬はどこどのの会社が開発したもので、どういう薬かという。タイムスケジュールや予期される副作用などもすべて。参加されるボランティアさんの権利なんですが、いつ脱会しても大丈夫です。人によっては参加された段階で、鎖をかけられたりするようなイメージを持つ人がいるようなんですが、そんなことはもちろんないです(笑)。
──どんな方に、治験を理解して来て欲しいですか?
今の会社の募集からすると、若い方の人数が必要ですね。検査で振り分けられて参加出来ない方も出てきますので、常に3倍くらいの人数が必要になる状況です。あとは、中高年の方の理解がないんですよ。怖いというイメージで。ドイツのホロコーストとか世界大戦のイメージが残っている人だとなおさらそうイメージを持たれますね。
──最後に、治験を受けられる方にメッセージをお願いします。
治験に入ると、けっこう暇なので、漫画とか暇つぶしの道具を持ってきて頂ければと有意義に過ごしていただけると思います。一人の時間を学習に当てるのにもいい時間かもしれないですね。自分に向かえる時間が出来ると思います。
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